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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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焼きそばパンの魔力濃度が、臨界です。

主食戦争、勃発。焼きそばパン、チャーハン、白米、うどん──それぞれの“正義”が空腹を超えてぶつかり合う!

今回の話は、アロマ回として彼女の情報解析スキルと毒舌がキラリと光る展開も見どころ。

そして最終的には……やっぱりパン次郎が全部持っていきました。はい。

焼きそばパンの消費量が、異常だった。


 


──それは、アロマの観測記録に如実に現れていた。


彼女は、ホワイトガーデンの屋根裏に設置された情報結界の中で、ひとり、静かにモニターを睨んでいた。


 


「……また増加」


指先が音もなくパネルをなぞる。

映し出されたのは、**“主食エネルギー分布グラフ”**という、もはや世界観が危うい名称の魔導チャート。


その中で、「焼きそばパン領域」だけが異様に跳ね上がっていた。


 


「これは……もはやバグ。パン界のインフレ」


アロマは淡々とつぶやく。

が、その額には、珍しくわずかな汗が浮かんでいた。


 


 


ふと、背後からの足音。

扉を開けて入ってきたのは、ふわふわ金髪のセリスティア──口の端に、パンくずを付けたまま。


 


「アロマ~。この“うずら卵入り焼きそばパン”、めっちゃおいしかったよ!おすすめ~!」


 


アロマは静かに振り返った。


 


「あなた、今日で何本目?」


 


「ん~……朝に3本、お昼に2本、それと今ので──」


「八本目。……これはもう、パン中毒者です」


 


「ひどっ!好きで食べてるだけなのにー!」


 


アロマは無言で新しいウィンドウを開いた。

そこには「セリスティアのパン摂取履歴ログ(自動記録)」が、分単位でびっしり表示されていた。


 


「これは由々しき事態。脳の一部に“焼きそばパン”が常駐するレベル……記憶の一部がパンで上書きされています」


 


「え、なにそれこわい。……あれ? そういえば私、朝何食べたっけ……?」


 


「焼きそばパン、です」


 


「やっぱりかーー!!」


 


アロマは、ついに椅子から立ち上がった。


「……放置すれば、世界中に“パンエーテル”が拡散する。次にバグるのは……たぶん、米。」


 


「米? ごはんのこと?」


「“対パン主食”。奴らが動き出すかもしれません」


 


セリスティア「なにその米派勢力みたいな言い方ーー!?」


 


 


アロマは、真剣な表情のまま言った。


 


「……世界の主食均衡が、崩れ始めている」


 


 


──静かなるパン戦争は、すでに始まっていた。


「……パン依存、魔導干渉レベル第Ⅲ相に移行」


アロマの前に浮かぶ結界図は、青から徐々に赤へと変色していた。


 


「空間エーテルに、“炭水化物系エネルギーの歪み”……拡大中」


 


彼女は膨大な魔導データを読み解きながら、無言で指を動かし続ける。


パネルに現れたのは、驚くべき結果だった。


 


【パン摂取率:72.3%】

【エーテル共鳴領域:焼きそば、カレー、メロン】

【新たな干渉波形:白米、炊き込み、卵かけ】


 


「……来たか」


 


彼女は眉ひとつ動かさず、淡々と呟く。


「対抗主食、すなわち──“米”の波動」


 


「ま、まって!? それほんとに“米の波動”なの!?」


 


セリスティアが、もぐもぐしながら割って入る。


アロマは表情を変えず、ウィンドウをズームイン。そこには明らかに**“おにぎり型”の魔導干渉図**が浮かび上がっていた。


 


「間違いない。……これは、お米です」


 


「なにそれ!? 食べ物に波動とかあるの!? てか、おにぎりって認識されてるのもおかしくない!?」


 


「さらに──ここ最近、“炊飯音”が空間の至る所で観測され始めています」


 


「炊飯音!?」


 


アロマは、パネルを操作して録音ログを再生した。


 


《……ピッ。ピピピッ……》

《──炊飯を開始します──》


 


「……これは、ホワイトガーデンの裏山付近で記録された音声」


 


「いや誰か炊いてるだけじゃん!? 近所の炊飯器だよねそれ!?」


 


アロマは目を細めた。


 


「違います。これは、意図的に放たれた“炊飯結界”……米の者たちが、本格的に動き出した証です」


 


セリスティア「どんな結界だよ!! おいしそうだなオイ!!」


 


 


そのとき──空間に小さな揺らぎが走る。


 


ぴぴぴっ……!


《──ごはんが炊き上がりました──》


 


空気中に、ふわりと白ごはんの香りが広がった。


アロマは目を細め、呟く。


 


「……来る。やつらが……“主食の玉座”を賭けて……」


 


セリスティア「あーもうダメだ。笑いを我慢してたけどダメだ。アロマ真顔で何言ってんの!!」


 


アロマは最後に、ひとことだけ冷静に告げた。


 


「……“炊き立て”です」


──それは、白くてふわふわの衝撃だった。


 


ホワイトガーデンの上空に突如現れたのは、巨大な──炊飯器型飛行艇。


いや、もう見た目が完全に炊飯器。


 


「確認されました。機体名こしひかり・ゼロカスタム。炊飯モード、全開です」


アロマが眉ひとつ動かさず告げる。


 


「なにそのガンダm──いや、名前!!」


カグラが目を見開く。


 


セリスティア「えっ、まさか……あの伝説の“おかずいらず部隊”が!?」


 


アロマ「その通り。奴らこそ、ごはん主義の過激派──**〈銀シャリ教団〉**」


 


その瞬間、機体のハッチがパカッと開いた。


中から現れたのは、全身白装束のごはん狂──いや、戦士たちだった。


 


「白米こそが神。パンは所詮、具に頼る凡庸なる炭水化物……」


 


「我ら、〈銀シャリ教団〉は宣言する!」


「“焼きそばパン”よ、貴様らの時代は──終わった!」


 


セリスティア「えっちょっと待って!? なんでそんな真剣なの!? ごはんとパンの話だよね!?」


カグラ「どうでもいいわァ!! なに宗教化してんだコラァ!!」


 


アロマ「……状況は深刻です。現在、パン系と米系の“主食パワーバランス”が急激に傾いています」


 


「じゃあどうすんの!? 世界、パンとごはんで分裂すんの!?」


 


アロマは、すっと指を上げる。


 


「……中立主食、“うどん”を交渉役に」


 


「うどん!? やさしい感じ出すなあいつ!!」


 


だがそのとき──銀シャリ教団の一人が、手に炊きたておにぎりを持って空から舞い降りる。


 


「……ふっ。これは、“米の慈悲”だ」


 


──ぽとっ


足元に、おにぎりが落ちた。


 


「や、やわらかそう……!」


セリスティアがヨダレを垂らしかける。


 


カグラ「……やめとけよ。そっちに行ったら、焼きそばパンが泣くぞ」


 


アロマ「……味噌汁も確認。油揚げ入りです」


 


「ほぼ最強じゃねーかそれ!!」


 


 


空には、炊飯器の蒸気。地には、パンとごはん。


主食の尊厳をめぐる、くだらなすぎる攻防が──幕を開けようとしていた。


 

そのときだった。


 


──ふよんっ


 


突如、空間がゆるやかに揺れ、ホワイトガーデンにひとりの男が現れた。


腰にどんぶり、背に麺棒、手には湯切りざる。


 


「……戦うな。主食は、手を取り合える」


 


アロマ「……確認されました。“中立うどん”代表──讃岐さぬき将軍、到着です」


 


セリスティア「誰!? ていうか、うどんが人格持ってるの!?」


 


讃岐将軍は静かに語る。


 


「パンにはパンの良さがある。米には米の魅力がある……だが、“麺類”はどちらとも相性がいい」


「君たち、戦いではなく──組み合わせを学ぶべきだ」


 


 


「そんな冷静な主張、笑えねぇよ!!」


カグラが即座にツッコむ。


 


 


だが、銀シャリ教団の代表が前に出る。


 


「組み合わせなど不要。単品で完結するのが“真の主食”……それが白米だ!」


「貴様らパン派のように、具材や惣菜に頼らずとも我らは強い!」


 


 


それを聞いたセリスティアの目に、炎が灯った。


 


「……ふふ、なにを言うの?」


 


彼女は、ポケットからそっと“とっておきの”焼きそばパンを取り出した。


 


「見て。パンが──**“自らの中に、世界を詰め込んでる”**ってことを!」


 


ぱくっ!!


 


「うっま!!!!」


 


天に登るような湯気とともに、味覚と炭水化物の融合が世界に響く。


 


カグラ「なんだこのノリ!? いま“パンで反撃”したの!?」


 


アロマ「……焼きそばパンの“存在意義”が、今、再定義されました」


 


 


だがそのとき──銀シャリ側から、また新たな刺客が姿を現す。


 


「……パン派の民よ。“混ぜご飯”という概念をご存知か?」


 


──“チャーハン軍団”、出現。


 


「ぐあああ!! 炒めるな! 米を炒めてくるんじゃねえ!!」


 


カグラの叫びがこだまする中、戦いはさらなるカオスに向かって加速していく──!


 

カグラ「おい、チャーハン軍団ってなんだよ!?」


 


目の前に立ちふさがるのは──


白い戦闘服に身を包み、鍋を肩に担ぐ炊き込み騎士たち。


 


「我ら、“米の進化系”──チャーハン軍団!」


「主張する! 単なる白米より、俺たちの方が圧倒的にうまい!」


 


セリスティア「めっちゃ自虐的!? 白米否定してるよ!?」


 


アロマ「……状況が急変。チャーハン派が、銀シャリ教団と分裂。いま、米内戦状態です」


 


「めんどくさっっ!!」


 


そのとき、どこからともなく──


 


「……その争い、焼き入れてやるぜ」


 


──ザッ!


 


現れたのは、パン次郎(CV:重低音)。


 


「パン次郎ォォォ!!??」


 


パンのくせにサングラスをかけ、無駄に背中が光っている。

片手には、カリッカリの焼きそばパン。


 


パン次郎「見ろよ……パンってのは、“自由”なんだぜ」


 


カグラ「いや自由すぎるよお前!! いつからそんなキャラに!?」


 


パン次郎「チャーハンに勝てる……それは、カレーパンだッ!!」


 


──カッ!


 


彼が投げたのは、金色に輝く一撃──神カレーパン(激辛)。


 


チャーハン軍団「ぐあああああ!! カレーと米の親和性っ……逆に弱点……ッ!!」


 


──ドガアアアァン!!


 


チャーハン軍団、散る。


空に米粒が舞うなか、パン次郎は静かに立っていた。


 


「勝ったな……フッ」


 


アロマ「……勝利確認。主食戦争、終結」


 


カグラ「いろんな意味で泣きたい」


 


 


讃岐将軍「……しかし、真の戦いはここからだ」


 


「うどんとそば、麺類内部の内戦が始まるのだからな……」


 


「もうやめてええええええええええ!!」


──静寂。


 


カグラ「……ふぁ〜。なんだこの変な夢……」


 


彼は、ホワイトガーデンのソファで寝っ転がっていた。


まぶたをこすりながら、周りを見渡す。


 


セリスティア「おはよ〜。寝言で“パンの自由がうどんを超えた”とか言ってたよ?」


カグラ「そんなセリフ言った覚えないんだけど!?」


 


アロマ「……睡眠中、パンの神経波にアクセスされた痕跡あり。バグ型夢干渉、確定です」


 


カグラ「またパンのバグかよッ!!!」


 


パン次郎「……やれやれ。夢にまで俺が出張るとはな……」


 


カグラ「いるんかい!!起きたらいたんかい!!」


 


パン次郎はなぜかティーカップを片手に、紅茶をすすっている。


 


「カレーパンにはじまり、チャーハン軍を退け……麺類と和解を果たした俺の功績──」


「そろそろ**“主食神”**の称号を名乗ってもいいと思うんだよな」


 


「認めるかああああああああ!!!!!」


 


ドカーーーン!!!


 


その日、ホワイトガーデンの屋根がひとつ、吹き飛んだ──



今回はとにかくテンポ優先、バカやりきり回でした!

アロマの真面目な部分も見せつつ、結局パンのバグで夢オチというギャップも含めて楽しんでもらえたら嬉しいです。

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