焼きそばパン争奪戦、開幕
夏。恋。修羅場。パン。すべてが渦巻く購買部の片隅で、
焼きそばパンはついに、ラブコメと世界の命運を握った。
「誰が彼の中に“いちばん”ふさわしい具材か──」
パンをめぐる乙女たちの戦い、そしてパン次郎の決断とは!?
──昼休み前。購買部前の長蛇の列。
その中央に、二人の少女が並んでいた。
こむぎ(パンを愛する少女)
しおん(海から来た塩対応)
お互いに気づいた瞬間、空気がピキリと凍る。
こむぎ「……あなた、誰ですか?」
しおん「アンタこそ。なに、そのパンを見つめる情熱……怖いわ」
二人の視線の先には、ただ静かに棚に鎮座する一本の焼きそばパン。
こむぎ「そのパン、私がずっと買ってたんです。毎日、毎朝、毎昼──恋人なんです」
しおん「ふーん。こっちは、そのパンと浜辺で夕陽を見たわよ。しかも手もつないだ(袋越しに)」
こむぎ「っ……!?」
しおん「……まあ、腐るからおすすめしないけど。アンタのせいで旅に出たのかもね」
──場面変わって、購買部。
パン次郎(棚の上から俯瞰しながら)
「……なんで俺、三角関係に巻き込まれてるんだ……?」
セリスティア「えっ、まって、これ修羅場じゃない?」
アロマ「恋愛演算、分岐ルート警告。死亡フラグ展開あり」
ミルミ「……ここで私が横から“ご飯派です”って言ったらどうなるかな?」
カグラ「大惨事になるに決まってるだろ!!!」
──購買部前、戦いの火蓋は切って落とされた。
しおん「アンタにこのパンの何がわかるってのよ」
こむぎ「中身の焼きそばの並びも覚えてます。右巻きです」
しおん「こわっ!?執念か!?記憶能力異常じゃん!?」
──そして、ついにパンが飛び出す!
パン次郎「やめろおおおおおおおおお!!!」
──その声(?)は、確かにふたりの耳に届いた。
パン次郎「ルリカ……まさか、こんな形で再会するとはな」
ルリカ「こっちのセリフよ、パン次郎。捨てた女が、ここまで追ってくるとは思わなかった?」
しおん「え、捨てたの……?」
こむぎ「旅の途中で何があったの……?」
セリスティア「なんか修羅場のレイヤーが一気に増えたわね」
アロマ「バグ展開。現在、好感度グラフが二次元を超え三次元軸に突入」
ミルミ「パンと女子がこんなに重なる時点で、たぶん地球が終わる」
カグラ「いやお前らちょっと落ち着けよ!?なに次元の話してんだよ!?」
──場面、購買部の裏庭。
パン次郎とルリカが、かつての旅を静かに振り返っていた。
パン次郎「……お前と旅したあのアメリカ、懐かしいな」
ルリカ「うん……あのときは、まだ中身にマスタードを入れすぎて、よく怒られたっけ」
パン次郎「俺も、焦げかけてたからな……無鉄砲だった」
──そんな感傷もつかの間、現ヒロインズがドアをぶち破って乱入。
こむぎ「青春ノスタルジー禁止!!」
しおん「過去のパンに未練があるなら、焼き直してやるよ!!」
パン次郎「怖い!急にホラーきた!!っていうか俺、パンだから焼かれるのはガチでやめて!!」
──ルリカが静かに立ち上がる。
ルリカ「……どちらが彼にふさわしいか、決めましょう」
こむぎ・しおん「「望むところよ!!」」
──会場:購買部裏の特設決闘フィールド(勝手に作られた)
ミルミ(審判)「よーし、集まったねー。ルールは簡単!3番勝負で、パン次郎の“トースト(ハート)”を奪った方が勝ち!」
パン次郎「焼かれてる!?心、焼かれてるの!?熱くない!?」
第1戦:パン弁論対決
テーマ:「私は彼の焼きそばを愛してる」
こむぎ、真剣な目で一歩前に出る。
こむぎ「パン次郎さんの焼きそばには、私の青春が詰まってます!あの日、購買で出会ってから、ずっと一緒でした。食べたあとに口の端についたキャベツすら──愛しいんです!!」
パン次郎「キャベツ!?いや恥ずかしいって!そこまで見てたの!?」
続いてしおん。
しおん「……私は、あんたを海に連れてった。波の音に包まれながら、浜辺で並んだ。……パンを持って、無言で過ごした1時間。何も言わなくても通じたでしょ?」
パン次郎「重い!急に重いっ!!ていうか海辺で1時間黙ってたの!?」
ルリカ「私は──ただ一緒にいて、笑っていたかった。それだけよ」
ミルミ「……審判的には、キャベツが印象的だったので、こむぎ1ポイント!」
しおん「ふざけんな!!」
第2戦:創作パン勝負(材料費300円以内)
──各自、オリジナル焼きそばパンをプレゼン。
こむぎ「私は、甘辛い照り焼きチキンを加えて、青春の味に!」
しおん「こっちは、塩昆布とレモンで爽やかに。海を感じろっての!」
ルリカ「私は……ジャム。焼きそばと、イチゴジャム。これは“罪”──それでも、食べてほしい」
パン次郎「やめろ!新世界の扉を開けようとするな!!」
ミルミ「どれも狂ってるけど、一番“攻めた”のはルリカ!1ポイント!」
こむぎ・しおん「!?!?!?!?」
最終決戦:パン抱えて鬼ごっこ
──ルール:パン次郎を抱えて逃げる→捕まったらアウト。パン次郎は走れないので“抱えられ損”である。
カグラ「……なあ、これってパンに優しくなくね?」
アロマ「パンの消費期限が迫ってる。早く決着を」
こむぎ「行くよ、パン次郎!」
パン次郎「お、重い!!けど……なんか悪くない……」
しおん「そのパン、私のものだからッ!!」
ルリカ「誰にも渡さないわよ……!!」
──逃げるこむぎ。追いかけるしおんとルリカ。
ミルミ「恋は!戦争だーーーっ!!!」
──そのとき、突如空が割れる。
???「フン。バカどもが騒いでいるな……」
セリスティア「えっ!?なに!?また来たの!?誰!?」
──登場するは、黒いオーラをまとった謎の人物。
「……パンを愛しすぎた人類の末路。そろそろ“世界”にケリをつけようか?」
パン次郎「えっ!?ちょっ、話飛びすぎじゃない!?俺、ただの焼きそばパンだよ!?」
黒衣の謎の女「焼きそばパン──いや、パン次郎……。会いに来たわ。私の名は、“ラスト・バター”」
全員「バター!!?」
パン次郎「えっ、お前……まさか……!?」
──場が一気に凍りつく。
こむぎ「え、え、え……元カノ!?また!?何人いるのパン次郎!!」
しおん「そもそもバターってどういう存在なの!?パンに塗る側でしょ!?」
セリスティア「……塗る側がしゃべる時点で、もう終わってるのよ」
ラスト・バター「……私は、“焼きそばパン計画”の失敗作だった……」
パン次郎「それ以上は言うな!!過去を蒸し返すなぁ!!蒸されるのもダメぇ!!」
ラスト・バター「いいえ、言わせて──!私は、貴方の中に入ることを許されなかった唯一の具材。だから私は、パンの外から世界を変えるの」
アロマ「発想がテロリスト」
──空に現れる巨大なホログラム。そこには謎のプロジェクト名。
《Project: Last Toast》
•パンの消費期限を反転させる
•食べた者は、記憶をパンに保存され、パンが“意識体”を得る
•最終段階:人類を全員パンにする
カグラ「いやバグりすぎだろ!?っていうか記憶保存って何!?」
ラスト・バター「……この世界に、真に愛されたパンなどいない……だから私は、パンを神にするのよ!」
パン次郎「やめろ!パンは……愛されるもんだろ!?消費期限が切れても、捨てられなくても、あったかい思い出があるんだ!!」
──パン次郎の叫びとともに、胸ポケットから飛び出す「キャベツの切れ端」。
こむぎ「それ……私が最初にあげたやつ……」
ミルミ「キャベツで回想が始まるRPG、はじめて見たよ」
──そして今、パン次郎は決断する。
パン次郎「もう逃げない。俺はパンだ。でも、“彼女たちの愛”に、応えるパンになる!」
──世界が、パンの誓いに震えた。
セリスティア「ちょっと待って、パンの決意で世界が震えてるって何なの……?」
アロマ「現在、パン密度上昇中。空間にパン干渉が起きてる。危険」
──世界の空が、焼かれ始めていた。
空から降り注ぐ、巨大なパン粉。
風に舞うのは、記憶のかけら──焼きそばの香りと、少女たちの想い。
ミルミ「パンが……空を覆ってる……」
セリスティア「これが……“世界焼成”……!? トーストサイズじゃない……地球サイズよ……!」
アロマ「パン干渉、最終段階突入。時間がない。あと3分で、“人類、トースト化”が始まる」
カグラ「ちょっと待って!?俺パンの具材になるの!?サンドされんの!?」
──そのとき、パン次郎が叫ぶ。
パン次郎「俺はパンだ!でも、意思あるパンなんだッッ!!」
こむぎ「パン次郎……」
──パン次郎が走る。
パンじゃない。魂が走る。恋が走る。
パン次郎「ルリカ!しおん!こむぎ!そして……ラスト・バター!!」
バター「……!」
パン次郎「お前の気持ちも、俺は……ちゃんと、受け止める!!」
──パン次郎の体が、光に包まれる。
セリスティア「まさか……焼かれながら進化してる!?あれは……神のパン——“アルティメット焼きそばパン”!!」
ミルミ「……フワッとしてるのに……泣きたくなる味だよ……」
──パン次郎はバターに手を差し出す。
パン次郎「一緒に……世界を救おう。パンも、人間も、好きなように生きていいんだ……!」
──静寂のなか、バターが涙を流す。
バター「……あったかい……焼かれてるのに……こんなに、優しいなんて……」
──空からパン粉が止まり、光が晴れ、地球が“食パン”にならずに済んだ。
アロマ「焼きそばパン──すべてを終わらせた。彼こそが、世界の主食」
セリスティア「じゃあ明日は……ごはん回ね」
──終わった世界の片隅で、カグラがつぶやく。
カグラ「……で、俺は何しに出てきたんだっけ……?」
ミルミ「パンの合間に突っ込む係でしょ?」
カグラ「便利キャラかよっ!」
──焼きそばパンの恋と世界を救った戦いは、終わった。
でも明日も彼は、購買部で待っている。
そう──あったかくて、どこか懐かしい、あのパンの味のままで。
いやもう、なんなんだこの話。
自分で書いてて「パンが進化して世界を救うラブコメってなに?」って何度も思いました。
でも、どこかで誰かが「このパン……泣ける」ってなってくれたら、本望です。
次回は……どうなることやら。




