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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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焼きそばパン、裁判にかけられる

パンとは……何か。

パンとは、宇宙なのか、哲学なのか、それともただの炭水化物か──

今回はそんな命題に、真剣に、ふざけて向き合ってみました。

焼きそばパンは世界を救う。たぶん。

──ある晴れた朝。


「ふぅ……やっぱ朝は焼きそばパンだな」


海辺のベンチに座るカグラは、いつものように焼きそばパンをもぐもぐしていた。セリスティアはすぐ隣で呆れ顔。


「毎日毎日……よく飽きないわね」


「むしろ、毎日だからこそ飽きない説」


「その理屈、パン以外に通じると思ってる?」


 


そんな他愛もない会話の最中だった──


 


「……カグラ=シノノメ、貴様に告ぐ」


 


空間がビリビリと震えたかと思うと、空から巨大な金色の召喚状がバサッと落ちてきた。


「えっ、なにこれ……パンのくず入ってない……?」


「いやそこじゃないでしょ!? 内容見なさいよ!」


カグラが広げて読んだその紙には、こう書かれていた。


【召喚状】

被告:カグラ=シノノメ

罪状:パンによる世界構造への干渉および宇宙的整合性の破壊

出廷場所:時空法廷ジャッジメント・ドーム

出廷猶予:なし(即時召喚)


 


「──えーと……これ、どういうこと?」


「要するに……パン食いすぎて世界に迷惑かけたってことじゃない!?」


 


カグラがぽかんとする横で、空間がぐにゃりと歪み始める。

空にぽっかりと黒い穴が開いた──裁判所行きのワームホールだ。


「よし、行くか。朝メシの続きはあっちで!」


「なんでテンション高いのよあんたぁぁぁ!!!」


 


──こうして、

世界とパンと“チートの罪”をめぐる裁判が、今はじまった。



時空の裂け目を抜けた先は、どこまでも白く輝く巨大ドームだった。

空間の中心には、文字通り“宇宙の法”を象徴するような光の天秤が浮かんでいる。


──ここは、あらゆる次元の法と理を司る

時空法廷ジャッジメント・ドーム


 


「わあ……ちゃんと“THE・裁判”って感じの場所だな」


「いや、感心してる場合! あんた被告人なんだからね!?」


 


法廷の中央にポンと落とされたカグラは、両手をポケットに突っ込んだまま平然としていた。


すると──


「──開廷!」


天秤の後ろに浮かぶ、宙に光る玉座が輝き出す。


そこに座していたのは──

ローブ姿の女神のような人物、いや、人格を超えた“何か”。


「被告カグラ=シノノメ、あなたは“焼きそばパン”を中心とする数々の行動により、

複数の時空にバグ干渉をもたらした容疑に問われています」


「……え、具体的にどのへんが?」


「時空の歪曲、因果の再構成、宇宙膨張率のパン風味化……多数です」


「いやパン風味ってなんだよ」


 


横から現れたのは、“検察側”を名乗る生物──

その名も《パンの観測者ピロネア》。


ふわふわのクロワッサン頭、目つきが鋭く、書類をバサッと広げる。


「こちらの証拠をご覧ください。“焼きそばパン”による干渉記録は、もはや銀河系の倫理に反します」


「……え、そんなに? パン1個で?」


「パン1個じゃありません、累計3789個です!!」


 


場内どよめき。


カグラはちょっとだけ申し訳なさそうに口元を拭いた。


「……やっぱ朝昼晩パンって、やりすぎだったかもな」


 


「反省する点がズレてるーー!!!」

セリスティアのツッコミが、ドームに響き渡る。


 


──裁判は、まだ始まったばかりだった。




「では、証人を──召喚します」


女神のような存在が天秤の片側に手をかざすと、

時空のひび割れから、“パンで世界を救った”という伝説の勇者が現れた。


──が。


「……おい、なんか見覚えあるんだけど」


そこに立っていたのは、カグラそっくりの“異世界カグラ”だった。


「ども〜、俺です。第三宇宙のパン勇者、カグラ=シュタインです」


「お前、別宇宙でもパン食ってんのかよ!!」


「むしろこっちはパンで魔王倒したけど?」


 


観客席なぜかあるもざわつく中、セリスティアは顔を覆った。


「ダメだ……類友どころか、全世界にカグラ被害が広がってる……」


 


ピロネア検察官がスライドをめくる。


「ご覧ください。“バグ焼きそばパン”によって引き起こされた時空融合の事例です!」


映し出されたのは──異世界の王女が、パンを“神託”として崇めはじめている映像だった。


「この世界では、パンの配合具合で未来が予知できます。これは“パンデヴィネーション”です」


「……呪文みたいに言うなよ」


 


さらに別の映像では、パンの重力場によってブラックホールが安定化している異星文明まであった。


「なんでパンでブラックホールが制御できるんだよ!」


「あなたが“パン重力因子”を拡散させたからでしょう!!」


 


場内さらにざわつく。


しかし──そのとき、カグラの耳に、不思議な声が響いた。


「……そろそろ気づく頃だな。我々の“存在”に……」


カグラが目を見開く。

その声の主は、裁判の“傍聴席”に座っていた──


真っ黒なローブに身を包んだ、パン型フードの男。


「……あれ誰?」


「“観測外個体”よ。あれこそが──本当の証人かもしれない」



「──静粛にッ!!」


裁判長メルゼスが声を張り上げても、法廷内はもはや騒然としていた。


「そもそも! この男が撒いた焼きそばパンが、全次元に“反焼きそばパン汚染”を引き起こしてるんだ!」

「うちの世界、気づいたら“カツサンドの呪い”で時空が歪んだんですけど!?」

「なぜ焼きそばパンだけは干からびないのか!? この現象は明らかにチートだ!!」


 


──ざわつく空間に、ひときわ低く、透明な声が落ちた。


 


「……黙って見ていれば、まるで“パンの運命”が問われているようだな」


 


皆の視線が、傍聴席の奥──ひとり、深くフードを被った男に注がれる。


 


「お前……誰だ?」

裁判長が警戒を露わにする。


男はゆっくりと立ち上がり、フードを外した。


 


「シオン=ヴァレア。

記録では、かつて“観測者”と呼ばれた存在だった……そう記されていた」


「だった……?」


「今はもう違う。

お前たちのいう“因果”の外にいる。

パンの干渉を観測することすら──もはや意味を持たない」


 


「えっ、意味ないの!? 俺の焼きそばパンって!?」


 


シオンは、真っ直ぐにカグラを見つめる。


その瞳には“バグ”の揺らぎすら吸い込まれるような深さがあった。


 


「焼きそばパンは、因果の穴を通り抜けてきた。

お前が“食べる”ことで、世界がパン化していく。

お前自身が、“パンの概念”そのものになりつつある」


 


「──パンになるって何!? 俺、食べ物側なの!?」


 


 


その時──


 


「……異世界からの新たな“干渉”を検出」

背後で、アロマがデバイスを操作しながら低く呟いた。


「また何か来る……! この裁判所の座標が、“多次元パンワールド”に接続されかけてる!」


 


「やれやれ……」

シオンは空を仰ぎ、かすかに笑った。


 


「まさかパンによって、世界がこんなにも滑稽に、そして純粋に狂うとはな」


 


──裁判所の天井に、ぽっかりと“パン型のワームホール”が開いた。




天井に開いた“パン型の穴”──そこから、信じられないものが落ちてきた。


 


「──おい、今の……クロワッサンじゃなかったか?」


 


「いや、バゲットだった気がする」


 


「ていうか落ちてくるスピードが速い! 避けろ、パン爆撃だ!!」


 


ワームホールから、次々とパンが落ちてくる。

しかもどれも、明らかに“この世界のパンじゃない”。


 


「観測されていないパン種だわ……!」

アロマが驚きの声を上げる。


 


「パンのエネルギー値が……計測不能域に突入しています!」


「そんなのあるの!?」


 


カグラは、焼きそばパンを盾に空を見上げた。

──すると。


 


「我はパンの極み。

パン・オブ・パン。

すべてのパンの上にパンを重ねし者なり──」


 


現れたのは、パンの王冠をかぶり、パンのマントを羽織った

完全にパンすぎる存在だった。


 


「パンオブパンだとぉぉぉ!? どこまで行くんだこのパンの系譜……!」


 


パンオブパンは、威厳たっぷりに語り始めた。


「貴様……カグラ・シノノメ。

そのスキル《全属性無効+???》が、我がパン宇宙を貫いた。

もはや貴様の存在は、パンそのものである。

問う。貴様、パンか?」


 


「いや、俺は人間だし。パンじゃねぇよ!?」


「ならば──貴様の中のパンを示せ!」


「なにその禅問答みたいなやつ!」


 


──その瞬間、カグラの焼きそばパンが、まばゆい光を放つ。


 


「焼きそばパン、覚醒モード!? てか、まだ進化するの!?!?」


 


周囲の時空がゆがみ、次元がブチ抜かれていく。


空間はバターの香りに満ち、全次元が一瞬「朝食の気配」に染まった。


 


 


「焼きそばパン……第∞形態、《パンデモニウム・クラスト》へ……!」


 


シオンが小さく呟いた。


 


「世界は、いま……真のパンになる」



「うおおおおおおおッッ!!」


空間を突き破るような雄叫びとともに、焼きそばパンが完全覚醒。

放たれるエネルギーは、もはや“バグ”ではない。存在干渉そのものだ。


 


「うそでしょ……空が、パン生地になっていく……!」


セリスティアのつぶやき通り、雲がクリーム、風がバターの香りを帯び、

世界は“パン次元”へと侵食されていった。


 


「見よ──これぞ真なる“パン空間融合”だ!」


パン・オブ・パンが叫ぶ。


「このままでは……この世界ごと、サンドされるぞ!!」


「いやそれ、挟まれるってことだろ!? やめろ! 地球をパンで包むな!!」


 


カグラは空を見上げ、焼きそばパンを握りしめた。


「……俺が、お前を“食う”しかねぇのか」


 


──静寂が訪れる。


 


次の瞬間、焼きそばパンとパン・オブ・パンが衝突。

激しい光が宇宙にまで届き、世界は“サンドされる前”の状態に巻き戻された。


 


気がつくと──


 


「……あれ? 海辺に戻ってる?」


「バグ……収まった?」


「おれの焼きそばパン……焦げてるけど、あるな……よし!」


 


セリスティアがあきれた顔でカグラを見つめる。


「結局、何がどうなったのよ」


「さあ……ただひとつだけわかることがある」


 


カグラは、真顔でパンをかじった。


「焼きそばパンは、うまい」


 


──空の上では、どこかの次元に漂う“浮遊するパン王国”が、

そっと“ごちそうさま”の旗を掲げて消えていった。


“バグ”という存在をギャグに全振りしてからというもの、

書くたびに世界の整合性が破壊されていくのを感じています。

でも、それがカグラの物語。

今回もパンで世界が救われ、そして腹もふくれました。

次は、どんなバグが待っているのか……乞うご期待。

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