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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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50/300

焼きそばパンの記憶が消えた日

今回は“記憶”と“パン”が交錯する、バグ多め・感動(風味)少々の不条理回でした。

パンを巡る次元の乱れと、異次元カグラたちの無駄に熱い議論──

そして、最後には“焼きそばパン”が持つ大切な思い出が、静かに浮かび上がります。

朝。

いつものように目覚めたカグラは、伸びをしながらぼんやりと天井を見つめた。


 


「……なんか、腹減ったな」


 


特に珍しくもない、ただの空腹。

でも、なんだかモヤモヤする。何かが……足りない。


 


「……あれ? 俺、いつも何食ってたっけ」


 


その瞬間、部屋の空気が静止した。


 


ドアがバタンと開き、セリスティアが爽やかに顔を出した。


 


「おっはよ〜。今日も焼きそばパンの時間だよ〜ん! いつもどおり三つあるから選んでいいわよ〜ん!」


 


彼女の両手には、香ばしく湯気を立てた焼きそばパンの山。

黄金色のパン、ソースの匂い、完璧な朝。


 


なのに──


 


「……焼きそばパンって、なに?」


 


「…………は?」


 


セリスティアの笑顔がフリーズした。

それはまるで、世界のローディングが止まったような沈黙。


 


「なにって……え、ちょっと、待って、今なんて言った?」


 


「いやだから、焼きそばパンってなんだ? 食い物? 新手の呪文? 〇ケモン?」


 


「……アタシの焼きそばパンを〇ケモン扱いすな!!!!」


 


パンが1個、投擲武器と化してカグラの額に直撃。

ぐしゃっといい音を立てて床に転がった。


 


「いや、なに!? ガチで知らんのよ! 俺、そんなにパン狂だったっけ!?」


 


セリスティアはしばらく固まったあと、ふるふると震えながら呟いた。


 


「……これは、事件だわ。大事件だわ……この世界の終わりかもしれないわ……」


 


焼きそばパンの記憶を失ったチート主人公。

世界は、またもや、謎のバグに巻き込まれようとしていた──。



「落ち着いて……何か原因があるはずよ」


セリスティアは深呼吸しながら、浮かぶ魔法陣から情報を検索し始めた。

カグラはというと、まだ眉間にシワを寄せたまま、焼きそばパンを手に持ったり、においを嗅いだりしている。


 


「……これ、パンの皮に、なんか……茶色い……スパゲティ?」


「スパゲティじゃないわよ! ソース焼きそばよ! しかも焼きそばパンっていう完成された神食よ!」


「うーん……この見た目とにおい、完全に初対面だわ」


 


セリスティアはごそごそとバッグから、見慣れないデバイスを取り出した。

見た目は魔法と科学が融合したような──なんというか、やけに中二病くさい造形だった。


 


「記憶干渉検出装置・試作型。いざという時のために用意してたの。名前は……《リメンバリン》!」


 


「ダッサ……」


 


「うるさい! これが唯一の手がかりかもしれないのよ!」


 


カグラの頭にポンと《リメンバリン》を乗せ、魔力を流し込む。

デバイスがジジッと音を立て、スクリーンに“欠損領域”という表示が浮かび上がった。


 


「……やっぱり。カグラの記憶の一部が、不自然に空白になってる」


「俺の焼きそばパンメモリが……フォーマットされた!?」


「比喩が雑っ!! でもたぶんそれで正解……これ、外部干渉の痕跡がある」


 


「誰かが……俺の焼きそばパンだけを消した?」


「そんなことができるのは……“観測外干渉レベル”の存在よ」


 


そのとき、カグラのポケットがピコンと鳴った。

見ると、どこにも登録してない通知──“記憶市場システムより再起動要求”と表示されていた。


 


「……記憶市場って、前にちょろっと関わったよな?」


「そうよ、でもそれ、世界律管理機構の一部で……普通は、接続すらできないはず……」


 


──記憶の改竄、観測外の干渉、そして焼きそばパンを消すという謎の意図。


全てが、徐々に繋がり始めていた。


 


「……焼きそばパンって、もしかして……ただの食い物じゃなかったのか?」



「私、見たことがあるわ。これに似た症例──“記憶の核”が、まるごと食べられたケース」


セリスティアが静かに語り始めた。


 


「記憶って、ただの情報じゃないの。存在の一部……とくに“初めての焼きそばパン”みたいに、感情と結びついた記憶は特に強い」


 


「なるほどな……。つまり俺の“焼きそばパンとの出会い”は……誰かに、根こそぎ食われたと」


「パンを“食べた”記憶が、“食べられた”って……」


「うん、ちょっと混乱するけど、語感はいいよな」


 


セリスティアは再び《リメンバリン》を操作し、欠損領域を拡大。


すると、そこには不可解な“文字化け”のようなデータ痕跡が現れた。


 


「……“YKP-0001”、焼きそばパン第一世代? なにこれ、分類コード……?」


 


その瞬間、カグラの頭の中で何かが“パチン”と弾けた。


 


 


──真っ白な空間。

ただひとつ、そこにぽつんと浮かぶ、焼きそばパン。


 


(おい……俺……?)


パンがしゃべった。


(お前の記憶は、ここだよ……。焼きそばパンに、最初に“うまっ”って言ってくれたの、お前だったろ?)


 


「誰だお前!? パンなのにしゃべんなよ!」


 


(忘れないでくれよ……俺のこと)


 


──パキィィン!!


 


現実に戻った瞬間、カグラの手の中で、焼きそばパンが「じゅっ」と音を立てて湯気を出した。


 


「──思い出したぁぁぁ!!!」


 


「え、いまパンが光ったけど!?」


「初めて食べたとき、冷めてたのにうまかった! しかもソースが指についた!!」


「それ、そんな感動的な記憶だったの!?」


 


 


そのとき、空間がぐにゃりと歪んだ。


焼きそばパンの存在が、記憶をトリガーに次元に干渉し始めたのだ。


 


「カグラ、何か来る! 空間が、パン次元に……!」


「──空間が……割れた!?」


 


セリスティアの叫びと同時に、周囲の景色がパリパリと音を立ててヒビ割れ始めた。


地面、空、空気の色さえも、まるでガラスのようにひびが入って──


 


「ちょ、ちょっと待って! 世界が……焼きそばパン色になってるぅ!?」


 


カグラの足元に現れたひとつの“穴”。

そこからは、見たこともない世界が覗いていた。


 


──すべてがパンで構成された、パン次元。


雲はパン、地面もパン、空を飛ぶのはパン鳥。

街はフランスパンで組まれ、川はソースでできていた。


 


「……俺、パンの中に召喚されてない?」


 


そのとき、耳元で声が囁く。


 


(“ようこそ、選ばれし者よ。記憶を返した代償に、パンの真理を背負え”)


 


「パンの真理!? なんで俺だけこのノリ真面目なんだよ!!」


 


次の瞬間、カグラの目の前に──

“パンでできた王冠”が浮かび上がる。


 


「これ……パンの、王……?」


 


(汝の記憶と共鳴し、次元干渉スキル《パン・リメンバランス》を獲得──)


 


「いやスキル名ダサいな!?」


 


セリスティアが後ろから飛び込んできた。


「カグラっ! 世界がこのままだと“パンで満たされてしまう”わよ!」


「そんな炭水化物過剰な世界イヤすぎる!!」


 


 


──バゴォォォン!!!


 


突如、パン次元の空に“異物”が侵入する。

黒く渦巻く穴から、無数の異次元カグラたちが降ってきた。


「よぉ俺!」

「こっちは“カレーコロッケパン主義”だぜ!」

「焼きそばパンは甘え!」

「パンってより小麦でしょ?」


 


「ややこしいの来たぁぁぁぁあ!!」


 


セリスティア、完全にフリーズ。


「ちょっと待って……何この、“全カグラ集結”みたいな展開……」


「俺も聞きたいよ!!!」


「──このままだと、パン次元が“俺のせいで”崩壊する!」


 


カグラは叫びながら、次元の裂け目の中央に立っていた。


周囲では、異次元カグラたちが言い争っていた。


 


「やっぱ“あんパン”が王道だろ!」

「何を言う、カレーパンが至高だ!」

「お前ら、メロンパンの甘さを知らんのかァ!?」


 


──収拾がつかない。パンに関してだけは誰も譲らない。


 


「もうパン関係なくなってるよねこれ……」


セリスティアが冷ややかな目を向けた。


 


そのとき──


空に突如として、巨大なパン型の“玉座”が出現した。


そして、それは静かに語りかける。


 


(王を選べ……真に、パンを愛し、パンと共に歩む者を……)


 


「またバカ展開来たーーーッ!!」


 


異次元カグラたちが一斉にザワつく。


「よっしゃ王選手権だ!」

「焼きそばパンの名に懸けて負けられねえ!」


 


──でも、そのとき。


カグラ(本家)が、ふと手にしたひとつのパンのかけら。


それは、かつてセリスティアが焼いてくれた、焦げた焼きそばパンだった。


 


「……これ、まだ……あったのか」


 


その焼きそばパンだけが、すべてのパンの中で温もりを持っていた。


玉座が静かに光を灯す。


 


(選定完了。──王は、“焼きそばパンの記憶”に涙した者)


 


「おい泣いてねーよ!? ちょっと目にソース入っただけだから!!」


 


──ゴゴゴゴッッッ!!!


カグラの背中に、謎のパンマントが出現し、頭には“やや焼きすぎ”なクラウンが。


「わぁ……似合わない王、爆誕した……」


 


「俺、もう……パンの王ってことでいいの?」


「良くないけど、今は受け入れるしかなさそうね」


 


──パン次元、統一完了。


次元の裂け目が静かに閉じていき、世界に平和(?)が戻った──


静寂が戻った世界に──


それは、不自然なほどゆっくりと落ちてきた。


 


「……あれって」


「パン、だな」


 


空に浮かぶ“浮遊パン大陸”のかけらが、まるで“羽”のように、ふわふわと降ってくる。


手のひらサイズのクロワッサン、半分だけかじられたフランスパン、そして──


カグラの頭上に落ちてきたのは、例の焼きそばパン。


 


「お、帰ってきた。俺の昼メシ」


 


それを大事そうに受け取りながら、ぽつりとつぶやく。


 


「でもさ。結局……なんだったんだろうな、“パンの記憶”って」


 


セリスティアは、海辺の岩に腰を下ろしながら答える。


「わからないわよ。パンに始まり、パンに終わる。それがこの世界の理なのかもね」


 


「お前さ、もうちょいロマンとかで語ってよ」


 


──ふたりは笑い合う。


世界はなんとか壊れずに済んだ。


だが──空には今も、“浮かぶパンの影”がちらほら。


 


その様子を、どこか別の次元から見下ろす“誰か”がいた。


 


「……やはり、始まったか。焼きそばパンに選ばれし者よ……」


謎のフードの男が、パンくずをつまみながらつぶやく。


「このまま進めば、次は“発酵の時代”だ……」


正直に言うと、毎回「何書いてんだろ俺」って思ってますが、

でも、それでも書ききったのは、パンへの愛、そして読んでださる人達とのこのバカバカしい旅路のおかげ。

次回はもう少し真面目に……なるかな? ならないかな?

さて、世界の空に浮かぶパンを見ながら、次のネタを考えましょうか

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