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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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世界、ちょっとだけ修正しました

今回のテーマは、

「戦争もバグも、パンには勝てない。」です。


セリスティアたち中立勢力や観測者、魔王本人まで巻き込んだ

まさかの“パンによる戦争回避”という誰得展開。

でも、この物語ではよくあることです。


肩の力を抜いて、パン片手に読んでいただけたら嬉しいです!

——目が覚めたら、世界は“なんとなく”元に戻っていた。


 


「……あれ? 空、青くない?」


屋台《せれす亭》の屋根の上で、カグラは寝癖全開の頭をかきながら空を見上げていた。


昨日の昼には空が“パン色”になっていた気がするのだが……

焼きそばソースが染み込んだ雲とか、モチモチした光とか、そんな気配は今のところない。


 


「どういうことだ……パン神は……?」


 


「寝言うるさいんだけど」


セリスティアが素っ気なく突っ込む。すでに彼女は屋台の裏で焼きそばを仕込み中だ。


 


「というか、なんで私たち屋台の上で寝てたの?」


「……世界が、パンになったんだよ」


「なるほどわからん」


 


そんな会話が交わされるほど、世界は“何事もなかったかのように”日常へ戻っていた。


……ただ、パンの香りだけは、なぜかまだ残っていた。


「それにしても……記憶が曖昧なんだよな」


カグラは焼きそばパン(※今朝焼いたやつ)をかじりながら、ぼんやりと呟く。


「世界がパンになって……神になって……で、寝たら治ってた?」


「だいたい合ってるけど、正確に言うと“修正された”のよ」

セリスティアが手を止め、胡椒をトントンと振りながら説明する。


「昨日、観測機構から連絡があったの。『この世界の“パン優先度”が異常値だったため、調整を試みました』って」


「調整って、そんなノリなの?」


「うん。ついでに“おやつの時間”という概念も再インストールしたらしいわ」


「俺の胃袋に優しい世界じゃん……」


 


そこへ、“すっと”現れる人影があった。


 


「……よかったな。パンから人類は脱却できたらしい」


「わあ、シオン=ヴァレアさん! 淡々と不安になること言わないで!」


 


シオンは相変わらず、宙を見ながら詩的に語り出す。


「この世界は仮初の安寧を得たが……その構造体は、焼き直された記録の集合に過ぎない」


「難しいこと言ってるけど、多分“パンまみれだったけど直ったよ”って言ってるんだよね?」


「世界とは、カリッと焼けた表面と、モチッとした内面の融合体──」


「またパンの話してるーッ!」


 


「でも……パンバグは治っても、根本の問題は解決していないわ」


セリスティアが急に真面目な顔になる。


「王国と魔王軍の関係も、あの“観測外個体”の件も……いずれ、また動き出す」


 


「……ってことで、しばらくは焼きそばパンを焼きながら様子見だな!」


「いや、だから軽すぎるんだってば!!!」


「……で? その“様子見”って、どこで何するつもりなの?」


セリスティアが両腕を組みながら問いかける。


カグラはというと、床に寝転がってパンくずをつまみながら答えた。


「とりあえず、今日はのんびり“白の庭園”でお昼寝しつつ……」


「……お昼寝しつつ?」


「焼きそばパンを焼く!」


「また焼くの!?」


 


その瞬間、庭の奥からバタバタと足音が近づいてきた。


「カグラさん!! 大変ですよー!!」


 


現れたのは、白衣姿の魔術院職員……ではなく、

ただのテンプレ召使キャラこと、セリスティアのお抱え使用人(仮名:ポトフ)である。


「なんかすっげぇ久しぶりに出てきたな!?」


「ポトフだ。影が薄いことには定評がある」


「何を誇らしげに!?」


 


ポトフは汗をかきながら巻物を差し出す。


「魔王軍と王国が、また干渉地帯で“会談”を開くらしいです……!」


「え、また? 最近多くない?」


「はい。でも今回は、どうやら“開戦前提の最終確認”っぽいです……!」


 


「え、それもう“会談”じゃなくて“開戦式”だよね??」


「まぁ、一応議題は“バグスキル保持者カグラの扱いについて”らしいんで……」


「俺、また議題になってるの!?!?」


 


セリスティアが一歩前に出る。


「その会談、今度こそ本気かもしれない……」


「……パン焼いてる場合じゃない?」


「いや、たぶんパンは焼いてもいい。焼きながら戦えば」


「それ新ジャンルすぎるでしょ!?」


 


カグラが空を見上げる。


夕焼けに染まる空には、どこか“終わり”の気配と、“始まり”のざわめきが混ざっていた。


 


「よし、決めた」


「まさか――」


「焼きそばパンの試作品、今から三種作る」


「そっちかーい!!!」


「──というわけで、試作品第一号は“タルタル焼きそばパン”です!」


 


〈白の庭園〉の一角、どこから持ってきたのか謎の屋台が今日もフル稼働中である。


カグラは鼻歌まじりにパンをトースターに放り込み、

となりではミルミが「うわ〜! なんかトロトロしてる〜!」ときゃっきゃとはしゃいでいた。


 


「……なぁ」


「うん?」


「これ、“世界ちょっとだけ修正”って話だったよな?」


「うん。“ちょっと”ね。“パンが世界改変起こすバグ”が“トッピング次第で止まる”ことにした」


「それ、もう根本からバグってるのでは?」


 


セリスティアが額をおさえる。

そばではアロマがタブレット風魔導端末を操作している。


 


「観測データ異常なし。焼きそばパン(タルタル)はバグ拡散を抑制しています」


「やっぱり抑えてるんだ……」


「てかその言い方だと、“普通の焼きそばパン”はバグを拡散してるってことじゃ……?」


 


ラドリウスが空間の狭間からヌッと現れた。


「パンに意思が宿ったか……それもまた、神託の一端なのかもしれん」


「いや、帰って!? 君ほんと帰って!!」


 


カグラはパンを一つひっくり返しながら、ぼそりと呟いた。


「焼きそばパンが……神になるのは、もう少し先にしておこう」


「やめて、その発言だけ抜き出すとめっちゃ危ない宗教みたいだから!」


 


セリスティアが小さく笑い、空を見上げる。


「……でも、冗談抜きに、ここから先は慎重に行かないとね」


 


そう。世界は、確かに“ちょっとだけ修正”された。


だが、それはあくまで“つぎはぎの応急処置”。


魔王軍と王国、そして中立勢力《白の庭園》。

次の会談が、“全面戦争”への引き金になるかもしれない。


 


……けれど今は、まだ。


 


「ほい、焼き上がり〜! 特製“とろけるチーズ焼きそばパン”!」


「バグってるって言ってんのに、増やすなああああ!!!」


 


──とりあえず、今はパンを食べよう。


「っていうかさ、あの会議の記録って残ってるの?」


屋台の裏で焼きそばをつまみ食いしながら、カグラが不意に問いかけた。


 


「記録……? ああ、前回の“世界各勢力総会議(仮)”の?」


セリスティアが眉をひそめる。


 


「一応、観測者たちのサブログにはあったはずだけど……」

「……バグで焼きそばパンのレシピに上書きされてたわ」


「情報食われてんじゃん!!!」


 


どうやら世界が“ちょっとだけ”修正された影響で、

各勢力の首脳会議の記録が“パン化”されていたらしい。


──つまり今、誰も何が話し合われたか覚えていない。

ただ、“なんとなく戦争になりそうだった気がする”というふんわりした不安だけが残っている。


 


「え、これ……平和ってことでよくない?」


「それ、悪化の前兆じゃない?」


セリスティアの表情に、ほんの少しだけ影が差す。


 


そして。


空のはるか彼方。

観測者の衛星軌道上――

“ログ修正不能”という赤い文字とともに、巨大な熱源が観測された。


 


──その熱源は、王国の北部、そして魔王軍の最前線、双方に向かって“点滅”していた。


 


「……焼きそばパンの焦げる匂いじゃ、ないよね?」


「……うん、それはたぶん、“火薬”の匂い」


 


世界が、静かに、またズレ始めていた。



「──というわけで、再度“会議”を開こうと思うんだが」


王国の首都、謁見の間。

謎のスーツ姿で再登場した**観測者(仮)**が、書類(なぜかレシピ用紙)を広げていた。


 


「また!? 前回、焼きそばパンのせいで議題が全部吹き飛んだでしょ!?」

「てか、なんで今度は“ナポリタンロール”のレシピなんですか!?」


メルゼス監察官が机を叩くが、レシピ紙はパラパラと風に舞った。


 


「……お、おい。見ろ」


カグラが空を指差した。

セリスティアとメルゼス、ラドリウス、ジルド、リリィ、アロマ、ミルミ……全員の視線が一点に集まる。


 


空に、真っ赤な文字が浮かび上がった。


 


《干渉地帯に集合せよ:全勢力代表》

•観測異常レベル:バグ判定B+

•通信ログ:未解析

•パン濃度:測定不能


 


「……なあ、パン濃度って何?」


「うちの機関も初耳です!!」


「というか、パンのせいで“通信ログ未解析”ってなに!? 文明がパンに敗北してるの!?」


 


そのとき、空間が“ぬるっ”と音を立ててゆがんだ。


そこに現れたのは――


 


「どもー。焼きたて持ってきたよ」


カグラだった。

両手に山盛りのナポリタンロールを抱え、なぜか浴衣姿でふらっと登場。


 


「……お前、どこ行ってた?」


「夏祭り。今、屋台バイトのシフトだから」


「戦争始まるってタイミングでバイト入れるなよ!!」


 


その瞬間、空がうっすらと割れた。


そこから漏れ出す光と、響く重低音の警告。


 


《観測不能ログが多数発生》

《世界律・整合性:異常あり》

《パンの神性:急上昇中》


 


「なんか……ほんとに始まるかもな、戦争」


カグラがパンをかじりながら呟く。


 


「でもさ、戦争って、焼きそばパン食べながらやっちゃダメなん?」


 


誰も、答えられなかった。



《干渉地帯》


王国と魔王軍、観測機構、その他なにかと巻き込まれた勢力が一堂に会する謎の空間。

今、そこにいる誰もが──理解できていなかった。


 


「……つまり?」


セリスティアが、いつもの優しい顔で訊いた。


「この状況、どういうこと?」


 


「俺にもわからん!」


ラドリウスがなぜか両手にフランスパンを持ちながら叫んだ。


「なぜパンが原因で“世界の整合性”がバグるんだ!?」


 


「おそらく、“あの男”の【???】スキルが、“存在認識”そのものに作用しているのだろう」


シオンが哲学的に首を傾げながら、カレーパンをもぐもぐしている。


 


「パンで哲学語るな」


メルゼスが机を叩く。だが、その机はすでにあんパンになっていた。


 


「やっぱり“存在改変”じゃないか……!」


アロマが震える声で呟く。


「このままだと、世界はパンに置き換わる……!」


 


「バグとか戦争とか言ってる場合じゃない! 朝食が始まる!!」


誰かが叫んだ。


 


 


その瞬間──空間が割れた。


 


《魔王、到着》


 


そこには、威風堂々とした、黒と金の鎧を纏った男がいた。


その口元がゆっくり開かれ──


 


「パンください」


 


「おまえもかーーーーっ!!!!」


全員が一斉にツッコんだその瞬間、


世界律がパンで上書きされ、干渉地帯は“高級ベーカリー”へと変貌を遂げた。


 


──そして、開戦は一旦中止となった。


 


理由はこうだ:


「パンの焼き加減に満足するまでは戦えない」

―魔王


はい。焼きそばパン、神になりました。

世界よりパンが優先される時代へようこそ。


今回はもうほとんど「戦争? それって朝食の一種?」みたいなノリでお届けしましたが、

こんなふざけた回にも、カグラの【???】スキルの真相っぽい話が、うっすら混ざってた気がします。

うっすらね。

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