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【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

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焼きそばパンと哲学者

世界がバグってます。

でも大丈夫、焼きそばパンがあれば、たぶんなんとかなる(?)


今回は、前回登場した“哲学者シオン”とのやりとりをゆるっと引き継ぎつつ、

カグラの謎スキル『???』にほんのり光を当ててみました。


いや〜……“うまい”って言われるだけで、

世界の認識がねじれるってどういうこと???


正直、書いてるこっちも「うまい」の意味がわかんなくなってきました。


白の庭園ホワイトガーデン

静寂と緑に包まれたその結界空間の中心で、今日もひとりの男が焼きそばパンをかじっていた。


 


「……ふむ。このもちもちパンの中に潜む焼きそばの絶妙な塩気……」

「うん、今日も世界は平和だな」


 


――いや、平和ではない。


 


「……カグラさん」

「そろそろ、あなたの“スキル”について検証しませんか?」


 


いつものごとく、おっとりとした笑みでセリスティアが切り出した。

が、その背後にはやけに厳重そうな魔導装置が浮遊している。


 


「いやいやいやいや、なんでそんな物騒な空気出してんの!?」

「俺はただ、パン食ってただけだよ!?パンだよ!?」


 


「そこが問題なんです」

「パン食べてるだけなのに、世界がバグってるってどう考えてもおかしいんです」


 


「そんなこと言われても、俺自身がバグってるのは知ってるし……」


 


ふと、結界の片隅に座っていたシオンが、ぼそりと呟いた。


「……焼きそばパンを食べるたび、世界が微妙にズレてる気がする」


「こわっ!?なんで!?俺、パン食べただけだよね!?」


 


セリスティアはふんすと鼻息を立てて、魔導装置を展開し始めた。


「では、まずスキル観測から入ります。いいですね、観測対象:カグラ・シノノメ――スキル名取得!」


 


魔導パネルに、無数の魔法式が展開されていく。だが、次の瞬間――


 


《スキル名:???(未登録)》

《エラー:ログが取得できません》

《エラー:使用者のステータスに干渉できません》

《エラー:焼きそばパンが美味しそうです》


 


「いや、最後のエラーふざけてるだろ!!」


 


セリスティアは真顔だった。

「これは、術式が使用者の影響を受けてバグってますね……」


「パンで!?パンのせいで!?」


 


シオンがふっと立ち上がった。

風もないのにマントがゆらめく。そういうキャラである。


「……ログが白紙。いや、それ以前に“ログの在処”そのものが存在していない」


「どういうこと?」


「彼は……“観測そのものが無効化されている”状態にある」


 


「……俺って、そんなにヤバいの?」


 


焼きそばパンの袋を見つめながら、カグラは首を傾げた。

その後ろで、魔導端末が静かに発熱を始める。


「……次のテスト、いきますね?」


 


セリスティアが淡々とした口調で宣言しつつ、ゆるふわな手つきで結界魔法を発動する。

カグラのまわりに薄く光る球体が形成されていき、魔法干渉を可視化する特殊空間が構築された。


 


「この空間では、あなたに向けた魔法の挙動が詳細に記録されるはずです」


 


「やめようよ! 俺、ただの焼きそばパン男子だよ!? 実験体扱いひどくない!?」


 


「安心してください。痛くはしません」


セリスティアがにっこり笑うと同時に、

手元に浮かんだ魔導陣から、軽めの《風の弾丸》が放たれた。


 


ヒュンッ!

――シュボォンッ!!!


 


風弾がカグラの身体を貫いた……ように見えた瞬間、空間が“ぐにゃり”と歪んだ。


 


「……あれ?」


 


次の瞬間、弾丸は真横に曲がってワープし、観測用のクリスタルに直撃。

パァン!という情けない音とともに、測定装置がスモークを吐きながら崩れ落ちた。


 


《観測失敗:空間座標が不定のため、軌道記録不能》

《干渉エラー:対象が“存在していない”可能性》

《パン:無事》


 


「また焼きそばパンだけ残ってる!?なんで!?」


 


セリスティア「……さすが、世界をゆがめるパン」


カグラ「いや、パンは悪くないって!?」


 


シオンが端末をのぞきこむように呟いた。


「この現象、カグラのスキルが“魔法の法則そのもの”を無視している……というより、上書きしてるように見える」


 


「つまり?」


「“パンを食べてる間は、世界のルールよりパンの都合が優先される”」


 


「パンの都合てなに!!!???」


 


焼きそばパンの袋が、ゆっくり風に揺れた。

カグラは、もうツッコミ疲れていた。


「よし、次は物理的な領域でスキャンしてみましょう」


 


そう言ってセリスティアは、〈白の庭園〉の内部結界をさらに深層モードへ切り替えた。

いわばこの世界でも最高クラスの“情報セキュリティ空間”だ。


 


「この空間には、あらゆる存在は“登録”されていないと入れません。つまり……」


 


「つまり?」

焼きそばパンを食いながらカグラが尋ねた。


 


「存在が認識されない者は、強制排除されます」


 


「えっ、こわ……俺、吹っ飛ぶの?」


 


「可能性はありますけど、まあ、大丈夫ですよ?」

にっこり笑ったセリスティアの後ろで、すでに魔導障壁が展開されていた。


 


カグラの足元がゆらりと揺れ、結界が完全に発動する――その瞬間。


 


《警告:未登録存在を確認》

《干渉:不可能》

《存在コード:NULL》

《状態:記述不能》


 


バァァァンッ!!!


 


空間の中心で、干渉フィールドが一瞬だけ“反転”した。

外縁にいたはずの結界が、中心へ引き込まれるようにぐにゃりと潰れ――そして、元に戻った。


 


「……生きてる!?俺生きてる!?パンもある!!」

カグラは必死で袋を確認している。


 


セリスティアは呆然としたまま、記録端末を眺めていた。


「これ……“世界の存在コード”そのものを読み込めなかったってことですよね……」


 


「そもそもこの人、コードに“存在しない”のでは?」


 


シオンの一言が、妙にリアルな重さで空気を沈ませる。


 


「……この世界のルールの中に、最初から“定義されてない存在”。それが彼だとしたら……」


 


「怖いこと言うなよ!?焼きそばパンしか食ってないのに!!」


 


そのとき、記録端末が急にピコンと鳴った。


《NEWメッセージ:解析不明スキルからの内部信号を検出しました》

《内容:“うまい”》


 


「…………」

「…………」


 


「それ俺の感想だよな!?」



焼きそばパンの袋を手に、カグラが天を仰ぐ。


「まさか俺のスキル……“うまい”って喋るの?」


 


セリスティアは真顔で端末を操作していた。

「いや、これは“感想”ではなく、“干渉”です」


 


「“うまい”が干渉なの!?」


「スキル『???』が、観測された情報に対してコメントを返してきたんです。しかも、解析不能な言語を自動翻訳して」


 


「ってことは俺のスキル、喋れる系!?キャラ立ってる!?」


 


ピコン!


《NEWメッセージ:“うまい(強調)”》


 


「だから誰!?なんで二回目!?しかも強調ってなに!?俺の感想、勝手に増幅しないで!!」


 


セリスティアは深いため息をつきながら、空間に表示されたスキルログを指差した。


「これ、ちょっと見てください」


 


そこには謎のコード群の中に、こんな記述があった。


[対象:KAGURA_SHINONOME]

[ステータス:UNKNOWN]

[クラス:世界境界外個体(Out-of-Bound Entity)]

[状態:概念的存在]

[備考:うまい]


「……最後の“備考”がぶっ壊してんだよなぁ!!!!」


 


カグラはついに焼きそばパンを置いた。

「もうだめだ。俺、世界から浮いてるっていうか、完全に“パン寄りの存在”になってるってことだよね?」


 


シオンは静かに頷いた。

「君の“主成分”は、もはや炭水化物かもしれない」


 


「やめて!?存在の主成分を炭水化物って言わないで!俺の哲学が崩壊する!!」


 


セリスティア「大丈夫です。私がちゃんと支えますから、カグラさんの炭水化物人生を」


 


「言い方おかしいよね!?ね!?」




「そもそもさぁ、俺のスキルってなに?『???』ってなんなの?」

カグラが口をとがらせて言う。


 


「“わかんないから???なんですよ”って答えはナシね!?」


 


セリスティアは苦笑しながら、再び解析ウィンドウを呼び出した。


「現状、観測できているのは《全属性無効(Ver 0.01β)》と、《???》……ただこの《???》がやっぱり異常なんです」


 


シオンが横から補足する。


「“スキル”じゃなくて、“バグ”に近い。“この世界が理解できてない何か”がカグラに宿ってる、って感じだね」


 


「つまり?」


「世界の“上位レイヤー”から、こっちにデバッグモードで降りてきてるようなもの」


 


「は? 俺、神様のバグ取りツールかなんかなの??」


 


「可能性としてはね」


「うわあぁぁ、俺の焼きそばパン人生がぁぁ……!!」


 


シオンは、真顔で空間を一つ指差した。


「たとえば、そこ」


 


そこには“誰もいないはずの空間”があった――

のに、カグラが視線を向けた瞬間。


 


「え、誰かいる……?」


ふっと、その“空間”が揺れた。

まるで、そこに最初から“誰か”がいたかのように。


 


セリスティアがすかさず結界を張りなおす。

「認識干渉……!カグラさんの視線に、世界の方が合わせにきた……!?」


 


カグラ「なんで!?俺の目線に合わせて存在が生まれたの!?怖ッ!?っていうか、それもう“神視点”じゃない!?普通の人間にやらせる内容じゃないよね!?」


 


ピコン!


《NEWメッセージ:“そうだね(軽い同意)”》


 


「こいつ、ノリ軽っ!!」


 


シオン「……というか今の、“返事”が来る前に、すでにスキルが自分に質問されたって理解してた。つまり、認識と時間軸を先読みしてる」


 


カグラ「なんでそんなサイキック系!?焼きそばパンだけは現実的なのに!」


 


セリスティア「焼きそばパンは世界と繋がる“定数”なのかもしれません……」


 


「いや、いくらなんでもパンを世界の定数にしないで!!!」



「……で、どうするの? 俺、このままだと世界に認識されてないんでしょ?」


 


カグラは焼きそばパンを食いながら、もはや諦めた表情で言った。

ちょっとパンの端っこが結界のフチにぶつかって、ピカッと光る。


 


セリスティアは真剣な顔で答える。


「現状、カグラさんの存在は“安定していない”状態です。結界が受け入れたり、弾いたり、まるで……この世界が迷ってるみたいな」


 


「迷ってるって、何? 俺をパンとして認識するか、人として認識するかってこと?」


 


「……はい」

「ほんとに!? 焼きそばパンとの境界、そんな曖昧なの!?」


 


シオンがぼそっと呟いた。


「でも実際、焼きそばパン食ってる時がいちばん安定してるしな……」


 


「うわー、俺もう“炭水化物依存型・世界安定装置”として認識されてんのか〜〜〜!?」


 


ピコン!


《NEWメッセージ:“うまい(3回目)”》


 


「うん、もう認めるしかないよね、これ」


 


 


──その後。


 


セリスティアの結界は“カグラの認識パターン”を学習し、

スキル『???』が世界干渉を起こさないよう、自動で“焼きそばパンを補給する”設定が施された。


 


「つまり、パンがなければ世界が壊れる」


 


「そんなパンある!? 俺、ついに世界の命運を背負った!? 俺のパン、救世主だったの!? でもなんか納得できるのが悔しい!!」


 


 


──そんなこんなで、今日も〈白の庭園〉は、

焼きそばパンの香ばしい匂いと、世界線のバグでほんのり漂っているのでした。

お疲れさまでした!


ついにカグラのスキル『???』が……喋りました(軽く)

そして、世界線と焼きそばパンの関係性がますます混迷を極めてきましたね。


セリスティアの結界が「パン前提」で組み直されるあたり、

この物語の方向性に不安を感じた方、ご安心ください。もう遅いです。


次回はちょっとだけ“現実世界”との接点を意識しつつ、

例の「王国側の動き」なんかもゆるっと挟んでみる予定です。


それではまた、焼きそばパン片手に次回でお会いしましょう。

うまい!(3回目)


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