表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【全属性耐性ゼロ】だったのに、全ての攻撃が効かない最強バグスキルを手に入れました※タイトル詐欺です  作者: Y.K
第1幕

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/300

あの2人”、世界がバグってるのに空気読まない

お読みいただきありがとうございます!

今回は、懐かしの(?)キャラが再登場したり、パンが光ったり、世界がバグったり……相変わらずゆる〜く世界が崩れていくお話でした。


ジルドくんとリリィちゃん、覚えてましたか?

忘れてても大丈夫。テンプレ勢なので、登場した瞬間にテンプレ感で思い出させてくれます。

カグラとの再戦(?)もきっと……何か意味が……あるような気がします(適当)


さて、次の舞台は「干渉地帯」。

なんかいよいよ話が進みそうな雰囲気ですが、たぶん気のせいです。

「ラドリウスは……去った、のよね?」


セリスティアがゆるく溜息をつく。

空気はまだざらついている。さっきまで“戦争”の火種が投げ込まれかけていたのに──

今は庭に焼きそばパンの香りがただよっているだけ。


「で、俺はその間にパンを焼いていたわけで」


カグラが堂々と胸を張る。

もはやツッコミも慣れたものだ。シオンも何も言わず、隅でパンを食べていた。


「焼き加減、よし。魔導炉の温度安定もよし。焦げてない。うむ、完璧」


「……カグラくん、それ、報告することだったの?」


「一応? 食品衛生、大事」


セリスティアが額に手をあてて「やれやれ」と肩をすくめたそのとき──


 


 


「そこまでだァァァ!!」


 


空気が──割れた。


比喩じゃなく、本当に“風圧”で庭の空気が爆ぜた。

やたら派手なエフェクトとともに、誰かが庭の石畳にド派手に着地する。


──スーツのような軍服風の上着。

──赤いマント。

──輝くエリートの証・金色の肩章。


 


「……誰?」


カグラが焼きそばパン片手に首をかしげる。


 


「久しいな、カグラ=シノノメ! 我が輩を忘れたとは言わせんぞ!」


 


そう叫んで、堂々とポーズを決めたその男──

ジルド=フォン=グランツ。


かつて魔術院にてカグラに開幕5秒で吹っ飛ばされた男である。


 


「覚えてる?」「微妙」「いや、顔は……」「誰だっけ?」


「ぐおおぉぉぉぉぉ!!」


ジルドのHPが開幕から0になりかけていたその時──


 


「まったく、しょうがないわね……!」


ふわりと舞う金髪ツインテール。


「お嬢様参上!! カグラ! 今日こそ決着つけてやるわ!!」


もう一人のテンプレキャラが、空気を読まずに空から落ちてきた。


リリィ=ハートフィールド。

正統派に見せかけて中身は脳筋の、テンプレツンデレ令嬢。


 


──世界がバグっていても、空気は読まない。

そんな2人が、久々の再登場。


カグラは──焼きそばパンの焼き加減しか気にしていなかった。


「で、何しに来たの? 焼きそばパン食べる?」


カグラが当然のようにパンを差し出す。


「ち、違うッ! 我が輩はこの世界のバグを正すためにだな──!」


「いやそれラドリウスのセリフでは?」


セリスティアの冷静なツッコミが飛ぶ。

シオンは黙ってお茶を飲んでいる。やはりノータッチ。


「と、とにかく!」とジルドが身を乗り出す。


「我が輩はカグラ、お前にリベンジを果たすべくここに来たのだッ!」


「ふーん、で誰だっけ?」


「ぬあああああ!! 1話の開幕でぶっ飛ばされたエリートだと、あれほど言ってるのにぃぃ!!」


「……あー。あー、いたかも。えーと、バルド?」


「ジルドだぁぁぁ!!!」


隣でリリィが堂々と腕を組み、ふんっと胸を張った。


「いい? あたしたちは、この物語にちゃんと再登場するために、全力で空気を読まずに登場したのよ!」


「自分で言っちゃうんだ……」


「演出も予算も抑えめだったけど、ちゃんと落下エフェクト出たでしょ!?」


「それエフェクトって言っちゃダメなやつ!」


 


──そして。


「模擬戦を認める。特別に」


ひょっこり現れた魔術院の監察官が、淡々と告げた。


「あれ、メルゼスさんじゃん。生きてたの?」


「誰が死んでた想定だったんですか」


 


「ジルド=フォン=グランツ、リリィ=ハートフィールド。

貴様らには、“2人で1人”の扱いで模擬戦を許可する。相手はもちろん──」


「焼きそばパンの人だよねー」


「カグラ=シノノメだ」


「だよねー」


 


──テンプレ再戦イベント、まさかの実現。

だが、世界はすでにバグっている。


果たしてこの勝負、成立するのか?


それ以前に、パンは冷めないのか──。



「──では、始め!」


メルゼス監察官が手を振り下ろすと同時に、ジルドとリリィが動いた。


「行くぞリリィ! 覚えているか、我らが連携奥義!!」


「もちろんよ、ジルド! “魔導騎士連撃——”」


 


\\ “スターライト・ジャスティス・インパクト・ブレイカー!” //


 


「名前、長っ!!」

セリスティアが思わずツッコんだ。


「いやほんと、言い終わるまでに負けてそうなんだけど……」

カグラが焼きそばパンの袋を開けながら呟いた。


 


ジルドの詠唱魔法とリリィの突撃が同時に繰り出され──!


……た。


 


「えい」


カグラ、避ける。半歩だけ。


「うそ!? 避けた!?」


「動きが……無駄に軽い!? 私の槍が当たらないなんて!」


 


──ジルドの魔法、発動直前で止まる。


「お、おいリリィ!? 早いってば! 我が輩の詠唱がまだ終わって──」


\ドッカーン/


ジルド、自爆。


 


「自爆してんじゃないわよ!!!」

「我が輩は悪くない!!これは魔力の流れがバグったせいで──!」


「それ、おれのスキルのせい?」


カグラが焼きそばパンをかじりながら、のんきに首をかしげる。


「……スキル:??? のせいで、あらゆる魔法演算がズレた可能性があるわね」

セリスティアがさっきの戦いの記録を見ながら、うんうん頷いた。


「でも焼きそばパンは完璧に焼けてたじゃん?」


「それと魔法干渉は別なのよ、たぶん!」


 


──結果、テンプレコンビの連携奥義は、


・技名が長すぎて詠唱ズレ

・カグラが動かず避ける

・ジルドが自爆する

・リリィが巻き込まれる


というお約束大崩壊コンボで終了。


 


それを見ていた魔術院監察官・メルゼスが、静かに記録メモに書き込んだ。


「“テンプレ奥義は、この世界に対応していない”……っと」


「……さっきの、なんだったの?」


 


模擬戦(仮)終了後、カグラたちは《白の庭園》の中庭に戻っていた。

あの2人──ジルドとリリィは、軽い火傷と精神的ショックを負って、庭の片隅でアイスを食べている。


「チョコミント……うま……」

「うう……我が輩はなぜあんな長い技名を……」


 


「おかしいですね」

珍しく口を開いたのは、シオンだった。


「ジルドの魔法構成は正確だった。むしろ完璧に近い。

にもかかわらず、最終段階で演算が崩れた。まるで、誰かがコードを書き換えたみたいに」


 


「コード……?」

セリスティアが眉をひそめる。


 


「この世界は、確かに“魔術演算”で動いている。

でも今のは……“演算”というより、“観測ミス”に近かった」


 


──観測ミス。


それは、“世界が間違った情報を読み取った”ということ。


ジルドの魔法は正しかった。

だが、“世界”がそれを間違って理解した。


 


「それって……俺のせいか?」


カグラが、パンのかけらを頬張りながら呟く。


「わからない。でも、君のスキル【???】は、

“この世界の法則そのもの”に干渉している可能性がある」


 


「……パンの焼き加減にも?」


「そこは無干渉なの、なんでか知らないけど!!」


 


静かな中庭に、ふと吹き抜ける風。

何かが、ゆらいだ。


ほんの一瞬──“世界のプログラム”が、誰かに触れられたような、そんな感覚。


 


「……また、何か来るかもしれない」


シオンの目が、どこか遠くを見ていた。


 


「それで結局、模擬戦ってなんだったの?」


中庭のテーブルに戻ったカグラが、パンの袋を新しく開けながらぼやいた。


「模擬というか、喜劇だったわね」

セリスティアが肩をすくめる。


「パンの方がまだ勝率高いんじゃ……」

シオンがまたお茶をすすっていた。


 


──その時。


「ピコン」


カグラの手元で、何かが鳴った。

手にしていた焼きそばパンの包装紙が、ふいに“チカチカ”と点滅し始めたのだ。


「……おいパン、光ってない?」


「光ってるね!? え、バグ?」


 


包装紙の内側に、黒い文字が浮かび上がった。


『観測値オーバーフロー検知:座標13・式番7-Aにて“逸脱体”を確認』

『対象:シノノメ=カグラ』

『記録を分離、外部ログへの転送を開始します』


 


「な、なにこれ……パンが俺のことログってるの?」


「いやパンじゃない、それ“観測者のメッセージ”よ!!」

セリスティアが席を蹴って立ち上がる。


「観測者……?」


「かつて世界を“記録”していた存在。神にも等しい情報の管理者たちよ。

でも今はもう……ほとんどが消えてるはず……」


 


シオンが、じっと浮かび上がった文字を見つめる。


「違う。“外部ログ”って書いてある。誰かが、この世界の外から見てる」


 


「誰だよ……そんな気持ち悪いことしてんの……」


「言ってるそばから、観測外の発言……」

セリスティアが顔を手で覆った。


 


 


──と、次の瞬間。


『次なる接触は、“干渉地帯”にて』

『コード:Ω-LIM / 招待者:ラドリウス』


 


「ラドリウスだって!? もう帰ったんじゃ……」


「“干渉地帯”って……王国と魔王軍の間にある中立領域かも……」

シオンが静かに立ち上がる。


「次、行くべき場所が見えたな」

カグラが、袋の中から最後のパンを取り出しながら言った。


「パン……持ってくの?」


「当然」


 


王都の空は、どこかざわついていた。

それは風の音か、それとも……誰かの視線の残り香か。


 


「……で、“干渉地帯”ってどこにあるの?」


「だいたいまっすぐ120キロくらい先だよ!」


 


突如現れたのは、例の元気すぎる案内役──

魔王軍の使者、ミルミだった。


「えっ、なんでお前がここに!?」


「うーん、なんか招待された気がして?」

ミルミはくるっと回って指を立てた。


「ラドリウスの伝言、届けにきたのだ! “干渉地帯にて、真実が歪む”だってさ!」


 


「真実って歪むものなの?」


「パンだってつぶれるんだから、歪むでしょ?」


「……妙に説得力ある例えやめて」


 


セリスティアが、眉間を押さえながらため息をつく。


「とにかく、向かうしかなさそうね。“干渉地帯”。

でも、今回は私も同行するわ。“観測外”に干渉するには、それなりの結界術が必要だから」


「おれは、パンがあれば大丈夫」


「あなたの基準、マジでよくわかんないのよ」


 


そして。


空の上空には、誰も気づかないほどの微細な揺らぎが走った。


それは、“観測者”の残した残響か。

それとも、新たな存在がこの世界に干渉しはじめた兆しなのか──


 


「ま、なるようになるっしょ」

カグラがパンを片手に笑った。


次の舞台へ。

世界のバグは、まだほんの入口でしかない。


 




お疲れさまでした!

観測者のメッセージとか、干渉地帯とか、世界の構造とか……

ちょっとシリアスっぽい単語が並びましたが、心配いりません。パンは無事です。


今回はカグラのスキル「???」がパンの包装紙を光らせるというバグ性能を発揮しました。

強い。たぶん。いや、強くなくてもいいか別に。


次回はついに、干渉地帯へ。

ラドリウスと再会? それともまた変な人? というか何しに行くんだっけ?


それでは次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ