パン次郎、裁かれる(前編)
「パンって、しゃべっていいの?」
そんな疑問から始まった、超展開テンプレギャグ法廷パロディ。
今回はなんと、我らが“焼きそばパンの精”ことパン次郎が法廷に立たされる大ピンチ!
しゃべっただけで有罪!?
検察官ミルミ vs 弁護人カグラ、裁判長セリスティアによる茶番……じゃなかった、真剣勝負が繰り広げられます。
果たしてパン次郎の運命は──?
今回も、ノリとテンプレとパンでできた物語をお楽しみください。
──ホワイトガーデンの朝は、いつものように静かだった。
カグラは焼きそばパンを片手に、庭のベンチで寝転がっている。
「……平和って、パンの中にある気がするよな……」
その瞬間。
「──パン次郎! 貴様をパン類規範第108条『不法発語パン罪』により、拘束する!!」
空を裂いて落ちてきたのは、黒ローブのミルミだった。
しかも手には、パン用の手錠(もちもち素材)が握られている。
「な、なにごと!? 誰か通報でもしたの!?」
パン次郎はぷるぷる震えている。
「だってボク、朝に“おはよう”って言っただけだよ!? 朝のあいさつは大事だって!」
ミルミはぴたっと足を止め、にやりと笑う。
「パンがしゃべったら、そりゃもう……裁判でしょ!!」
バァァァン!!!
次の瞬間──ホワイトガーデン中央に、
**完全再現された“テンプレ法廷セット”**が召喚されていた。
・証言台(木製、謎のオーラ)
・陪審員席(ぬいぐるみで埋め尽くされている)
・裁判長席(王座っぽい椅子)
・謎の巨大ハンマー
「パン次郎、貴様には“しゃべりすぎたパン”としての罪がある! 裁判長、お呼びします!」
どこからともなく、ローブを翻して登場したのは──
「……よろしい、審理を始めましょう」
セリスティア=アルマ=レーヴェ、裁判長スタイル(ツインお団子ヘア)で登場。
ローブの袖から、小さな木槌(焼きそばパンモチーフ)がチラリ。
「──法廷を、開廷します」
「ちょ、まって!? 俺、まだパンかじってるだけなんだけど!!?」
──こうして、世界初の「しゃべるパン裁判」が幕を開けた。
「では──被告人パン次郎の弁護人、入廷してください」
セリスティア裁判長の声が響く。
「弁護人、カグラ・シノノメ──ただの通りすがりですけど、パンを守りに来ました!」
どこからともなくスーツを召喚し、カグラが登場。
なぜかネクタイが焼きそば柄だ。
「被告人のパン次郎は、ただ“おはよう”と挨拶しただけです!」
「異議ありッ!!」
バァン!
検察席から飛び出したミルミが、巨大な法廷マイク(なぜか炊飯器型)を叩きつける。
「“おはよう”に見せかけて、“パン文化の覇権”を狙っていたに違いないのだーッ!!」
「えぇぇ!?」
カグラとパン次郎が同時に叫ぶ。
「さらに、パン次郎は今朝、“焼きそばパン最高”と連呼していた!
これは明らかに、ライバルパンへの名誉毀損!!」
「いや、それパンの自由意志だろ!? 食パンだって“私が正統派”とか言ってたじゃん!」
セリスティア裁判長が冷静に口を挟む。
「証拠はありますか?」
ミルミがぬいぐるみから紙を引き抜く。
「これが、録音記録!
《パン次郎:焼きそばパンは最高だよ。あとカレーパンはちょっと重いかなぁ……》」
「くっ、普通の感想じゃねーか!!」
カグラが頭を抱える。
「カレー派の市民に対するヘイト発言と見なすッ!!」
ミルミが叫ぶたび、ぬいぐるみ陪審員たちが「うわぁ…」という顔になる。
「このままじゃパン次郎が、パン棚から永久追放される……!」
──裁判は一方的に進行していく中で、
カグラは気づいていた。
(……これ、どう見ても“私怨”だよな)
パンを巡る、謎の感情と戦争の気配が漂い始めていた。
「……ではここで、弁護側より証人を召喚します」
カグラの声に、会場がざわつく。
「焼きそばパンの、名誉のために──立て、証人!」
扉が開き、登場したのは……
「……どうも、パン屋のソルです」
肩に小鳥を乗せた、優しげな青年。
「パン次郎は、我が店にて……“誕生”しました」
「産声ならぬ、第一声は“うまそー!”でした」
「そんなやつに、罪なんてあるはずがないッ!!」
カグラが熱く叫ぶと、セリスティア裁判長が微妙に首をかしげる。
「弁護人、誕生と無罪は別問題です。続けてください」
「次の証人──ホワイトガーデン常連、シオン=ヴァレア!」
スッと現れたのは、いつも瞑想している男。
目を閉じたまま、言った。
「パンは、存在そのものだ……罪も赦しも、超えている」
「“語った”のではない。“存在が言葉になった”のだ」
「哲学きたーッ!!」
カグラがガッツポーズ。
「異議ありぃぃぃい!!!」
ミルミがついに爆発。マイク炊飯器をぶん投げる。
「言ってることが難しすぎてわかんないのだーッ!!」
セリスティア裁判長は、なぜか「ふむ……」と真面目に頷いている。
「この法廷は、真実だけでなく……愛とパンの温度も審理の対象となります」
「よって、証人の“焼きたての情熱”は採用」
──パン次郎は、涙ぐんでいた。
「……ボク、焼きそばパンでよかった……」
カグラは、静かにパンをかかげる。
「戦いはこれからだ。俺はこのパンで、全力を尽くす──!」
そして、ついに“真の対決”が始まる。
ミルミ vs カグラ。
パンを巡る法廷攻防の、最終決戦へ!!https://ncode.syosetu.com/n0389kt/106/
前編は、いわば「開廷準備&カグラの無理筋弁護祭り」でした。
正直、ここまでテンプレ法廷に寄せたのは初めてですが、
セリスティアの裁判長スタイルと、ミルミの暴走検察官ぶりには筆者も笑いながら書いてました。
“しゃべるパンは罪か否か”という哲学的な(?)テーマと、
「焼きたての情熱」が証拠になるテンプレ世界の理不尽さも含めて、
後編ではさらに盛り上げていきます!




