後編 セリスティア、テンプレ魔法学園で講師をする
魔法学園とパンが出会ったら──混乱は授業の一部になる!?
「──なんか、揺れてない?」
ヒュイがぽそっとつぶやいた直後、学園全体がグラリと揺れた。
塔の上階ではパンの匂いが爆発的に広がっていく。
「これは……魔力震!?」
セリスティアが叫ぶ。
「誰か、魔力の封印を強引に──」
その瞬間、床下からゴゴゴという異音とともに、石畳の一部がせり上がった。
現れたのは……パンの形をした巨大な魔導書。
表紙には古代文字で「グラタン・オブ・パンドラ」と刻まれている。
「私、なんか見たことある……夢の中で……」
ミルミがぽつりと呟いた瞬間、
魔導書から紫色のパンくずのような“魔素”が噴き出した。
「わあぁ!? 触っただけでパンが暴走してるんだけどぉ!?!?」
「うわっ、耳が! 耳がこんがり焼ける匂いしてる!!」
魔導書の力で、周囲のパンが次々に覚醒し始めた。
「くっ……これは、パン魔法の禁域……!」
セリスティアが詠唱を始めるも、
突如現れた巨大なパンゴーレム──その名も《バター・ブレッドン》が咆哮をあげた。
「目玉焼き乗ってるぅ!!」
背中にはソースの川。腕はソーセージ。
口からはバターの炎を噴きながら、校舎を破壊し始める。
カグラはそれを見て、黙って立ち上がった。
「パンに罪はない……だが、お前はパンを踏みにじった!」
焼きそばパンを片手に、カグラが謎の発光を始める。
「発動──《Y.S.B Overload(焼きそばブレイク・オーバーロード)》!!」
衝撃波と共に、ブレッドンの頭部が吹き飛んだ。
「……美味しそうだったけど、許せなかった」
学園に、静けさが戻る。
ヒュイが言った。
「……この学園って、なんだったんだろうね」
セリスティアは額を押さえて、疲れたように笑った。
「焼きそばパンを教えに来たわけじゃないんだけど……まぁ、結果オーライかしら」
ミルミが魔導書をそっと閉じた。
そのとき、ほんの一瞬──誰も気づかないような“微笑み”が本から漏れた気がした。
そして。
焼きそばパンが、空から一つ、ふわりと降ってきた。
「次は……どんな学びが、待ってるのかなぁ……」
学園の中庭。
瓦礫の山の中で、カグラが最後の一口の焼きそばパンをもぐもぐしていた。
「ふぅ……これが、教育ってやつか」
ヒュイが隣に座って、空を見上げる。
「ねえ……また来てくれる? 今度は、“パン以外”の授業でさ」
「うーん……パン以外……」
カグラは考えるフリをして、残ったマヨを指ですくう。
「じゃあ……次は、マヨネーズ学入門な」
「結局パンじゃん!!」
セリスティアが呆れ顔でやってきた。
「私の魔力講義はどこいったのよ……まったく」
だがその目は、ほんの少し笑っていた。
ミルミは魔導書を抱え、こっそり言った。
「パンって、なんかね──記憶みたいな匂い、するんだよ」
そのとき、校舎の屋根からパン次郎が顔を出した。
「次回、パンと記憶と時間のねじれ編──はじまるよー! 番組改変期だよー!」(たぶん)
──こうして、テンプレ魔法学園は焼きそばパンの嵐の中に幕を下ろした。
だが、パンの伝説はまだ……終わらない。(たぶん)
(おしまい)
テンプレ魔法学園に焼きそばパンをぶち込んだ結果、校舎が吹っ飛びました。




