パン次郎、裁かれる 後編
今回は法廷ギャグの後編!
パンが裁かれ、語り、そして無罪に──
しゃべるパンのくせに、ちょっと感動的!?
そんなテンプレ劇場をどうぞ!
「それでは……最終弁論に入るッ!!」
カグラが叫ぶと同時に、背後の空間がバグった。
どこからか裁判ドラマのBGMっぽい音が流れ始める。
「パン次郎はただ──生まれて、焼かれて、焼きそばを挟まれて、しゃべっただけだ!」
「そんなことが罪になる世界に、未来はねぇぇえ!!」
──パン次郎、目に涙。
──ミルミ、歯ぎしり。
──ぬいぐるみ陪審員、なぜかうち2体が感動で倒れる。
「異議ありっ! パンのくせにしゃべったのが問題なんだー!!」
ミルミが怒鳴ると、今度はぬいぐるみの1体が震えながらこう言った。
「でも……俺もいつか……“クリームパン”として……しゃべりたい……」
「まさかの心変わりぃぃい!?」
陪審員にまで波及する、焼きたての自由と希望。
セリスティア裁判長が、静かに手をあげた。
「裁判長として判断を下す前に……最後の証拠を提示してください」
「よし、これだッ!!」
カグラが高らかに掲げたのは──
──焼きそばパンのレシピノート。
「これを見てくれ! パン次郎の“中身”だ!!」
「なんてことだ……具材の比率、ソースの濃さ、全部ちょうどいい!!」
陪審員たちがざわめく。
「“中身”が語るんだ。アイツは……生きる意思があった。罪なんかない!」
沈黙。
そして──
「……よろしい、判決は……後編に持ち越します」
セリスティアの声が響いた。
「なにィィィイイ!!」
「えぇぇぇーーーっ!!」
法廷に響き渡る、パンと人の絶叫。
──裁判は続く。
パン次郎の運命は、まだ決まっていない。
「法廷は再開します。──判決前に、パン次郎本人からの証言を認めます」
セリスティア裁判長の静かな声が響くと、
パン次郎が証言台の上に、ふわっとジャンプして立った。
「ボクは……ただ、喋りたかったんだ」
「毎朝、焼きそばを挟まれるたびに思ってたんだ」
「『今日もいい香りだね』って、誰かに言ってほしかった……!」
──会場が静まり返る。
「しゃべるパンって、変かもしれない。気持ち悪いって言われたこともある」
「でも、ボクは──この世界に、生きていたいんだっ!!」
ミルミの目が見開かれる。
「……パンのくせに……そんなこと言われたら……ッ!」
「泣くに決まってんじゃろがぁあああ!!」
ミルミ、号泣。マイクを抱えて床に突っ伏す。
セリスティアは立ち上がり、荘厳な口調で告げた。
「本法廷は、被告パン次郎に対し──」
「──無罪を宣告する!!」
\\\ ばんざーい!! ///
\\ パン!パン!パン! //
ぬいぐるみ陪審員たちがなぜか踊りだす。
カグラは焼きそばパンをかじって叫んだ。
「よかったな、パン次郎……! これで堂々と喋れるぞ!」
「うん……ありがとう、カグラ。ボク、今日から“自由なパン”になるよ!」
──その日。
ホワイトガーデンに、新たな伝説が刻まれた。
「しゃべるパンは、世界を変える」
パンと人の法廷劇、ここに完結──!
裁判が終わったあとのホワイトガーデンは、なぜかお祭り騒ぎになっていた。
セリスティアが法衣のまま屋台で焼きそばパンを焼き、
ミルミは「パン供養祭」と称して焼きそばパンを100個奉納していた。
「いや、食ってるじゃねーか!」
カグラがツッコむと、ミルミは顔を赤くして言い返した。
「これは……証拠隠滅よ!」
「それよりボク、正式に“焼きそばパンの広報担当”になったんだ」
パン次郎が得意げにそう言うと、カグラは一瞬止まり──
「……お前、意外と仕事できそうだな」
セリスティアは柔らかく笑って、
法廷の記録用紙を焚き火にくべた。
「法律なんて、この庭にはいらないもの」
カグラがぼそっとつぶやく。
「そうだな……焼きそばパンがしゃべってても、別にいいじゃんって話だ」
パン次郎は小さくうなずき、
焼きたての香りを空に届けるように、空を見上げた。
──それは、誰かがパンに声をかけてくれる未来のために。
──数日後。
ホワイトガーデンの裏庭では、静かに何かが建てられていた。
「完成しましたわっ!! 焼きそばパン記念碑ですの!!」
そう叫んだのは、セリスティアの作った焼きそばパン石像(高さ3メートル)。
そしてその隣には──
焼きそばパン型の受付ボットが置かれていた。
「ようこそ、ホワイトガーデンへ。
本日も焼きそばパンがうまいです。なお、喋るパンは不在です」
「……おい、パン次郎どこ行った?」
カグラが聞くと、セリスティアはふっと空を見上げた。
「旅に出たの。世界に、パンの心を伝えるために」
「しゃべるパンがそんな使命感……」
──そして。
遠く、どこかの街角で。
「いかがですかー! 焼きそばパンに、ほんのちょっとの“心”を込めてまーす!」
帽子をかぶったパン次郎が、
今日も焼きたての香りと、軽妙なトークを振りまいていた。
子どもが一人、恐る恐るパンを買う。
「……これ、喋るの?」
「ううん。今は喋ってないだけ。君の“耳”が育てば、聞こえてくるさ」
──パンと、言葉と、ぬくもりと。
焼きそばパンの冒険は、これからも続いていく──。
まさかのパン裁判が感動エンドに!?
笑って泣いて、最後は旅立つパン次郎。
これぞ焼きそばパンシリーズらしさ全開の1話でした!




