お財布事情
インフレへの愚痴回です。
休みが明け、魔法具作製が残り少なくなったので、事務局に連絡したら、受け入れ調整が終わってないらしい。空いた時間で低位段限定魔法具の個人依頼を新月休みまで受けて良いことになった。個人依頼だから職員から直接依頼を受けて、報酬は納税があるので事務局経由で貰うことになる。
面倒だからレシピの公開の準備も進めることにする。フリーレシピにするつもりだから無報酬だけど街の魔法具屋さんなら思いつけば、誰でも出来るから気にならない。
兄貴の家で会ったテツヤさんが言っていた、三段までの魔法具も作製してあって、普通の葉巻サイズで出来たがこちらは作者を選ぶ作りで、難しいと文句がくると思うから公開はしない。もちろん一段用も出来るが魔石カセットが今より小さくならない限りサイズは一緒なのでこちらも出す気はない。
「タイカちゃん。レポートが完成したので、後程確認して下さい」
「了解です。後で確認します」
タイカには木工職人をフォルテには配達を続けて頼んだが、フォルテは合間をみつけてレポートを作成していた。
先人達の中にも念話の研究者がいるから、引用多数になったようだがレポートの書き直しが終わったらしい。
エアちゃんは急に部屋を飛び回るが基本はおとなしくしている。
「少し早いけど休憩するか」
「「了解しました」」
仕事なので、公私を分けてあまり気安くならないようにしている。そのうち適温が見つかるだろう。
研究所だから所食が正しいと思うのだが、みんなが社食と言っている食堂で食べ終えて自分達の部屋でお茶をする。
「はい。タイカちゃんへの招待状です」
「酒房 竹林ですか高級店です。良くとれましたね」
「他がもう空いて無くて、人数も限定されてしまいました。呼びたい人を全員は呼べませんが時間もないのでそこにしました」
フォルテと俺の時間を使って探したが、お祭り前なのに動くのが遅すぎた。選べたところはリンの実家が経営している店。
リンは食通で名が通った伯爵弟の直系子孫で、家業は貴族経営の成功例、大きな街には必ず直営の飲食店を構えている。
高いけど爵位が無くても、王立魔法学校生なら入れるから敷居は低い。
今回頼んだ秋の味覚コースが1ヶ月の社食代と変わらないからやっぱり高い。だから空いていたとも言う。
「リンには悪いけど高級店と言うほどでは無いね。どちらかというと素材の良さを生かした名店かな」
「リンちゃんに頼んだの?」
「さすがにオーナーの娘でもそれは難しいでしょう」
「リンちゃんも良い所の出だよね」
「タイカちゃんも良い所の出だよね」
「うちなんて全然だよ。おうちも首都に一軒だけで、ここに住んでた所より小さいし、別荘とかもないからね」
旧貴族でも兄弟で分けたら、そんなもんだ。
「リンもタルトも、首都にも家があってタルトは自分の農場にもあると言っていたから凄いよな」
「カサヲもお金持ちだよね。色々レシピを売っているから」
「ごめん。そこまで金は無いんだ。毎月入金されているが、契約金を分割でもらっているだけだから固定なんだ」
「でも兵役前に自分で稼いでいる人も少ないから、主さんは凄いです」
「ありがとう。でもインフレはどうにかしてほしい。蜂蜜レモン水が三年前の倍、魔道具カサヲムの契約をしてから10倍の値段はひどい、研修生になれなかったら奨学金を申請するところだった」
「でも、今回の魔法具作製でも稼いだから大丈夫だよね」
タイカさんは楽観的だ
「今の物価のままなら、徴兵されるまで仕事をしなくても大丈夫」
「私は国から奨学金限界まで借りてるよ」
「私も借りました」
お姫様も自活なのか
「兵役満期で学費帳消し利息帳消しだからインフレ大歓迎」
「そっちの方が得だったかな?まあ満期手当てを考えたら同じだと思いたい」




