魔法具職人生活
今日はしばらく続いた季節変わりの雨が上がり、明日から満月休みに入れる。
ここ10日間は魔法具職人だった。まずはサイズと木材を変えたサンプルを作製し、その中から選んでもらってタイカが魔法具本体を作製。その間に俺がチューナーを使い、カルテを作ってから魔法具を作製した。
フォルテは使い方の説明をしていたが、初日の午後から翌日からの材料を確保するのに、サンプルを持って職員への御用聞きをしてもらった。
中には魔力データをフォルテに渡すだけの人もいた。
さらに2日目からは、完成した魔法具にインクと魔石入れをしてもらい配達に行ってもらっている。
そのためか、フォルテは全職員と面識が出来て可愛がられている。
そこで念話のレポートを見てもらおうとしたが、先人のレポートを渡され、これを参考に書き直してから持ってくるようにと言われたそうだ。
終業前にすっかり作業場になった部屋の片付けをしていると
「タイカちゃん、私がレポートを書き直したい」
「何言ってるの?私も手伝うよ」
「ううん。二人より仕事が少ないから、タイカちゃんお願いします」
「そんなに言うのだったら、フォルちゃんに任せるけど、私が必要な時は言ってね」
「うん。約束する」
「でもさ、あと少しで終わると思うけど、このあと俺達はどうなる?二人は一緒の研修先になるだろ。その研究員が受け入れ先なの?」
「わからないけど、いろいろな意見は必要だし、見てもらう以前の問題だから、私は出来ている魔法を使う側だけど、新しい魔法を作る側になるには知識が全然足りない。この参考に渡されたレポートの内容すらわからないの」
「タイカはレポートを見たのか?」
「私は魔法科だし、幅広い知識はフォルちゃんに負けるけど、専門だからね、内容は分かるよ」
「フォルテもタイカに教えてもらえばいいんじゃないかな、俺に教えられるなら俺でも良いし」
「ありがとう。分からないことがあったら教えてね」
◆◇◆
フォルテは満月休みの間に勉強をしたいそうで、タイカが使っている教本を借りていた。
満月休み2日目にタイカと海釣り公園に来ている。
タイカはマイロッドでルアーを使って大物を狙い、俺はレンタルロッドでコマセ釣りをしている。
タイカがキャストを教えてくれたが、魔法で仕掛けを飛ばしたら微妙な顔をされた。いや、そんな顔されても、ここまで歩いてくる間に相当数の人達が魔法を使っていたじゃん。
「昨日はずっと家庭教師だった」
「フォルちゃんの?」
「分からないところを教えてと言われたら、そんな甘い感じにならないし邪魔をしたくなくて時間まで教えてた」
「フォルちゃんのクラスは丸暗記であとは習熟すれば良いからね」
「ただ5日間の勉強でも足りないと思うから、あまり邪魔をしたくないな」
「私が独占しちゃう、フォルちゃんと相談してみる」
「うーん、邪魔はしたくないな。だからタイカに甘えることが多くなるからよろしくね。勉強してるフォルテも応援しているから」
「でも、私だけで大丈夫?」
「フォルテと比べると、タイカと一緒にいる時間が少なかったからね」
「そういうことにしてあげる」
ずいぶんサバが釣れたけど、どうするんだろ?
「このサバを焼いてもらってくるから、留守番していてね。ライスとパンはどっちが良いかな?」
「ライスでお願い」
パンと焼きサバの組み合わせ?
想像が出来なかったけど、サバパテを乗せたバゲットはうまかった。
翌々日にはタイカの部屋に沢山のサバ缶が届いた。




