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孫から孫へ

「お兄ちゃん」

小さな街を歩いてたら知ってる気配が寄って来て、抱きついてきたのがこの異母妹。こいつには異母兄とは言ってないはずだが、呼び名はいつもお兄ちゃん。


「おう、ミルクも大きくなったな」

こいつの本当の幼名はお乳、恥ずかしい名前を付けるのは、早く爵位を得て改名する願がかけている。でも可哀想過ぎて呼び名がこれだ。ふつう学校では渾名で呼び合う。俺の渾名はカサだった。幼名は覚えてない。


「どおして、ここにいるの?」


「お前のうちに行きたいんだけど、昼時に重なったんで時間潰ししてた。そんでお前は一人なの?」


「そう。大人たちが酒飲んでて、その買い出し、だったら一緒に行こうね」


「凄いなミルクは一人で買い物が出来るんだ」


「もう学校に行ってるよ、買い物位できるよ」

10歳になったんだ。


「えらい、えらい」


買い物をして兄貴の家に着いたら、大人達が庭で酒を飲んでた。ミルクは置いて来た。さすがに荷物が多く俺の自転車で2人乗りは無理だった。


「こんにちは、カサヲムです」

知らない人もいるが、だいたいは兄貴の仲間だった。


「「「「オー」」」」


「ミルクからの預かり物とこちらは私から」


「私だとお、きどりやがって。バカやろ」

すでに駄目になってたのが兄貴だ。


「貴方、駄目でしょ。ねえカサヲちゃん。フフフ」

義姉も怪しい


「御姉さんもお久しぶりです」


「皆さんもお久しぶりです。すみません、ちょっと魔法を使います」


「なん、なにやんだ」


「煙りが舞っているので上に流します」

鉄板で肉を焼いてる。薪を使うな煙い。


「おう、やれ」

偉そうに。魔法を使い煙りを上に流す。


「何か面白いことをやったね。それは魔道具かい」

声を掛けていたのは、上着は脱いでいるが、品良く高そうなベストとシャツを着たダンディなお兄さんだ。

残念な兄貴は名門の出にも成金にも見えん。


「はい、いえ魔法具で機能を絞ってみました」


「機能を絞る。あっ失礼した。私はアトニという。宜しく」

名刺を頂き見ると白爵組合本部青年局の局長、お偉いさんだ。姓はオニキス?怖い人かな?


「てか小さい魔法具だな。限定か?お兄さんの名はテツヤだ。名刺は無い」

酒くさい。距離が近い。南部の人ぽい日焼けしたお兄さん。


「トパズの弟のカサヲムです。宜しくお願いします」

興味津々な視線を感じて話しを進める。


「高位魔法にまで対応しようとするから魔法具が大きくなります。そこで二段位までだったらかなり小さくなると思い作ってみました」

細い葉巻サイズの魔法具を二人に見せた。

「ほー、でも二段は絞り過ぎ、火は使いたいな」

火を使うのは三段位。


「いや事務所内なら二段までで良い、それでカサヲム君。何でさっきの魔法が作動している?」

魔法具は普通は手に持って使う。でも二人に渡しても稼働してる。気付いたからこの人達も魔法使い。


「通常使用する魔法具を魔道具として使う魔法をかけてみました」

「低位用の魔法具で?それは魔導師魔法なのか?」「へぇ。それなら魔法は稼働し続けるのか」


「ありがとうございます。ちゃんと組みましたけど、そんな感じです」


兄貴の仲間から飲み物を手渡され、グレープフルーツがうまいと思ったら、酒が入ってる。ブルドック?うまいからいいや。


こうして巻き込まれていったが、なんとかミルクに助けられた。


「助かった。ありがとう。でも凄いなお前。きっとキャバレーで即戦力だ」


「あのくらい、自分でなんとかしてよ。何飲んだのよ。もう。はい、お水」


「本当にありがとう」


「どおいたしまして。それで車を貰いに来たとか?」


「当たりです。凄いなミルク」


「うちに車四台も有るからお兄ちゃんの分もあるのかなと。さすがにあれでは、今日はお父さんと話せないと思う。だけどゲストルームは埋まっているから、今夜は弟の部屋にでも泊まって、今は合宿に行っていないから」


「はい。お世話になります」

そういえば弟君が居なかった。


「それでお願い。夕食をご馳走して。ずっとお肉ばかりで、さっぱりしたものが食べたいの」


「いいよ。可愛いミルクの頼みだし」


弟君の部屋に案内され出掛けるまで近況を話してから、リビングで横になってる大人を横目に見ながら夕食を食べに出た。

ただ、大根おろしを付けてもハンバーグは肉だとお兄ちゃんは思うのよ。


◆◇◆


翌朝、兄貴に車を欲しいと頼んだ。


「いいぞ。一台はお前の分だから、でもただではやれないから、車での儲けのお前の取り分から相殺しとくぞ」


「ああ、ありがと」


「でも、運転は少し練習したほうが良いな」


見せてもらったが、向きを変える装置、操舵装置が丸い。


「なあ、兄貴、何で棒にしなかった?」


「棒だと負荷が掛かり過ぎんだと」


「じゃあ。出発させるよ」


「ちょっと待って。このままだと吐く。お乳を付ける」


なんだろ。もう帰ろうかな。荷物を積みながら待っていた。おお荷物を背負わないですむ。


「お兄ちゃんゴメンね。さすがに運転は教えられないよ」


「そりゃそうだ。慣れるまでの道案内して貰いたいんだ」


「なら、いっか」


操作はシンプル、魔道具を起動させたらフットブレーキを踏み、ギアを前か後ろ、待てよ。その前にパーキングブレーキを先に解除して、フットブレーキから足をどけると進み出す。出力を上げるにはアクセルを踏む。

止める時はフットブレーキを踏めば止まる。

真っ直ぐは問題ない。


「お兄ちゃん。問題があるから。急に止まり過ぎ」


「ゴメン。あれでは駄目なの?」


「駄目です。会社の運転コースに行く。そこで練習」


そして一人で習熟運転をして、お昼を食べ終わってから戻ってきたお嬢様に合格をいただいた。


「いやあ、悪かった。もう帰ったと思っていた」

「本当にごめんなさいね。来てたの忘れていて、もう一泊されたら」

なんか酷い夫婦。しっかり者の娘はこうして出来るのか。


「ありがとうございます。宿の予約も有りますし、予定より遅れてますので、またゆっくり出来る時にでも寄らせてもらいます」


「そっか、じゃあ、気を付けてな」


「失礼します、ミルクもありがとう」


「またね、お兄ちゃん。魔道具車ありがとう」


さすがに俺が乗って来た魔道具車は持って帰れず、親父さんが直してくれた魔道具車は孫から孫に移った。


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