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ユニゾンの魔導師

「ふああ、なにあれ」


この腑抜けた声を出しているのが、久々登場のランさん。居なかった訳では無い。出番が無かっただけ。


満月から二日後に三人で過ごす夜があり、その翌日に魔法の実験がしたいと二人から集合をかけられ校庭にいる。


「うん。初めて見る。魔導師魔法だと思うけど」


通常、高位魔法は魔力を込めながら詠唱して魔方陣を呼び出し魔法を発現させるが、中位魔法までなら覚えている魔法陣を展開させて魔力を通し魔法を発現させる。

さらに使い慣れた中位魔法までなら、結果だけイメージすれば魔方陣の方が勝手についてくるようになる。

それと同じように使用したことが無い魔法や高位魔法を答えからイメージして魔法陣が組めると魔導師と呼ばれる。その魔導師が答えから導いて使う魔法が魔導師魔法だ。


二人はお互いが手を伸ばしても届かない距離で向き合うと、魔法具を持つ腕を横に広げ、詠唱もしないで魔力の波長と出力をユニゾンで合わせ、旧字に似た表意文字で出来た文字、平面文字を彼女達の間から次々と出して光の帯を作り、彼女達を囲うように輪を作っていく。


魔法具は、魔方陣は、持つのか?

不安になったところで、ランさんの腑抜けた声が聞こえ、体の緊張と歯を食い縛っているのに気付き、肩の力が抜いてランさんに言葉を返した。


魔法は魔法陣に魔力を通すと発動する。

魔法が発動する前に魔法陣が崩れると魔力が暴走する。それを防ぐのが魔法具で、魔力の過不足が無いように調整及び構築した魔法陣の維持を補助する。

ただし魔法陣を展開するのは魔法使いの力量。

俺はよくレシピを見ながら魔方陣を組むから、下書きをし上書きを重ね発動条件が満たされてから発動文字を入れるので、魔法具には魔法陣維持が重めに組んである。

しかし彼女達に組んだ魔法具の魔道は魔法具の小型化のため無駄を省き、さらに魔石と体内の魔力を一瞬で余すことなく使えるように、魔力を引き出しやすくした威力重視のはずだが、最初の文字が出てから最後の文字が出るまでに数分もの時間が経過していた。


使用魔力が安定してゆっくり廻る九層の魔法陣の光の帯が輪を広げながら、虹の七色に黒を加えた八色を使い次々と文字の色を変化させ様々な模様を作る。


高位魔法だよね。それなら魔道具での再現は無理か。

体の緊張を解き、そんな暢気なことを考えていたら、魔力が増加し彼女達は体内展開魔方陣を表化させ、魔法具を持っていない腕を前に出し互いの魔法陣を重ねた。

前に出した腕を横に広げると、今重ねた魔法陣が上下の三角錘で組んだ星形の透き通った黒い立体に変化し、空気が震えるほどの魔力で場が満ちた後にトリガーキーが聞こえた。


「「召喚」」


「ウソ」


ああ、500年を生きた神格魔導師が開発し、その子孫が使っているから存在することは知られている。

しかし彼らは大河を挟んだ隣国の人間で、我国内には召喚限定魔法具も魔法陣のレシピもない。


「タイカ。もう燃やしなさい」


伝説の魔法は星形の立体と引き替えに、封印したはずの男の子の形をした残念な物を召喚した。

エアちゃんの前で、はしたないぞ。


「え~ダーリンが魔法博物館の一階に展示されるのに」


「そいつに名前を付けるな。認定試験をそれで出来る訳が無いだろ。ランさんどうしたら良いと思う?」


「そうね、同じものを準備した手品の類い扱いされそう。だから指定された物で出来るようにしたい。それで私の手に余るから相談したい。上に上げても良いかな、二人とも?」


後日、二人はユニゾンの魔導師の名で新聞に載ることになる。


魔道具は魔法陣が崩れ無いように固定しています。

そのため自由度が無い設定。

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