俺は2番目の惨めな男だった。
彼女に二股されてた。
俺のプレゼントを換金して本命彼氏にプレゼントされてた。そして彼らは俺を嘲笑っていた。
そんな最低でくだらない恋が終わったら俺は‥…。
作者の妄想全開の作品です!
今回は勢いだけです!!
練習終わりのある日のスタジオ。
「それにしても俺たちバラバラだよな」俊介はメンバーを見回して言った。
「どこが?」瑠璃は不思議そうに俊介に聞いた。
俊介は笑いながら「個性的って話し。ほら見てみろ。俺は古着のメタルTシャツにデッキーズ。瑠璃はいつもパーカーのフード被ってショートパンツ。スヨンはミニスカートに細身のTシャツ。リアムに至ってはポロシャツをデニムにインしてるぜ?育ちの良さが服装にも現れてる」
瑠璃は笑って「そう言えばそうだね。気にしたことなかった。ま、これがわたしたちらしいよね。日本人、アメリカ人、韓国人の混合バンド。大好きだな。わたしのいちばんの居場所。あ、俊介は玲華といるのがいちばんの居場所か?」
俊介は顔を赤くして「そんなことねーよ。ったく。どっちも大切だ」
瑠璃は手のひらをヒラヒラさせて「はいはい、わかった、わかった。お熱いことで」呆れたように言った。
スヨンが「何楽しそうに話してるの?」とスッティクをクルクルさせて寄ってきた。
「俊介がバンドと彼女が同じくらい大切とか言うからさ~」
スヨンは持っていたスッティクで俊介を指して「酷い!もっと情熱を燃やしなさい!」そう言って笑った。
リアムも騒ぎを聞いてベースを片付けながら「俊介さん!カールフレンドばかりにうつつをぬかさないでください!」
「リアム。なんでそんな難しい日本語知ってるんだよ?俺より日本語知ってるんじゃないか?」
スタジオは笑いに包まれた。
俊介が帰ろうとするとギターを担いだ瑠璃がやって来た。
「新しいピック買いにいくけど一緒に来る?」
俊介は少し考えて「玲華も最近は会えないって言うし暇だから行くわ」
瑠璃は驚いたように「玲華どうしたの?」
「なんかさ親戚のおじさんが具合悪いとかでお母さんと看病に行くから忙しいんだって」残念そうに俊介は言った。
瑠璃は何か違和感を感じた。女の勘が働いた。
‥…親戚のおじさん‥…看病‥…?
俊介に会えないほど忙しいか‥…?
「瑠璃?どうかしたか?」
「いや、何でもない」パーカーのフードを被った。
楽器店に向かう繁華街。瑠璃は気がついた。
あのこ‥…玲華だ。なんで?デカイ男といるじゃん。え?腕組出した?ってこれ浮気確定じゃん。
俊介に言うべきか‥…。隠すべきか‥…。
でもこれ俊介が都合よく利用されてるだけだよね。
この前もバンドの練習に顔を出さないかと思ったらバイトかなり入れてたし。指輪買ってあげたとかなんとか。あーめんどくさくなってきた。だけどバンドメンバーがこけにされてると思うと腹立つな。いいや、俊介、荒療治だけど目を覚まさせてやるか。あとのフォローはわたしがしてやればいいや。
「ねえ、俊介あれ」瑠璃は腕を組んで歩く玲華を指差した。
俊介は固まった。あの男は誰だ?忙しくて俺と会えないって言ってたじゃないか。
瑠璃はパーカーのフードを跳ね上げると「ちょっとあんた。玲華だろ?忙しくて俊介に会えないんだろ?なにやってんだよ」
玲華は顔を赤くして「違うの!彼氏じゃなくて幼馴染み!」
瑠璃は眉間に皺をよせて「あ?幼馴染みと腕組むのかよ?お前、バレバレだぞ」
そこに翔吾が割って入った。
「うるせーぞ。男みたいな服きたねーちゃん」
「おい、一言よけいだぞ、木偶の坊」瑠璃は翔吾を見上げて睨んだ。
俊介はたまらず「もうやめてくれ!!玲華‥…この男‥…誰なんだ?」
うつむいている玲華に問いただした。
玲華は諦めて「彼氏。翔吾っていうの」
俊介は顔を真っ赤にして「彼氏って、俺じゃないのかよ?クリスマスだって一緒に過ごしたし指輪だってプレゼントしなじゃないか?」
翔吾はニヤリと下衆な笑いを込めて「まだ気がつかないのかよ?おめでたい頭だな。玲華、お前との食事を断って帰っただろ?」
「あれは親戚のおじさんが具合悪いって」俊介は戸惑いながら言った。
「よくあんな嘘信じたな。あれから俺たちはラブホでヤリまくったんだよ」
俊介は頭が混乱しながら「玲華‥…指輪は。指輪はどうしたんだ?」
「売った。」ハッキリ言った。
俊介は怒りで体を震わせながら「ふざけんな!あれは玲華のために‥…バイトして稼いだのに。俺は本命彼氏じゃなかったってことか!」
その地獄のような修羅場に嫌気が差したのは瑠璃が先だった。
瑠璃は玲華にずかずかと歩みより胸ぐらを掴んだ。
「このアバズレ!汚ねえ顔を俊介にもう見せるんじゃねーぞ!!」
瑠璃が思いっきり玲華の胸ぐらを掴んだまま押し倒した。
玲華は街路樹の根元の土に激しく転んだ。
翔吾は「おい!なにやってんだよ、このくそアマ!」と叫び瑠璃の腕を掴んだ。その時、俊介が翔吾の腕を振り払った。
「瑠璃に触るんじゃねーぞ!」俊介は怒鳴った。
翔吾は腕を押さえながら「お前だってこの女と浮気してんじゃねーか」
瑠璃は今度は翔吾に歩み寄り「俊介は仲間だ。お前らにはわかんないかもしれないけどな。男と女の関係を越えることもあるんだよ」
「俊介、もう行こう。こいつらに付き合う必要なんてない」そう言うと瑠璃は俊介を連れて街中に消えた。
路地裏に入ると瑠璃は溜まっていた息を大きく吐き出した。
「怖かった~。わたし喧嘩なんかしたことないのに」
瑠璃の足はガクガクと震えている。
「おい、瑠璃、大丈夫か?」心配そうに覗き込んだ。
「だめ。足に力入んない」瑠璃は笑って地べたに座った。
俊介は笑って「瑠璃、お前、暴走族の総長みたいだったぞ。大迫力だった」
瑠璃は見上げて「わたしの仲間がバカにされてるって思ったら頭の糸がプツンと切れてさ、なにかに取り憑かれた。うん、あれは亡くなったヤンキーの霊だ」ふざけて笑った。
俊介も地べたに座り込んで「ありがとな。たしかにショックでかくて立ち直るのに時間がかかりそうだけど、瑠璃、感謝してる。瑠璃の言うとおり大切な仲間だ」
瑠璃は「なんなの急に改まって。ま、感謝されて悪い気はしないな。じゅあ、お礼に表通りのパンケーキ屋でフルーツたっぷりのったやつ奢ってよ」
先に俊介は立ち上がって地べたに座り込んでいる瑠璃に手を差し出した。
「パンケーキなんて安いもんだ。あれだけしてもらったからな。パンケーキ、セットで頼んでもいいぞ」
瑠璃は俊介の手を掴むとグイッと起き上がった。
「セットね!忘れないでよね!」からかうように笑った。
俊介は胸に大きな穴が空いてしまったが瑠璃やバンド仲間がいる。そして大好きな音楽も。
そう思うとなんだか立ち直れそうな気がした。
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