家族みたいだねっ!!
あれから【リフレインスピカ】はスタジオに缶詰になっていた。
誰からでもなく、スタジオに寝泊まりするようになっていた。
「しかし…毎日コンビニ弁当やスーパーの惣菜じゃ飽きるな…」俊介は丸椅子に座って天井を見上げた。
リアムも「野菜不足も甚だしいです」ため息をついた。
「ただいまー!」
元気な声が響いた。瑠璃とスヨンだ。手にはスーパーの袋が握られている。
俊介は「どうしたんだ?これ」とスーパーの袋を指差した。
スヨンは勿体ぶりながら
「わたしと瑠璃が料理しまーす!」大きな声を出した。
「マジかよ!ありがとうな!」俊介は身を乗り出した。
リアムは「手は洗ってくださいね」真面目な顔をして言った。
すかさず瑠璃の蹴りがリアムの尻にクリーンヒットした。
「ならリアムは夕飯抜き!!」
リアムは尻を撫でながら
「すみません…訂正します…」情けない声を出した。
スタジオの簡易キッチンに瑠璃とスヨンが並んで楽しそうに料理をしている。
俊介はそれを見て「なぁ、リアム。俺たちって家族みたいだな…」優しく笑ってリアムを見た。
「確かに家族みたいですね。すると僕とスヨンは年齢的に兄妹ですね。だから俊介と瑠璃は夫婦ですね」
俊介は赤面して
「ば…ばか!それはおかしいだろ?」
リアムは不思議そうにしている。
「瑠璃さん!」リアムはキッチンでジャガイモの皮を剥いている瑠璃に話しかけた。
「瑠璃さんと俊介さんって夫婦みたいですよね!」
俊介はまたリアムに「お前バカか!瑠璃にまで言う必要ないだろ!」
ガランガラン。
それを聞いた瑠璃は握っていた包丁を落とした。
瑠璃は勢いよく振り向きリアムに
「あんたってホント意味分かんないよね!わたしと俊介が夫婦!?あり得ない!」
リアムは平然として「瑠璃さん。顔が真っ赤です!」
瑠璃はツカツカとリアムに近寄りリアムのふくらはぎに思いっきりローキックをおみまいした。
「痛い!!何するんですか!瑠璃さん!」
「まったく。リアムが変なこと言うからでしょ」
瑠璃はチラッと俊介を見た。
目が合ってしまった…。二人とも赤面して目を逸らした。
スヨンが笑い出した「あんたたちって最高だよ!」
そして静かに話し出した。
「わたしさ韓国から日本に来たとき誰も友達いなくてさ。学校へ行ってもわたしって取っ付き憎いのか、みんな遠慮してる感じだったんだ。ま、ずっと寂しかったってわけ。だけど、あんたたちとバンド組んでからは毎日が楽しい。そりゃ佐々木さんに怒られたし、順風満帆じゃないけどさ。それでいい気がする。わたしたちならなんでも乗り越えられるよ。」一拍置いて。
スヨンは照れ臭そうに笑って「あーあ。わたしらしくないこと言っちゃったな。恥ずかし。」またキッチンに戻っていった。
俊介とリアムは大きいテーブルを移動させた。
テーブルにはカレーライスとサラダ、スヨンお得意のキムチスープもついていた。
四人は声を揃えて、いただきます!
俊介はカレーライスにかぶりついた。
「うまい!!さすがだな!」勢いよくかきこむ。
リアムも「美味しいです!」笑顔で頷いていた。
それを見た瑠璃とスヨンはパチン!とハイタッチした。
「あー満腹、満腹」俊介はわざとらしくお腹をさすった。
「洗い物は男でやるから瑠璃とスヨンは休んでなよ」
「そりゃそうだよな!わたしと瑠璃が作ったんだからな!」スヨンは俊介を指差した。
すべて片付くとリアムは「眠いから先に寝ます。おやすみなさい」そそくさと部屋を出ていった。
瑠璃は「スヨン?銭湯行かない?」スヨンを見た。
スヨンは気だるそうに「わたしパス。今日はいいや。別に臭くないし。俊介とでも行ってくれば?あんま夜に女の子が一人で歩くのもどうかと思うし」
瑠璃は恐る恐る俊介を見た。
「そ…そうだな。ひとりはよくない。」そう言いながら俊介は赤い顔をして瑠璃を見ないようにしていた。
俊介も恐る恐る瑠璃を見た。
「そ…そうだよね。ひとりは危ないか。べ…別に俊介と行きたいわけじゃないけど、いこっかな」瑠璃も赤い顔をして俊介を見ないようにしていた。
スヨンはスマホを見ながら
「じゃ、行ってらっしゃーい」と手を振った。
スタジオの外に出た。秋風が少し冷える。
「お待たせ」瑠璃がやってきた。
2人は静かに並んで歩き始めた。
先に俊介が口を開いた。
「瑠璃。やっぱ【リフレインスピカ】っていいよな。この4人しか入れない聖域みたいなもんかな。」
瑠璃も「そうだね。わたしも【リフレインスピカ】が大好き。わたしの居場所。そしてこの4人で最高の景色を見たい」星空を見上げて言った。
「あのさ。瑠璃はなんで俺を玲華たちから救ってくれたんだ?別に瑠璃が嫌な思いすることなかったのにさ」俊介は瑠璃を見た。
瑠璃は前を向きながら
「なんか、わたしの大切な人がバカにされてると思ったら怒りが込み上げてきて許せなかった」
瑠璃は、はっ!となった。
「た、た、た大切な人ってほら、バンド仲間って意味。変な誤解しないでよね!」身振り手振りで赤面しながら【大切な人】を否定した。
俊介はそんな瑠璃の焦りに気がつかずに
「嬉しかったよ。正直。あんな情けないこと誰にも言えないから」
「別に情けなくなんてないよ。玲華がただのヤリマンだったってだけ。ただ、ちょっと俊介の女を見る目は直した方がいいかな。あんなのに引っ掛かるんだから」
瑠璃はいつの間にか俊介の「瑠璃みたいな人がいい」
と言う言葉を期待していた。
「そうだよな~。瑠璃みたいな感じの女の子がいいかもな」
俊介は、はっ!っとなった。
「る、る、る、瑠璃みたいって、その、例えだからな。例え…」みるみる顔が赤くなった。
そんな俊介を見て瑠璃は「変なの」と言って一歩、俊介に近づいて歩き出した。
【リフレインスピカ】
家族みたいなバンド。
※恋愛中。約2人。




