【09】 バックストレッチの攻防
後ろで、
美南「並走!?」
千歳「ドキドキするわ!」
金塚「向こう正面から次のターンまでどうなったのですか?」
六郎「バックストレッチから第2ターンマークまでは、6号艇が伸びて行ったよ」
金塚「『伸びて行った』ってことは、先に行ったってことですか?」
六郎「そう。エンジンやプロペラの仕上げ方が、インコースは出足、つまり加速は良いけれど直線のスピードは少し落ちる場合が多いんだ。逆に大外を走る選手は、スタートのときに思いっ切り後方から加速をつけてスタートをするので、出足より直線が速くなるようにエンジンやプロペラを仕上げる」
金塚「『プロペラ』ってスクリューのことですか?」
六郎「まぁ、そうだな。スクリューの羽の部分だ」
金塚「エンジンやプロペラで、出足や直線のスピードを変えることが出来るのですか?」
六郎「うん。予想屋も選手と同様、ボートの部品について一生懸命勉強したからな」
後ろで、
美南「金塚さんも、そんなことはどうでもいいから早く結果を聞いてよ!」
千歳「ふふふふふ」
美南「ほんとイライラするわね。私、トイレに行きたいの我慢しているんだから」
千歳「金塚さんは、結果を聞くのが怖いので、ひと呼吸おいているんじゃないのかしら?」
美南「まったく小心者なんだから!」
千歳「それがあの人のいいところなのよ」
美南「それはわかるけれど……、」
千歳「ここはいいところなんだから、ゆっくり聞いてあげないと」
美南「もれちゃう!」
千歳「急いでトイレに行ってきなさい」
その瞬間美南は猛ダッシュでトイレに向かって走り出した。
千歳「すごい!!! 『0.8』のトップスタートだわ!」




