【38】 鯉ではなくアオウオ
横で、
美南「やっぱり、1m50センチの鯉なんていないんだ」
千歳「橋田さん、話を盛ってたのかしら?」
課長「以前、ボートレース場のボートが大きな鯉にぶつかったって話を聞いたんだけれども本当かな?」
丸橋「そのことね。そのことなら知ってるわよ」
課長「えっ! 本当に!」
丸橋「もうずいぶん昔の話だけれども1m53センチの魚が朝、水面に浮いていたのよ。あれは鯉ではなくて、アオウオという魚よ」
課長「アオウオってどんな魚なんだい?」
丸橋「アオウオも鯉の仲間ではあるのだけれど、中国原産の外来種で大きいものは1m50センチ位にもなるわね」
課長「鯉ではなくてアオウオだったんだ!」
丸橋「ボートレース戸田では、1960年代にアオコが大量に発生して、水面が緑一色になってしまったのよ」
課長「『アオコ』ってなに?」
丸橋「アオコとは、微細な植物や生物によって水面が緑色になる状態を言うの」
課長「ふむふむ、わかったような、わからないような。とにかく水面が緑色になってしまうんだな、」
丸橋「そう。それで、緑色を取り除くために、取り除いた後は再発を防ぐために、外来種のアオウオという魚を放流したのよね。そのことによってアオコがなくなり、再びきれいな水面に戻ったのよ。多分その時のアオウオが繁殖して、あのニュースになったんだと思うわ」
課長「『あのニュース』って? 新聞?」
丸橋「テレビよ」
課長「テレビでもやったんだ」
丸橋「ええ、たまたま見たわよ」
課長「じゃあ、なぜアオウオが浮いていたのか、原因は知っているのかい?」
丸橋「ボートレースのボートにぶつかったんだでしょう」
課長「どうしてそう思うんだい?」
丸橋「死んで浮いていたのが1匹だけだったし、上がった魚が傷ついていたからよ。病気や自然による死骸なら大量に発生するはずだし、魚に傷はつかないわ」
課長「そうかやっぱりそう思うか」
丸橋「それ以外、考えられないわ」
課長「やっぱり、そうか!」
その後、ほんの少しだけ雑談をして、課長は電話を切った。




