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【21】 手のひらの温もり
予想舟券の数字が、書いてある小さな紙切れが、
どんどん売れた。
客がお立ち台に作られたテーブルに、
百円玉を「コン」と気持ちよく置き、
その手のひらをその位置で、広げたまま、客は待っている。
六さんは、二つ折りされた小さな紙を、
客の手のひらに強く押し当て、手のひらを握り返した。
六さん(温ったけえな。これが人情ってものよ)
六さんは、客の手のひらの温もりを感じていた。
客A「おっ!」
客B「げっ!」
客C「え、えっ!」
客D「へえーっ!」
客E「大丈夫か?」
客F「ほんとかよ!」
客G「はっはははは」
客H「うーん?」
客I「えーっ!」
客J「なるほど」
予想が書かれた二つ折りの紙切れを広げたリアクションは、
様々だった。
客がひととおり予想の紙切れを手にし、客が引けると、
六郎が助手に耳打ちした。
六郎「第9レース『4―1』一本で間違いない。この舟券を10万円買っといておくれ」
助手は舟券売り場へと足早に向かった。




