【15】 公務員失格の回答
六郎「あの話はな」
金塚「はい、」
六郎「誰にも話さず、墓場まで持って行こうと思ったんだが、なぜか話しちまったんだよ」
金塚「そうでしたか。墓場まで行く途中に落としちゃったんですね」
六郎「あんた、うまいことを言うなぁ。ははははは」
金塚「ははははは」
六郎「ついでに聞くが、」
金塚「はい、」
六郎「あんたは、俺が、国民年金を払った方が良いと思うかね、それとも払う必要はない、と思うかね?」
金塚「いえ払う必要はないと思います。治療費を払うだけで精いっぱいでしょうから。もし、少しの蓄えがあったとしても、そのお金は、生きるために使ってください! そのお金を使っていただいて、体が良くなることだけを考えてください!」
六郎「……、ぐすん」
六郎に、こみ上げるものがあった。
金塚「そして、もしも、もしも体が良くなったら、またご連絡ください。いつの日か、またこの窓口でお会いできる事を信じております」
六郎「君は本当にそれでいいのかね」
金塚「私は自分の思ったこと感じたことをそのまま言っているだけです。法律は、あとのことです。命より法律が大事とは、思えません!」
六郎「それじゃ、公務員として、間違いなく失格だろ」
金塚「失格か失格でないかよりも、私は公務員として常に市民の立場になって物事を考えるようにしています。市民を最優先に考えます。それが市役所職員の務めです。もし今、私があなたの立場だったら国民年金のことなんてこれっぽっちも考えないでしょう。自分が生きることしか考えません。それが当然です。人間死んでしまったらすべて終わりです。命に勝る大事なものなんてないのです」
六郎「そうだよな、命が一番大切、当たり前の話だよ、でも俺には命よりも大事にしてるものがひとつだけあるんだ」
金塚「えっ! 何ですか?」




