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【幸せを産む天使】真の悪は、人間か悪魔か、それとも天使かー…。熾天使と悪魔の娘レティアの復讐が始まる  作者: 墨華


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黒装束の刺客

ーマグオートー



皆はマグオートへ辿り着いた。

石造りの建物が立ち並んでいる。



ミラ『ヘレボルスと全く違うな。

まるで戦うための場所みたいだ。』



レティア『本当にね。ヘレボルスは広大な森に囲まれているけれど

マグオートはほとんど

石造りの建物しかないわ‥‥。』



ソフィア『そうなのよ。

剣術の国だからね。

とにかく男は、剣術の訓練の毎日よ。』



レティア『そうなの‥‥。


あ、ねえ、なぜ女性は剣術ができないの?』



ソフィア『男尊女卑の国だからよ。』



ソフィアは、ため息をついた。

一呼吸おいて、再び話し続ける。



ソフィア『表向きは、男が女を守るべき

という、高潔な理由を掲げているけれど‥‥


女が力をつければ、繋いでおけなくなる。

自らの力で、刃向かうことも、

逃げることもできてしまう。


だから‥‥女にそれを与えないためよ。


鳥籠の中の 可愛い小鳥のまま

自由を知られないために‥‥‥。』



ソフィアは虚な瞳をして、

囁くように言った。



レティア『そう‥‥‥。


だけど、ソフィアのお母様は

変装して剣術をしていたのよね。


お師匠様は、見逃してくれたの?』



ソフィア『ええ‥‥‥。』



ソフィアは柔らかな笑みを浮かべた。



ソフィア『バレれば処刑よ。


それを覚悟で、お母様に剣術を教えてくださった方がいるの。』



レティア『そんな覚悟で‥‥カトレア様に‥‥!』




ソフィア『‥‥‥。

そのお方がいなければ、母から剣術を教わることもなかった。

私は今頃ディセントラにやられていたわね。』



おもむろにミラが口を開いた。



ミラ『なあ、俺は王族のことはよくわからないが、

ソフィアの母さんは殺されたんだよな‥‥


戦争になったりしないのか?』



ソフィアの表情が曇る。



ソフィア『心配ないわ。』



ソフィアは、城を見上げて言った。 



ソフィア『‥‥‥女は、嫁いだら用済みよ。

政略結婚だもの。


嫁いだ娘が

病気になろうが、辛い目に遭おうが

命を落とそうが‥‥‥


誰も気にも留めないわ。

男尊女卑国ここではね‥‥。』



レティア『そんな‥‥‥』



レティアは悲痛な声で嘆いた。

国を出れば、

帰る実家もないなんて。


自由すらなく、城の中でも

ディセントラのような毒婦に虐げられるとしたら

何の生き地獄だろうと思った。



ソフィア『ヘレボルスはそんな国にさせないわ。

男女共に、輝ける場所にする。


約束するわ。』



ソフィアはそういうと、再び足を動かした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


城の離れに着く。


石造りのこぢんまりした建物がポツンと建っていた。



ソフィアは扉をノックすると、

ガチャリと音を立てて開いた。



『ソフィア様!!!!』



女中が声を上げる。

中にいた者たちもバタバタと音を立ててソフィアを出迎えた。



『お待ちしておりました。ソフィア様!!』



老若男女の使い達が、

一斉にソフィアにお辞儀をした。



ソフィア『じいやの一家よ。


ここでアレヌスは育ったわ。』



ソフィアがレティア達に紹介すると、

1番年老いた女中が口を開く。



女中『アレヌス様をお連れいたします。』



女中はソフィア達に再び頭を下げた後、

部屋のどこかへと向かっていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『姉上!!!!』



全員は声の方を向いた。



見ると、ソフィアと同じ色の髪を肩まで伸ばしている

愛らしい男の子が立っていた。

目は大きくてまんまるだった。



ソフィア『アレヌス!!!』



ソフィアはアレヌスを抱きしめる。



アレヌス『姉上!!お元気でしたか?

会いたかった!!』



ソフィアは優しくアレヌスを見つめる。

アレヌスはソフィアの後ろに立っているレティア達に気づいた。



アレヌス『この人たちは誰?』



ソフィア『私の仲間達よ。


‥‥‥アレヌス。

今日でばあや達とはお別れ。

ヘレボルスに帰るのよ。』



アレヌス『なんで!?』



アレヌスは驚きの表情を浮かべる。



ソフィア『お父様が崩御した。

あなたが国王になるのよ。』



アレヌスの驚きの表情が

徐々に悲しみに変わっていった。

アレヌスの目には涙が光り、

次第にポロポロと滴り落ちた。



アレヌス『嫌だ!!

ここを離れたくないよ!!

ばあや達と離れたくない!!!』



アレヌスはばあやに抱きつき、

声をあげて泣き始める。



ばあや『アレヌス様。

あなた様はヘレボルスで最も高貴な存在になるのです。

あなた様がヘレボルスを守るのですよ。』



ばあやは諭すように言った。

アレヌスは首を横に振り続けた。



ソフィア『アレヌス‥‥‥。』



ソフィアはアレヌスの姿に、ズキリと胸が痛む。

自分が女王になれば、全て収まるのではないかと思った。



ばあや『ヘレボルスには、じいやがおりますよ。


 ばあやたちは順番に

ヘレボルスに遊びに行きますから。


永遠のお別れではないのですよ。』



ばあやは笑顔でアレヌスに語りかける。

その言葉に、アレヌスの表情はパァッと明るくなった。



アレヌス『本当!?!?約束だからね!!』



ばあや『もちろんですとも。

お手紙も書きますからね。』



アレヌスはとびきりの笑顔をばあやに向けた。

そして、ソフィアのもとへとやってきた。



アレヌス『僕、行くよ!』



アレヌスの、今度は強い意志に満ちた言葉に

ソフィアも涙を浮かべて 頷いた。



ソフィア『行きましょう。アレヌスー‥‥‥。


ばあや達‥‥このご恩は忘れないわ。』




ソフィアは、ばあや達に平伏せて

お礼を言った。



そして、皆はマグオートを去った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ばあやが用意してくれた馬車に

アレヌスは乗り込んだ。



レティアとトーアは1人で馬に乗れないため、

アレヌスを真ん中にして、

馬車の左右に座った。



ソフィア『ヘレボルスに着くのは明日ね。

夜になったら宿で一泊しましょう。』



ニゲル『承知いたしました。』



すると、マルメロが急に威嚇をし始めた。



マルメロ『グルルルルル』



マルメロは低い声で唸り、一点を見つめて牙をむき出しにしている。



ミラ『マルメロ。誰か来るのか?

‥‥‥‥俺には全くわからなかった。』



ミラの言葉を聞いて、ソフィアは振り向いた。



ソフィア『マルメロ!?』



ニゲル『わずかな殺気に気づくミラでさえ、

わからない気配を

マルメロは感じているようです!!!』



ソフィア『絶対にアレヌスは指一本触れさせないわよ‥‥!!!』



ソフィアが言い終えた瞬間、目にも止まらぬ速さで

剣を持った10人の黒装束の者達が

ソフィア達を包囲したのだった!!!





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