翳丸との再会
翳丸の紫色の妖美な瞳は
レティアを捉えたままだ。
鋭い眼差しなのに、魅惑的だった。
この目に溺れて 堕ちてしまいたくなる。
けれど少しでも触れたら 大火傷しそうなほど
危うさを孕んでいる。
見かけによらず逞しい手が
レティアの腕をがっしりと掴んだままだ。
翳丸『また自殺か?』
翳丸は、いつものように馬鹿にしなかった。
真剣な表情でレティアに問う。
レティア『それは‥‥‥』
レティアは何かを言おうとすると、
翳丸が遮るように言葉を被せた。
翳丸『俺の目を見ろ。』
レティアは言われた通りに
翳丸の目を見つめた。
翳丸もジッと
レティアを見つめ続けている。
レティアはだんだん目の前が霞んできた。
頭がぐらんぐらんと揺れる感覚に陥る。
レティア『っ‥‥‥』
翳丸の目から放たれる魔力が、
レティアの頭を殴るように激痛を与える。
翳丸『お前、やっぱり‥‥‥』
翳丸が何かを話し終える前に、
レティアはその場に倒れ込んだ。
その姿を見下ろした翳丸は、
ぼそっと呟いた。
翳丸『記憶を、押さえ込まれている。
強い力で。
思い出せないようにな‥‥‥。
だから頭が割れるように痛むんだ。』
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レティア『ソニア‥‥‥サンダー‥‥‥』
レティアは眠りながら涙を流していた。
ひどくうなされているようだ。
翳丸は、レティアの頭を膝に乗せたまま
双子の墓碑の前に座り込んでいた。
レティアの涙が、
翳丸の服を濡らしていった。
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辺りが明るくなってきた頃、
レティアはパチリと目を開けた。
レティア『はっ‥‥!』
レティアは身を起こす。
目の前には子供たちの墓碑と
座ったまま眠る翳丸がいた。
レティア(なんで‥‥‥)
レティアは心の中でつぶやいた。
レティア(何で、翳丸が‥‥)
子供たちの墓の前にいるのだろうと
改めて思った。
【俺を邪魔するな。
俺の人生に関わってくるんじゃねえ。
邪魔する奴は 女こども関わらず斬る】
【もう二度とお前にもこいつらにも会わない。
俺を探すな。ガキたちに俺の話をするな。
約束を破ればお前もろとも斬る。
ガキも容赦はしない。】
翳丸に言われた台詞を思い出す。
レティア『それなのに‥‥‥
なぜあなたは‥‥‥‥
ここにいるの。』
レティアは心の中で放った言葉を
いつのまにか声に出していた。
目に触れると、泣いた形跡があった。
そして翳丸の膝は、自分の流した涙の跡で湿っていた。
翳丸は物音でパチリと目を開けた。
レティアは翳丸を見て 目に涙を溜めた。
そして翳丸の腕に抱きついて
わんわんと声をあげて泣き始めた。
翳丸は何も言わなかった。
抱き寄せもしない代わりに、
レティアを突き放しもしなかった。




