茶番劇
とんだ茶番劇に付き合わされる羽目になった
ミラとレティア。
ミラ『そもそも、何のメリットがあって俺があなたを襲うのですか?』
ディセントラ『こっちが聞きたいわよっ!!』
ミラ『俺には、レティアという彼女がいるのに?』
ディセントラ『確かにあなたには女がいて、身籠っていると聞いたわ。
だけどあなたが私を辱めた事実は変わらないのよ!!
そして私もあなたの子を孕んでいるの!!』
ミラは吹き出しそうになるのを必死に抑えた。
そのやりとりに国王が口を開く。
国王『証拠を出せといっているんだ。
そんな水掛け論はいらんのだ!!!』
国王はミラを怒鳴りつける。
ラヴィエも応戦し始めた。
ラヴィエ『やはり証拠など提示できやしないのです!!
そのミラという男が母上を襲ったのですから!!!』
国王はその台詞を聞いて
ミラを睨みつける。
ミラ『国王。もしも俺が潔白を証明できなければ
死罪ですよね。』
国王『そうだ。』
ミラ『ではもし、俺がこの場で
身の潔白を証明できたとしたら
どうしますか?』
ミラは凛とした態度で聞いた。
国王『ディセントラとラヴィエが死罪であることに変わりはない。
だからこれ以上の裁きはできない。
しかしもしもお前の身が潔白なら
一つお前の望みを聞こう。』
ミラはそれを聞くと静かに目を閉じて笑みを浮かべた。
しばらくの沈黙の後に、ミラは再び口を開く。
ミラ『それなら‥‥‥
もし俺が無実だったら
ガラスケースに入った天使の剥製をください。』
レティアはミラの発言に目を見開いた。
国王『天使の剥製‥‥‥?』
ミラ『数日前、ディセントラに招かれた時、
部屋に置いてありました。
今、城は崩れ落ち どこにあるかわかりませんが
瓦礫の山を探せば見つかるでしょう。』
ディセントラはそれを聞いて
キッとミラを睨んだ。
ディセントラ『ダメよ!!!絶対に!!!』
ディセントラの必死の抵抗に
国王が口を開く。
国王『お前がこの男に襲われたことは事実なのだろう?
何を焦ることがあるのだ!!!!』
国王の言葉に、ディセントラは震え始めた。
その様子を見て、
【あの天使の剥製には、まだ何か秘密がある】
とミラは思った。
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ソフィアは小声でレティアに話しかける。
ソフィア『レティア‥‥。そういえば
妙薬入りの紅茶を
ミラの咄嗟の機転で回避したと言っていたわね。』
レティア『ええ‥‥‥』
レティアもヒソヒソと話す。
ソフィア『確か、妊娠しているからカフェインの入ったものを飲めないとディセントラに言ったのよね。』
レティア『そうそう、ミラが言ってくれたわ。』
ソフィア『じゃあ、妊娠してないのね。
ごめんなさい、この前聞いたはずなのに
すっかりその話が抜け落ちてしまって‥‥‥
すごく焦ってしまったわ‥‥』
ソフィアは少し安堵したように胸を撫で下ろした。
レティア『ええ‥!でもまさか
ディセントラが覚えていたとはね‥‥』
ソフィア『ミラとあなたをどうしても巻き添えにしたいのよ!
私の仲間だから‥‥。あの毒婦!!』
ソフィアは悔しそうな顔を滲ませる。
ソフィア『どうしよう‥‥
もしもミラが身の潔白を証明できなかったら‥‥‥
あなたもミラも‥‥‥』
ソフィアの声は震えていた。
レティアはそんなソフィアを見て微笑んだ。
レティア『大丈夫よ、ソフィア。』
ソフィアはレティアの顔を見る。
レティアは少しも動じていない。
ソフィア『なぜそんなふうに言い切れるの?
不安じゃないの?』
ソフィアの心配をよそに、
レティアは噴き出しながら言った。
レティア『不安も何も、
これから面白いものが見られるわよ。楽しみね。』
ソフィアは訳がわからないと思いながら
戸惑いの表情を浮かべた。
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国王『さあミラよ!!証明して見せろ!!』
ミラはフッと笑って言った。
ミラ『俺は男じゃない。
‥‥‥‥‥女だ。』
静まり返っていたその場が
一斉にザワザワし始めた。
国王『何!?!?』
ディセントラ『はぁっ!?!?』
ラヴィエ『戯けたことを!!!』
ソフィア『え‥!?どういうこと!?』
ソフィアは戸惑いながらレティアを見る。
レティアは笑顔で頷いた。
ソフィアは驚きのあまり目を見開いた。
国王『女だと!?!?』
ミラ『ああ。』
ラヴィエ『嘘をつくな!!
それなら‥‥この場で女であることを証明して見せろ!!!』
ラヴィエはほくそ笑みながら言った。
ミラ『何だ。脱げばいいのか?』
ミラはラヴィエの言葉に動じずに
淡々と述べる。
ラヴィエ『そうだ!!そうじゃなきゃお前が女であることは証明できないだろう!!』
ミラは鎧に手をかけた。
ニゲルはそれを見てミラに近づく。
ニゲル『ミラ!!やめろ!!』
ニゲルは国王の前で跪いた。
ニゲル『国王陛下。ミラが女であるのは本当です。
男だと思っていましたが、ミラが倒れた時に
触れた瞬間すぐに女だとわかりました。
こんな大勢の人間がいるところで 女であるミラに
脱衣させろというのですか!!!』
ミラは跪くニゲルを見た。
まさか庇ってくれるとは思っておらず、
ミラはフッと笑った。
国王『それもそうだ。
よし、女のメイドを‥‥‥』
国王が言いかけると、
ラヴィエが立ち上がった!
剣を取り出し ミラの背後を切り裂いたのだ!
シュバッという鋭い剣の音が響き渡る。
あたりは騒然となった。
ミラ『!』
ミラは咄嗟に振り返るが 既に遅く、
着込んでいた衣類は鎧を含め全て破れ
ミラの素肌が晒されてしまった。
ニゲル『ミラ!!』
ミラは騒然となる現場をよそに、
国王に向かって言った。
ミラ『これで俺が女であるとわかったか?』
国王は目を逸らしていった。
国王『十分だ。お前の身の潔白は証明された!!!』
ニゲルは鎧のマントを剥ぎ取ると
ミラに巻きつけて自分の方へミラを抱き寄せた。
ミラは驚きのあまり声を上げた。
ミラ『ニゲル!?』
ニゲル『馬鹿かお前!女だろう?!
もう少し自制しろよ!』
ニゲルはミラを怒鳴りつける。
その声には戸惑いすら感じた。
ミラは再び フッと笑うと
ニゲルの顔を見て言った。
ミラ『ありがとう。ニゲルー‥‥‥』
ニゲル『チッ‥‥‥』
ニゲルは顔を逸らして舌打ちをした。
その頬は熱を帯びるように紅に染まっていた。
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ソフィア『ミラは女の子だったの!?
それにニゲルも知っていた!?』
レティア『多分ミラが倒れた時に知ったのだと思うの‥‥。
あんなにバチバチだったのに、マグナフォボスから帰ってきた後から、
ニゲル、寝ているミラに上着をかけたり、小屋まで運んだりしていたでしょう。』
ソフィア『そう言われてみれば確かにそうだったわ‥‥!
私以外みんな知っていたの!?』
レティア『トーアは知っていたわ。目を見て秘密を暴けるからね。』
ソフィア『てっきり、2人とも恋人かと思っていたわ‥‥。
あ、もちろん女の子同士だって恋人の可能性はあるけれど‥‥』
レティア『そうね。
だけど私たちは仲間よ。
ミラは訳あって男の子のフリをしているだけ。』
ソフィア『そうだったの‥‥。』
ソフィアは考え込むように視線を落とした。
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ディセントラとラヴィエは兵士に取り押さえられた。
国王は2人を見下ろす。
国王『とんだ茶番に付き合わせてくれたな!!
お前らの悪事、しかと見たぞ!!
お前らはヘレボルスを陥れた悪魔そのものだ!!』
国王は手で合図をすると、
兵士たちが剣を持って走ってやってきた。
国王『死罪だ!!
見せしめでここで斬れ!』
国王の言葉で、兵士たちが返事をする。
するとディセントラが最後の力を振り絞り、
兵士たちを振り払う。
すぐに手に魔力を込めた。
毒々しい色の魔力がディセントラの手の上で光っている。
ディセントラ『お前が死ね!!ラインハルト!!!』
ディセントラは高笑いして
魔力の球体を投げつけた!
ソフィア『お父様!!!』
ソフィアが国王の前に立ちはだかり、杖で牽制する。
国王『ソフィア‥‥‥!!!』
毒々しい魔力の球体は ソフィアの杖で跳ね返り、
あたり一面に広がった。
ディセントラ『それはお前らの魔力を使えなくする攻撃だ!!!
ここにいる全員、もう魔力を使えまい。
そして、ソフィアとラインハルト以外
全員動けない。
その場で立ち尽くしながら
凄惨な現場を目に焼き付けるがいい!!!』
ラヴィエも動けなくなった兵士を振り払い
狂ったように笑っていた。
ミラ『本当に動けないぞ!!
毒による麻痺でもなさそうだ。
ニゲル、どうにかならんのか!!』
ニゲル『俺も動かねえんだ!!
どうすればいいのだ!!
ソフィア様と国王陛下が‥‥‥‥!』
ラヴィエとディセントラが剣を抜いた。
ソフィアと国王に向かって走り出す。
ラヴィエ『フン。魔力も使えない
ひ弱な女のお前じゃ 俺に敵わない。
死ぬしかないのだ!!!
最後に醜い悪あがきを見せてみろ!!』
ラヴィエは嫌な笑みを浮かべながら
ソフィアに走って近づいた。
ソフィアは
ラヴィエとディセントラを冷たい瞳で見つめながら
びくともせずに立っていた。
ソフィア『‥‥‥‥』
ラヴィエ『死ねええええっ!!!』
ラヴィエとディセントラは剣を振り上げた!
国王『ソフィア!!!お前だけでも逃げろ!!!』
国王はソフィアに向かって叫ぶ。
ソフィア『いやよお父様。
あなたが愛した王妃‥‥カトレアは
そんな女じゃなかったでしょう?』
ソフィアは国王に向かって言うと
持っていた杖を放り投げた。
ソフィア『私は、気高き王妃の娘よ。』
カラン、と杖は音を立てて転がった。




