暴かれる真実と【誰か】の存在
レティアは、浄化の邪魔をするディセントラとラヴィエの相手をしていた。
だんだんと 神聖なオーラが強くなり、
ディセントラとラヴィエは
精霊たちへの妨害ができなくなった。
トーア『祖父君。父君。
すごい呪詛だね。これー‥‥‥』
トーアの横には、彼の祖父と父親が立っている。
汗でびっしょりと顔を濡らしながら、
3人は最前列で浄化をしていた。
トーアの祖父『黒魔術を使ったんじゃろう!
全く、やっと天使様のおかげで復活したと思うたら‥‥‥
よりにもよって、1番大掛かりな
【漆黒】を【純白】に戻す浄化じゃとー!?
ツイてないわい‥‥‥』
真っ白な長い髭を靡かせながら
トーアの祖父は嘆いた。
トーア『祖父君にはもうきついよね。年齢的にさ。』
トーアの祖父『なんだとトーア!!!
生意気な小僧になったもんじゃ!!
ワシはまだまだ現役じゃぞ!!
この黒魔術が厄介なんじゃっ!!』
トーアの祖父は膨大な魔力を使いながらも饒舌だ。
トーアの父は冷静に、何も話さず黙々と浄化をしていたが、不意に口を開いた。
トーアの父『トーア。あの女の目を覗け。』
トーア『了解。』
ディセントラとラヴィエは精霊たちの浄化により
立っていることすらできず、地面に座り込んで息を切らしていた。
トーアは ディセントラの目を覗き込む。
まるでひとつの天体のような、
美しい薄青と薄紫色の瞳が
恐ろしいディセントラの目を映し出す。
ディセントラ『おのれぇ!!小癪な!!!』
ディセントラは血管が切れる勢いでトーアを睨み、怒声を浴びせる。
するとトーアが、ディセントラの目を見つめて暴き出した秘密を語り出した。
トーア『彼女は普通の人間。
マグナフォボスの最貧困層出身。
黒魔術は、ディセントラの心の闇に付け込んだ
【誰か】が
わざと彼女の目に触れるように仕向けた。
黒魔術で悪魔と何らかの契約をし、得た能力で
国王や兵士を操り始めた。
もちろん、その得た能力の中に、
触れた者すら死んでしまう【悪魔の禁忌の秘技】
も入ってる。』
ソフィア『古の聖者が命懸けで封印した、
知られざる邪術のはず‥‥
一体誰が‥‥その存在を知っていて
ディセントラの目に触れるように仕向けたと言うの‥‥‥。』
ソフィアは慄くようにつぶやいた。
トーア『国王がディセントラと初めて出会ったのはマグナフォボス。
【誰か】によって、国王がディセントラと出会うように仕向けられた。』
ミラ『‥‥‥国王と毒婦を出会わせることは、
【誰か】にもメリットがあった。
そうじゃなければ
マグナフォボス最貧困層出身のディセントラが
国王に出会う機会など無いはず。
やはり‥‥‥この国の乗っ取りか?
でもなんのために‥‥‥。』
ミラは不可解だと言うように首を傾げながら言った。
トーアはさらに話を続けた。
トーア『レティアちゃん‥‥‥。
あの剥製の天使を殺したのは、ディセントラじゃない。
【誰か】があの天使を殺した。
奪った天使の能力は、ディセントラに授けられた。
でもそれがどんなものかは、よくわからない。
つまりディセントラは悪魔の禁忌の秘技以外に、天使の能力も持っている。』
レティア『はっ‥‥‥‥!』
レティアは目を見開いて 息を飲み込んだ。
【天使を殺した『誰か』がすでに能力を奪っている】
トーアの口から暴かれる真相に
ドクン!と心臓が脈打った。
ミラ『また【誰か】か‥‥‥。
天使を殺した奴と、
ディセントラに黒魔術を使うように仕向け、
彼女と国王を出会わせた奴は同一人物なのだろうか。』
ニゲル『本当だな。全くわからないな‥‥』
トーア『ソフィアの母上‥‥
元王妃カトレア様がなかなか身ごもらなかったのは
ディセントラに避妊薬を飲まされていたから。』
ニゲル『な!!!!なんだと!?!?』
ニゲルは大声を上げる。
トーア『カトレア様を殺したのはこの女。
ソフィアが飲まされるはずだった毒を
カトレア様はわざと知っていて飲んだ。』
ソフィア『なんですって‥‥!?!?
本当は、わたしが飲まされるはずだった‥‥!?』
トーアは暗い顔をして頷いた。
ソフィアは殺気に満ちた瞳でディセントラを睨める。
トーア『あ、あと最後に。
ラヴィエは国王の子供ではない。
ディセントラがマグナフォボスで働いていた店の客の子だ。』
ニゲル『何と野蛮な!!!!!』
ニゲルはディセントラを指差し、声を荒げた。
すると、国王が急に我に返った。
国王『はっ!!!!!』
国王は立ち上がり、辺りを見渡した。
自分の両手、崩れ落ちた城、精霊たち、
そして もがき苦しむ兵士たちや
座り込むディセントラとラヴィエを見つめた。
国王『わ‥‥我は一体‥‥‥
お前たちは何をしているんだ!?』
国王はパニックに近い声を上げた。
ソフィア『お父様‥‥‥』
ソフィアは悲痛な顔をして国王を見つめる。
自分と娘のあまりの温度差に、
国王は只事ではないと ゆっくり口を開く。
国王『ソフィア‥‥一体何が‥‥
我は今まで何を‥‥‥‥』
国王は頭を抑えて言う。
何が何だかわからないと言う表情だ。
精霊たちも、ニゲルも、兵士たちも、そしてソフィアも‥‥
みんな暗い顔をして、黙って立っていた。
ソフィアは大粒の涙を
瞳にいっぱい溜めて声を絞り出した。
ソフィア『‥‥すべて‥‥‥
遅すぎたのよ。お父様ー‥‥‥』
ソフィアは口を閉じた後、
美しい瞳を伏せた。
涙は ヘレボルスの乾いた地面にポロリと落ちる。
トーア『僕たち精霊から説明します。』
精霊たちは一斉に、
国王の前で跪いた。
精霊たちは鎖骨にある紋章を
魔力を込めて色付けた。
青と薄紫のグラデーションに光る花の紋章は、
彼らが精霊であると言う証だ。
国王『精霊の国の精霊たちだな。
わかった。
すべて我の前で説明してくれ。』
ディセントラは正気に戻った国王を前にして、
ギリッと歯を食いしばった。




