精霊達の復活!
レティア、トーア、そしてマルメロは
精霊の祠を護るべく、森の中に残っていた。
レティアはトーアの【回復の浄化】により
すぐに体力も魔力も復活し、目を覚ました。
【禁忌の悪魔の秘技】を持つ、ディセントラとラヴィエの兵士たちを、
自分の悪魔の血の力で返り討ちにしながら
祠を守っていた。
マルメロは匂いや気配で、
すぐにどの方向に、何名の兵士が近づいてくるかを
レティアに教えてくれた。
レティアとマルメロが祠を守る傍ら
トーアはそっと呟いた。
トーア『あと30分‥‥‥‥!』
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ー城ー
反乱軍たちは城の前までやってきた。
最終決戦だ。
もう精霊たちが復活するのも目前だ。
ヘレボルスの明暗を賭けた戦い。
絶対に負けるわけにはいかないのだ。
ソフィア『皆!最後の戦いよ!
気を引き締めて。
ヘレボルスを‥‥‥ヘレボルスを!
ディセントラとラヴィエから取り戻すのよ!!!』
ソフィアは強い眼差しで言った。
その目には迷いの一つすら感じられない。
腹を括った女の顔だった。
全員、ソフィアの言葉に
声高らかに返事をした。
ソフィア『魔法攻撃の皆!!
城を爆破するわよ!
城の中に隠された物、隠れている者、
1人残らず外に出すわ!!
そして民の前で裁きましょう!
誰がヘレボルスの悪なのかを!!』
ソフィアは叫ぶように言うと
杖を天に掲げる。
魔法攻撃の者たちは、
ソフィアと同じように杖を天に掲げると、
魔力を込めた。
灼熱の緋色の球体が
皆の掲げる杖の上で光っている。
ソフィアは息を思いっきり吸った!
ソフィア『行くわよ!!!』
ソフィアの合図で、灼熱の緋色の球体は
城を目掛けて 一直線に飛んでいく。
バコオオオオオオオ!!!
という耳を劈くような爆発音が響く。
豪華絢爛な城は、
音を立てながら、跡形もなく崩れ落ちる。
城の内部にいた者たちの悲鳴や混乱の声が
反乱軍たちの耳に届いた。
しばらくすると、
カツ、カツという
ヒールの音が近づいてくる。
同時に、甲冑が擦れ合う
重く鈍い音も聞こえてきた。
『ソフィア、生きていたの。
まさか最終兵器を隠し持っていたとはね。』
少しも動じない 余裕の表情で
ディセントラは言った。
ソフィアは睨みながらディセントラに杖を向けた。
そして、甲冑の擦れる音がディセントラの隣で止まる。
ラヴィエも姿を現したのだ。
『叛逆行為だぞ。ソフィア。』
ラヴィエは不敵な笑みを浮かべてソフィアを見つめた。
ソフィアの顔はますます険しくなった。
ソフィア『叛逆者はあなたたちよ!!!』
ソフィアは鋭く叫んだ。
ディセントラは高笑いする。
ディセントラ『この国ももう我らのものになる。
‥‥‥‥お前は邪魔だ。ソフィア。』
ディセントラがそう言うと、
不意に威圧感のある何者かが
両者の元に近づいてくる。
宝石が散りばめられた王冠を被り
ベルベットのマントを翻しながら
ゆっくりと近づいてきた。
ミラはすぐにわかった。
彼が、ソフィアの父でありヘレボルスの国王、
ラインハルトだと。
『何事だ!!!!』
国王は鬼の形相で叫ぶ。
ディセントラ『陛下。ソフィアが叛逆し
反乱軍を率いて、城を破壊しました。』
ディセントラはお得意の演技で
国王に泣きつくように言った。
国王『ソフィアよ。
なぜお前はいつも!!!
ディセントラに楯突き!!
ラヴィエを邪魔し!!!
そして我に叛逆すると言うのだ!!!』
国王は今でもソフィアを殴る勢いで怒鳴り散らす。
ソフィア『ディセントラが!!
私の母、カトレアを殺し!!
お父様を操り!!ヘレボルスを乗っ取ろうとしている黒幕なのですよ!!』
ソフィアは泣いていた。
国王に懇願するように言ったのだ。
国王『何馬鹿なこと言っている!!
お前は頭がおかしいのか!!!』
国王は話にならないと言わんばかりに、
ため息をつきながらめんどくさそうに言い放つ。
ソフィア『ラヴィエはお父様の息子ではないわ!!』
ピクッと国王の体が反応した。
恐ろしく冷たい形相でソフィアを見下ろす。
国王『お前は、言っていいことと悪いことすら
判断がつかぬのかー‥‥‥!!!』
国王の鋭い眼差しは
背筋がゾクリと凍るほどに恐ろしい。
ソフィアは肩を震わせた。
ソフィアの祈りも思いも
ラインハルトの耳には一切届かなかった。
国王『誰に戯けた入れ知恵をされたかは知らないが
やはり、お前は、失敗作の王女だったようだ。
それもそのはず、あの反抗的で野蛮な女の娘だからな。』
アッハッハ、と国王は高笑いする。
ミラは国王の姿に怒りを滲ませる。
短剣を握りしめ、地面を蹴ろうとした。
そんなミラを制止するように、
ニゲルはミラの腕を強く掴んだ。
ミラ『止めるな!』
ミラは小声でニゲルに言う。
ニゲル『俺も悔しいんだ!
しかしあれは、毒婦に操られているからだ!
それに‥‥もしも国王に傷でもつければ
お前を助けられない。
ソフィア様でもな‥‥。』
ニゲルは悲痛な顔をしていた。
ニゲル『もう少しだ。もうすこしで
ディセントラとラヴィエの悪事が暴かれる!』
ニゲルの台詞で、ミラは、
ヘレボルスは厳しいルールや法律だらけだと言うことに気づいた。
ミラ『チッ‥‥‥』
ミラは小さく舌打ちして、構えた手を下ろす。
国王『反乱軍は我が王妃と我が王子に武器を向けた。
よって、皆 処刑だ。
民達の前で 見せしめながら処刑だ!』
国王は、はち切れそうなほど血管を額に浮かせながら言った。
すると、ものすごい轟音が響く。
その場にいる全員が、凄まじい風を受けた。
青白い光の柱が 森の奥で湧き上がったのだ!
見るからに神聖なオーラが、
徐々に森へと浸透していく。
キラキラと輝きながら、
青白い光はヘレボルスの森を照らし、
いつしか焼け爛れた木も大地も、花々も
みるみるうちに復活していったのだ!
ミラ『あれは!!!!』
ソフィア『復活したようね!!』
ニゲル『間一髪だ!!!』
反乱軍たちは顔を綻ばせた。
ディセントラとラヴィエは睨むように森を見た。
ディセントラ『させるか!!!』
ディセントラは森の方へと手を翳した。
禍々しい漆黒の霧のようなものが
ディセントラの手の周りを覆う。
ディセントラ『今からでも‥‥』
ディセントラが何か言いかけたところで、
皆のいる場所にも
森のように 眩しいほどの光が包み込んだ。
国王『うわぁぁっ!!!!苦しいっ!!
やめろおおおっ!!うわぁぁぁぁっ!!』
国王はその場に倒れ込み
もがき苦しみながら、呻いている。
『ソフィア!ミラちゃん!ニゲルくん!
反乱軍のみんな!!』
いつもの優しい声が響いた。
振り返ると、そこにはトーアがいた。
レティア、マルメロに続き
復活した精霊たちも やって来てくれたのだった。
ソフィア『ありがとうー‥‥‥!
復活したのね‥!!!』
ソフィアは満面の笑みを浮かべて涙を流す。
トーア『遅くなったね。間一髪だ。
民達もみんなここに集めたよ。
さあ、浄化を始めるよ!』
精霊たちは一斉に手を翳した。
国王、操られたディセントラの兵士、
ラヴィエの兵士たちが
一斉に床に倒れ伏してもがき始める。
ディセントラ『させるか!!!!』
ディセントラが精霊たちに手を向ける。
再び禍々しい漆黒の霧が立ち込める。
浄化は、【黒】を【純白】に戻す行為なのだ。
そのため、ディセントラの【禁忌の悪魔の秘技】は、少し漏れ出るだけで
精霊達の浄化の足を引っ張った。
ディセントラ『フフフ‥‥
永遠に浄化などできないわよ!!!
絶対にタダではやられないんだから!!!
ラヴィエ!!来なさい!!』
ラヴィエもディセントラの横に立ち、
ほくそ笑みながら邪悪な氣の魔法を手に込める。
いくら浄化しても、
2人の妨害により空気は澱んだ。
そこに、レティアが立ちはだかる。
ディセントラ『お前は!!!!』
ディセントラは声を荒げる。
先ほど、血相を変えて飛んできた家来から聞いた女だ。
手を翳しただけで、祠に近づいた者を木っ端微塵にした。
そして惚れ薬が入った飲み物だと知り、下手くそな芝居で回避した女だー‥‥。
ディセントラは 怒りと悔しさを滲ませる。
レティア『精霊達が浄化している間は
私が相手よ。』
レティアの青い瞳が
ディセントラの焦りに満ちた顔を
冷酷に映していた。




