母上、再び燃やしましょう。祠も、邪魔する者も全員!
マルメロが威嚇をした方角から
ものすごい熱気が近づいてくる。
陽炎が立ち上り、思わず顔を逸らしたくなるほどの威力だ。
ソフィア『今よ!!!!
杖を振り上げ、全員、
【水の魔法】を出しなさい!!!』
ソフィアが合図すると、
全員、杖を天に掲げた。
突如、この地を焼き尽くすのではないかというほどの巨大な炎の玉が、
ソフィアたち目掛けてやってくる。
しかし、ソフィアたちの掲げた杖が光り出したと思うと、
巨大な火の玉を超える【水の魔法】が飛び出した。
青く神々しい【水の魔法】の球体は、
敵の魔法の【火の玉】に勢いよくぶつかった。
シュウウウウウ‥‥という音を立てて、
火の玉をあっという間に飲み込んだ。
レティア『!!!!!!
すごいわ‥‥‥‥!!!
何この威力は‥‥‥!!!』
ソフィア『私たちは集団で魔法を使うわ。
個人より、膨大な威力の玉を作り出せる。
あくまでも、ラヴィエの
攻撃力の高い魔法を使えなくすること‥‥
魔力を削ぎ落とすことが目的だから!
レティア!!次の攻撃では
私たちと共に、魔力を込めてちょうだい!!
あなたの魔力が、私たちの魔法の養分となり
もっと威力のある水の魔法を作れるわ!!!!!』
レティア『わかったわ!!!!』
再び、あたりに熱気が立ち込める。
あまりに熱くて、皆は汗を滲ませた。
ソフィア『さあ!!!!!
くるわよ!!!!』
ソフィアは声を張り上げる。
ソフィアの部隊たちは、再び杖を振り上げる。
レティアも 左腕を天に掲げた。
魔力を手に思い切り込める。
ソフィア『いいわ!!!
レティア!!素晴らしい魔力よ!!
天使様の魔力‥‥‥すごいわ!
ほら見て!!さっきの私たちの【水の魔法】より
ずっと大きくなったわ!!!』
レティアが見ると、先ほどの水の魔法の2倍の大きさになっていた。
レティア『よかった‥‥‥!!』
レティアは口を綻ばせる。
役に立てたことが、何よりも嬉しくて
少し自分が誇らしくなった。
ソフィア『さあ!!!
いくわよ!!!!!!!』
ソフィアが叫ぶと同時に、
火の玉を目掛けて
光り輝きながら、水の魔法は勢いよく飛び出した。
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ニゲル達は、槍を投げて口封じをした
ガタイのいい男の前にやってきた。
男『よくトリカブトとわかったな。
お前、何者だ?只者じゃないな。』
男はミラに向かって言った。
男は未だ不敵な笑みを浮かべていた。
その表情からは余裕まで感じられる。
ミラ『ごたくはいい。
簡単に仲間を切り捨てる奴‥‥‥
俺は反吐が出るほど嫌いだ。』
ミラは低い声で吐き捨てる。
一瞬の隙に男の背後に回った。
ニゲル『はやい!!!!!』
ミラは残影が見えるほどの速さだ。
ニゲル達が気づいた頃には、
短剣で 男の背中を切り裂いていた。
男『ぐふ‥‥‥っ!!!』
厚い鎧を着ていても、
怒りに満ちたミラの攻撃力では、
生身の体は守れないようだ。
鎧は裂けて、男の背中はパックリとX型に開き
血が垂れていた。
ニゲル『ミラ!!!!!!』
ニゲルは、静かに怒りを滲ませるミラに声をかける。
もしかしたら、ミラは殺してしまうかもしれないと思ったのだ。
ミラ『安心しろ。
急所は外しているから。』
ミラはそう言って、
男の首筋を 短剣の柄で殴った。
男は、『ぐふぅ‥‥‥』と、情けない声を上げると
地面にのめり込むように倒れた。
ミラはニゲルに
いつも通り冷静な姿を見せた。
ニゲルはその姿に胸を撫で下ろすと同時に、
ミラの力、素早さ、そして博識‥‥‥
全てが普通とかけ離れていることに
ひどく驚いた。
ニゲルは知っているが、
ミラは‥‥少し前に自分の前で倒れた
華奢で小柄な女なのだー‥‥‥。
にもかかわらず、
鍛え上げた男よりも強い攻撃力、据わった目、物怖じしない姿に、
ニゲルは嫉妬よりも尊敬の眼差しに変わっていた。
同時に、ミラが
ここまで強くならないといけなかった理由や
女を隠している理由を知りたくなった。
ミラ『ニゲル!!後ろ!!!』
ニゲルが考え事をしている一瞬の間に
ミラが声を張り上げた。
ニゲルは 失態だ!と思い
すぐにミラの視線を追う。
別の敵兵たちがニゲルを包囲していたのだ。
同時に、ミラの視線の先から、
鋭い矢が飛んできた。
ニゲル『うわっ!!!!!!』
矢はニゲルの頬を掠めた。
鋭い痛みが 頬を伝う。
ミラ『ニゲル!!!!』
ミラは一瞬のうちに
包囲されたニゲルの元へ飛んで行く。
短剣を左手にも握って
目にも止まらぬ速さで攻撃していった。
女1人で
10人の男を相手にしたのだ。
声を上げる間もないまま、
ドサドサッ‥‥‥と
次々に敵兵は倒れた。
ニゲル『ミラ‥‥‥!!
助かった!!』
ミラ『何ぼーっとしている。』
ミラはそういうと、ニゲルの頬の傷に触れた。
ニゲル『わっ!!!///
なんだお前!!!』
ミラ『怪我、しただろう?』
ミラは足元に生えていた草を抜いたと思うと、
ニゲルの頬の傷に塗り込んだ。
ニゲル『っ〜!!!』
矢の傷には ひどく沁みた。
ニゲルは顔を歪ませる。
ミラ『男だろう?我慢しろ』
ミラは淡々とそう言った。
ニゲルが頬を赤くしていることにも気づかずに。
ミラ『なんだ。俺のことまじまじと見て。』
ニゲル『いや‥‥‥お前‥‥
その強さ どうなってやがる‥‥
それにお前、小柄で華奢‥‥』
ミラ『おっと。それ以上は言わない約束だ。』
ミラは笑って言った。
ニゲルはミラから目を逸らして口を閉ざした。
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日が落ちてくる。
ソフィア部隊も、ニゲル部隊も
多くの敵兵の体力と魔力を削いだ。
敵兵の9割が気絶したところで、
ソフィア部隊が魔法で【催眠の技】を使った。
敵兵たちは、深い眠りについたのだった。
ソフィア部隊、ニゲル部隊は再び森で合流した。
まるで先ほどまでの戦がなかったかのような
静かな夜が あたりを包み込む。
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ー城ー
ディセントラ『何故私たちの兵はやられたの!?
兵士の数も、武器も、私たちの方が遥かに上。
ソフィア達があんなにも力を持っているはずないわ!!!』
ディセントラは強い怒りを露わにし、
今にも額のティアラを振り落としそうな勢いだ。
ラヴィエ『母上!
俺も思いました。
しかし‥‥見たことのない男と女がいたそうです。』
ディセントラ『見たことのない男と女‥‥‥!?』
ラヴィエ『はい!女は、ソフィア軍の方にいて、ヘレボルスには見ない魔力を使っていたそうです。
男は、ニゲル軍の方におり、
隊長であるニゲルが戦う間もないまま、
強い攻撃力、素早さ、賢さを兼ね備え
俺たちの兵士たちを一瞬で倒したそうです。』
ディセントラ『ソフィアは最終兵器を隠していたと言うのだな!!
ええい!!!小癪な!!!!!』
ディセントラは髪を強く握りしめて叫んだ。
すると ディセントラとラヴィエの前に、
全身黒い服を着た刺客がやってくる。
息を切らしながら 跪いた。
刺客『ディセントラ様!!!』
ディセントラ『どうしたの。そんなに急いで。』
刺客『燃やしたはずの森‥‥‥
精霊の国の祠の魔力が
復活しかけています!!!!』
ディセントラ『何!?!?』
ディセントラは叫びながら立ち上がる。
ラヴィエ『お前、よく調査した。
褒美をやる‥‥‥。
母上、これからです。
俺らの魔力が回復する
明日の朝に‥‥‥‥
再び、燃やしましょう。
今度は ソフィアもソフィア派も
まとめて‥‥‥‥
邪魔する者 全員!!!!!』
ラヴィエは血走った目で
叫ぶように言い放った!




