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【幸せを産む天使】真の悪は、人間か悪魔か、それとも天使かー…。熾天使と悪魔の娘レティアの復讐が始まる  作者: 墨華


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開戦

ミラ『ん‥‥‥』



ミラは目を覚ます。

静かな夜に、蹄の音が響き

心地の良い振動が体に伝わってくる。



ニゲル『起きたか。』



ニゲルは 左腕でミラを抱き抱えるように支えながら

右手に手綱を握り器用に馬を走らせていた。



ニゲル『もう皆のいる森に着く。

薬は半年分もらったぞ。』



ミラ『‥‥‥すまない。

早速飲ませてくれたようだな‥‥

世話かけたな。』



ミラはすっかり良くなったようで

前を向くように座り直した。



ニゲルは後ろからミラの様子を伺いながら

口を開いた。



ニゲル『お前‥‥なんで

そんな格好している‥‥‥』



ニゲルは恐る恐る ミラに問う。



ミラ『‥‥‥。色々訳があってな。』



ミラは下を向いて

いつもより低いトーンで答える。



ニゲル『天使様は知っているのか』



ミラ『ああ。トーアも知ってる。


‥‥‥ニゲル、頼む。

みんなに言わないでくれ。

俺が男だということにしてくれ。』



ミラは弱々しい声で頼み込んだ。



ニゲル『‥‥‥わかった。』



ニゲルはぶっきらぼうに答え、

それ以上は何も聞かなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ニゲルとミラは森に帰ってきた。



レティア『ミラ!!!!

大丈夫!?』



レティアはミラに駆け寄る。

顔色を見るがいつも通りのようだ。



ミラ『ああ。ニゲルのおかげで助かった。』



レティア『よかった‥‥‥!

無理しないでね。』



レティアは今にも泣きそうな表情で言った。

そんなレティアにミラは優しく笑いかける。



ソフィア『お帰りなさい。


‥‥‥もう私たちは食事、終わったわ。

2人とも食べなさい。』



ソフィアは魔力で火を起こして焼いた

肉や野菜を取っておいてくれたようだ。



ニゲルはソフィアにお礼を言って食べ始めた。


ミラは一切手をつけずにその場に寝転がる。



ニゲル『‥‥‥おい。食えよ。

倒れるぞ。』



ニゲルは素っ気ない態度で言い放つ。

なんだかんだミラの体を心配しているようだ。



ミラ『ありがとう。

だが生憎‥‥今食欲がないんだ。』



ミラはそのまま目を閉じると

数秒の間に すぅ‥という寝息を立てる。



ニゲル『な!?!?

こんな背中の冷えるところでもう寝たのか!?!?』



レティア『ええ‥‥ミラはね

どんな場所、どんな環境でも数秒で眠りにつくことができるのよ。


雨が降ろう風が吹こうとね‥‥‥』



レティアはそう言って

ミラの顔を再び見つめる。

血の気が戻っていることに安堵する。



ニゲル『こいつ‥‥‥

自分を労ることを知らんのか‥‥‥!!』



ニゲルはそう言うと

自分の纏っていた上着を脱いで

投げるように ミラの上にかけた。



ソフィア『あら‥‥‥。』



ソフィアは、ニゲルのミラに対する態度の変化に驚き、目を見開く。

少しだけ打ち解けたのかと思い、自然と口元を綻ばせた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


レティア『ソフィア。ヘレボルスは魔法の国と言っていたわね‥‥

反乱軍こちらの戦法は魔法なの?』



ソフィア『‥‥‥魔法を使いつつ

武器での攻撃もするわ。


私の母の故郷は、剣術の国だったの。

母が父と結婚する時についてきてくれた家来たちは

皆、剣術に長けていてね。


だから彼らは武器での攻撃をするわ。』



レティア『そうなの‥‥!

すごいわね‥!』



ソフィア『ヘレボルスで母や私の味方をしてくれた兵士たちは、

魔法を使う人もいれば、

武器を使う人もいる。半々ね。


魔法の攻撃は広範囲で

かなりの打撃を与えられるけれど

自分の魔力が尽きてしまえば、

生身の力だけで戦わなければならない。


一長一短ね。』



ソフィアは静かに話す。



レティア『ディセントラの軍は、どう戦うの?』



ソフィア『ヘレボルス出身の、ディセントラに操られた兵士たちは魔法を使うでしょうね‥‥。

ただ彼らは、トーア達が浄化して正気にさせてくれたら、すぐに攻撃をやめるでしょう。


ディセントラ自身は ヘレボルスで

魔法の訓練を受けたことないから

魔力を使った攻撃は、できないはずなのだけど‥‥


黒魔術でどんな秘技を授かったかわからないから、

なんとも言えないのよね。』



レティア『そう‥‥‥。

ラヴィエは?』



ソフィア『ラヴィエは魔法を使えるわ。

王子として訓練を受けていたからね‥‥‥。

武器よりも、魔法の方が得意なの。

攻撃魔法がとても強いのよ。』



レティア『そうなの‥‥‥。』



ソフィア『心配しないで。

私だって、王女として訓練されて魔法が使えるから。


レティアだって、特別な魔法を使えるじゃない。

ディセントラの軍に、天使様はいないわ。


‥‥私たちの争いに、あなたとミラを巻き込んでごめんなさい。』



ソフィアは眉を顰めて言った。



ソフィア『‥‥‥まだディセントラに出会ったことないわよね。

戦になったらすぐに、教えるわ。』



レティア『実は私たち‥‥ディセントラに招待されたのよ。城の中に。』



ソフィア『なんですって!?』



レティア『ミラを狙っていたの。

ディセントラ‥‥ミラに色仕掛けばかりして‥‥』



ピクッと、ニゲルの体が

レティアの話に反応した。



ソフィア『はあ‥‥‥

【お茶でもどう】 って言う誘い?』



レティア『!!!

そう!!

そのお茶には惚れ薬が入って‥‥

トーアが飲むなって言いに来てくれたのよ。

私にしか姿が見えないのをいいことに。』



ソフィア『どうやって飲まずに回避したの?

飲まなければ、飲むようにしつこく言われるでしょう。』



レティア『ミラが私を身重ということにしてくれたわ。

だからカフェインの入った飲み物は飲めないと。


ミラ自身は、においで媚薬が入ってることに気づいていたらしくて‥‥‥』



ソフィア『驚いた!!!!

ミラは‥‥あなたの彼氏は、只者じゃないわね!!!』



ソフィアは感心したように目を見開いて言った。



レティア『私、渾身の演技でミラに倒れ込んで

媚薬の入ったティーカップを落とさせたのに‥‥‥。』


レティアが恥ずかしそうに話す姿を見て

ソフィアはフッと吹き出した。



ソフィア『可愛いわね。

相性のいい恋人アベックだわ!』



ニゲルはソフィアの発言を聞いて

額に汗をにじませるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ソフィア『もう夜更けね‥‥‥。


私たち、この近くの小屋で寝泊まりしているの。

レティアも来て。

森の地面で寝かせるなんてできないもの。』



レティア『ありがとう。

でもミラが、ここで寝てしまっているわ。

だから私もここで‥‥‥』



レティアが言いかけると、

ニゲルが寝ているミラを無言で抱き上げて

小屋に向かって歩き出した。


その姿を見たレティアは目を見開いた。



レティア(!!!!

ニゲルは‥多分‥‥気づいているのね。)



ソフィア『あら!ニゲル。』



ミラとバチバチだったニゲルの意外な行動に

ソフィアは声のトーンを高くしてクスリと笑ったのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー早朝ー



ミラ『ん!!!!』



ミラは何かに気づくように飛び起きる。

咄嗟に短剣を取り出した。



レティアもソフィアもニゲルも

ミラの立てた物音で飛び起きる。

それに続いて反乱軍達も起き上がった。



ニゲル『うわっ!!ミラ!急になんだ!!』



ニゲルは、心臓が飛び上がったようだ。

額に汗を滲ませて 顔を引きつらせている。



ミラ『‥‥‥殺気を感じる。』



ミラはそういうと、素早く小屋を出て行った。



マルメロ『ヴヴヴヴヴ‥‥‥』



マルメロも威嚇をして

ミラの後に続いて小屋を出た。



ニゲル『全く気づかなかった‥‥‥!』



ニゲルは悔しそうにぼやきながら剣を握り、外に出る。

レティアもソフィアも反乱軍たちも、ニゲルの後に続いた。



全員が、小屋を出た瞬間、

ドォン!!という音を立てて

壮大な花火が打ち上がった。



ソフィア『開戦ね!!!!』



ソフィアは杖を握り、

空に浮かぶ花火を睨めながら叫んだ。

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