ソフィア王女の平伏
レティアはしばらくの沈黙の後
口を開いた。
レティア『最初、8人の子供たちが行方不明になった。
その後、8人の子供たちは残虐に殺害されていたことが発覚した。
確か、みんな水の氣を持っていて‥』
トーア『うんうん‥‥‥
それだけ聞くと、水の氣が弱点である悪魔や魔界の奴らの仕業かもって思うね‥‥‥。』
レティア『でも次第に、大人や、火の氣を持つ天使たちも失踪して‥‥‥
私の師匠も火の氣だったのに
急に行方不明になって‥‥‥。』
トーア『さっき見た剥製は
レティアちゃんが天界にいた時、
どちらの氣だったかわかるかい?』
レティア『わからない‥‥‥
私には、氣というものがよくわからないわ‥‥‥』
トーア『そっか‥‥‥
能力、魔力全て奪われているだろうから
僕が今、剥製の子を見ても
どちらの氣なのかわからないな‥‥
氣ってさ、見え方感じ方はそれぞれだけど、
僕には色で見えるんだ。
だから全ての能力を奪われてしまった天使は
僕には 何の色も見えないんだ。』
レティア『そう‥‥‥‥』
トーア『レティアちゃんの息子と娘は、
どんな能力を持っていた?』
レティア『息子のサンダーは、【変幻自在の技】
30分ほど、誰かにそっくり姿を変えられた。
娘のソニアは、【真実を暴く力】。
嘘をついた者、濡れ衣を着せた者、着せられた者、全ての真実を皆に知らしめることができたわ‥‥‥』
ミラ『もしソニアの力を使っていたなら、
すぐに誰が黒幕かわかったじゃないか。』
レティア『私もそう思ってね、伝えたの。
天界の首長にね。
だけど、会議をして決めると言われて‥‥‥
結局使わなかった。』
ミラ『なんだそれは。怪しいな。
勝手に使っちまえば良かったな。』
レティア『今となってはそう思うわ‥‥‥。』
トーア『ミラちゃん。天界は秩序だらけ。
掟が山ほどあるのさ。
もしも背いたら大変なことになる。
だから勝手に、能力を使えば
罰せられてたかもしれない。
そのくらい厳しい世界なのさ。』
ミラ『そうか‥‥‥。俺は絶対住めないな。』
レティアはフッ‥‥と静かに笑った。
レティア『‥‥私の子供達は、人間界で殺された。
息子は、心臓を抉り取られていた。
娘は全身を切り裂かれて‥‥‥』
トーア『‥!!!!!!
レティアちゃん‥‥それは‥‥‥
何者かに能力を奪われている可能性が高い。』
レティア『やっぱり‥‥‥っ!!!!!!』
レティアは怒りに満ちた顔をする。
大きく深呼吸をして落ち着かせる。
ミラ『‥‥‥確かソニアとサンダーは、
人間にも姿が見えたのだろう?
天使にも姿が見えていた。
そして父親は魔界に住む妖。
犯人が人間なのか、天使なのか、悪魔や妖なのか
絞るところから始めなきゃだよな‥‥‥。
確か、凋落の街でもこんな会話をしたな。』
レティア『ええ‥‥‥。』
ミラ『‥‥‥‥‥天使の仕業か?
だってソニアの力を使えば、
黒幕も、失踪した奴らも探せたのに
首長は会議で決めると言ったっきり、使わなかったのだろう?そして双子は殺された。
天界にいる誰かが犯人なんじゃないのか?!』
レティア『確かに‥‥‥!!!
あ‥‥だけど、もしも天使が誰かを殺せば、
堕天使になるはず。
真っ白な翼が灰色に‥‥‥。
実の息子、ラナンに手をかけたミン様も
純白の翼が灰色になったわ。
でも、ソニアとサンダーが殺された後‥‥
誰の翼も、純白なままだった。』
ミラ『そうか‥‥‥ますますわからないな。』
レティア『ねえトーア、魔力や能力を奪う方法は?』
トーア『‥‥かなり残虐なんだ。
今のレティアちゃんには言えない。
発狂してしまう。
でも、殺され方的に、能力や魔力を奪われているはず。
奪った奴らが、【変幻自在の技】や【真実を暴く力】を身につけた可能性が高い。』
レティア『どうすれば‥‥それを取り戻せるの‥‥!!』
レティアは今にも掴みかかりそうな勢いで
トーアに詰め寄った。
トーアは普段とは違うレティアの姿に
汗を滲ませ 声を震わせながら言った。
トーア『魔界に通ずる森の‥‥‥』
トーアがそう言いかけた途端、
ミラが何者かの気配を察知する。
ミラ『ん!!!!』
ミラは辺りを見渡して短剣を握った。
レティア『ミラ?』
ミラ『誰か来る。』
トーア『よく気づいたね。ミラちゃん。
‥‥‥ソフィアたちが来たよ。
ヘレボルスの希望の星
反乱軍たちが、最後の戦の計画を立てにね。』
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だんだんと日が沈んでくる。
焼け爛れた森は、より一層薄暗くなる。
ザッ ザッ ザッ‥‥‥
複数人いるであろう
足音が響き渡る。
だんだんと近づいてくる それは
レティアに緊張感を与えた。
『誰だお前たちは!!!!!』
男の怒声が聞こえる。
レティアとミラを見た先頭の男が、
2人をディセントラの手下だと思ったのだろう。
声を合図に、後ろにいた反乱軍たちが
一斉に剣を握った。
鋭い剣の音が
静寂な森に鳴り渡る。
ミラも短剣を握ったまま警戒している。
レティア『ミラ‥‥‥彼らは‥‥‥』
ミラ『ああ。トーアのいう通り、ソフィアの軍なんだろう。
ただ、俺らが毒婦の手下ではないとわかってもらえるまでは‥‥‥‥
攻撃が飛んでくるだろうな。』
そう言って、鎧からもう一本短剣を取り出した。
レティアも鉈を握る!
『お前ら!!ディセントラの手下だな!?
見ない顔だ!!!
皆の者!!!!!!!
あの2人を倒すぞ!!!!』
男の合図で、反乱軍たちが
ミラとレティアに向かってきた。
『待ちなさい!!!!!』
ミラ『!』
レティア『!』
透き通るような女の声が響く。
『ソフィア様‥‥!!!』
反乱軍たちは全員
その場で動きを止めた。
コツ、コツ、と
靴音が近づく。
同時に、ザッ、ザッ、と
何かの足音も聞こえる。
ソフィアとマルメロが
先頭に躍り出たのだった。
ソフィア『彼らは味方よ。
‥‥‥剣をしまいなさい。』
それを聞いて反乱軍たちは
剣をしまった。
レティア『マルメロ‥‥‥!』
レティアが狼の名を呼ぶと
マルメロはレティアに近づき
ぺろぺろと顔を舐め始めた。
『なっ!!!!マルメロが!!!
懐いている‥‥だと!?』
『どういうことだ!?!?!?』
『彼らは何者なんだ‥‥‥!?』
ソフィアはミラとレティアの前に立つと
平伏した。
『ソフィア様!!何を!!!!』
ソフィア『‥‥‥一緒に、
ヘレボルスを助けてちょうだい。』
ソフィアは搾り出すような声で
レティアとミラに求めた。
トーアの口から、『魔界に通ずる森‥』という言葉が出てきました。
レティアが天使だった頃、翳丸とミンが謎の取引をして、【魔界に通ずる森】の中を走っていました。
【あの扉】の中にある【あれ】を求めて‥‥‥。
さて『あの扉』の中にある『あれ』とは一体‥‥‥?




