魔法使いの女と狼マルメロとの戦い
2人は酒場を出て 会話をした。
ミラ『なんとなくディセントラが怪しいな。
妙薬を使って、国王を操っているのかな。』
レティア『私もそう思ったわ。
だけど、マグナフォボスという国で
妙薬の悪用は許されるの?』
ミラ『俺も詳しくは知らないんだ。
俺の薬は 魔法なのかってくらい俺の体に合ってるんだが‥
確かに一歩間違えれば悪用だってできるよな。
惚れ薬とかも作れるらしいからな。』
レティア『惚れ薬‥!?』
ミラ『そうそう。
だけど、もし仮にそうだとして
庶民が国王に薬を飲ませるなんて
できるはずないけどな。普通は。
それに俺の薬、妙薬の中ではかなり安い方らしいけど
凋落の街の家賃の二倍だぞ。』
レティア『ええっ!?
それはどれくらい分?』
ミラ『1ヶ月分でだよ。』
レティア『た、高っ‥!?』
ミラ『もしも惚れ薬なんか作ってもらったら、
どんな桁の金額が請求されるんだろうな。』
レティア『本当にね‥‥
ディセントラは何者なのかしら‥』
ミラ『‥‥ディセントラの息子、ラヴィエが
異母妹ソフィアの好きな森を焼いたとか言っていたな。
それを聞くとロクでもない親子なのは確かだろう。』
レティア『でもなんのために焼くの‥
たとえ100歩譲って、元王妃カトレア様やその娘ソフィア王女が邪魔だったとしても‥
わざわざヘレボルスの森を焼く‥?』
ミラ『‥‥。
出自がはっきりしないなら
ヘレボルスの敵国のスパイかもしれないな。』
レティア『スパイ‥‥!』
ミラ『まあ俺たちはとりあえず
レティアが天使の頃のなんらかの手がかりを探しているだけだから。深入りはいいさ。
明日の朝、ヘレボルスの森を目指そう。
レティアなら、その、精霊の住むとか言う森の入り口がわかるのだろう?』
レティア『ええ。見ればきっとわかるわ。
でも焼かれて姿も変わってしまったかしら‥』
ミラ『‥時間はある。探してみよう。
‥‥明日、もしも天使が見えたら教えてくれ。』
レティア『わかったわ。』
2人は宿に入った。
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ー次の日ー
【ヘレボルス 精霊の国のある森】
レティア『なっ‥!!!』
レティアは絶句した。
かつての美しい緑と木々が
完全に燃やされており、焼け野原になっていたのだ。
ミラ『‥酷い有様だな‥』
2人は森の中に入る。
レティア『前は、本当に‥オーラが神聖だったのに‥』
ミラ『今のオーラはどうなんだ?』
レティア『‥よくわからないの。
私が、天使ではなくなったからなのか
あるいは‥
この森が変わってしまったからなのか‥』
ミラ『そうか‥‥。
天使は見えるか?』
レティアは首を横に振った。
2人は森の中を歩く。
レティア『前は少し歩けば
たくさんの動物たちがいたのだけれど‥
‥‥焼かれてしまったというの?』
レティアは暗い声で言う。
ミラ『!』
ミラは何かを感じ取った。
何者かの気配だ。
ミラは少しだけ前を歩くレティアの腕を掴んだ。
レティアは振り向く。
レティア『?!
ミラ?どうした‥』
ミラは人差し指を口の前に当てた。
ミラ『誰かいる‥』
ミラは小声で話す。
レティア『!』
(嘘でしょう?何も感じない‥
何も気づかなかった。
天使の頃‥
ミン様の微かな殺気は気づいたのに‥
ミラ‥あなた‥なんてすごい女の子なの‥)
すると背後から
魔力の攻撃の玉が飛んでくる。
先に気づいたのはミラだ。
ミラ『!
レティア!!!』
レティア『!』
ミラとレティアは左右に分かれて交わし、
攻撃を逃れた。
魔力の玉が、大きな岩に当たった。
ドン!という音が森に響いた。
ミラは 葉っぱが一枚もない
焼けこげた木の上に登り、
辺りを見渡した。
ミラ『女‥‥女がいる。』
レティア『!
よく見えるわね!』
ミラ『あの女が俺らに攻撃したみたいだな。
他の人間はいないから。
魔法使いみたいな水色の帽子被って
杖持ってる女‥
格好は 薄緑色のローブを着ている。
年齢は俺らくらい。緑色のウェーブかかった髪。』
ミラはそう言うと素早く木から飛び降りて駆け出した。
レティア『速い!!!!』
レティアもミラの後を追いかける。
『離して!!』
透き通るような 女の声が聞こえた。
声の方を見ると
ミラが既に女を羽交い締めにして
短剣を当てがっていた。
ミラ『俺らに攻撃したのはお前だな?』
ミラは凄む。
普段は穏やかで優しいのに
ミラの美しい切れ長の目で睨まれると
かなりの迫力があるのだ。
『そうよ。
この神聖な森に 足を踏み入れた人間
誰1人 生きて帰さないわ。』
女は、ミラの睨みなど
何も効いていないかのように言い放つ。
レティア『!
あなたは、精霊なの?』
『何。
この森のことを知っているの。
見ない顔だけれど‥。』
レティア『‥少し前に
この森にはたくさんの動物がいたはずよ‥
澄んだ瞳の動物たちが‥』
女は、驚く顔をした。
『‥‥ますます、帰すわけにはいかないわ』
女はレティアに向かって、杖を振り上げる。
ビリビリビリ、と音を立てながら
魔力の玉が 杖の先で光っている。
雷の攻撃のようだ。
雷の魔力の玉が、
レティア目掛けて恐ろしいスピードで飛んできた。
レティア『!!!!!!』
レティアは はぁ、はぁと胸を抑えた。
ラナンが ミンに
魔力の攻撃をされた時のフラッシュバックで
恐怖を思い出す。
レティアは立ちすくんでいた。
ミラ『レティア!危ない!!』
ミラはレティアを押す。
レティア『はっ!!』
レティアが正気に戻った時には、
ミラに吹っ飛ばされていた。
レティア『ミラッ!!!!』
レティアは叫ぶようにミラの名を呼んだ。
ミラは幸い、大きな怪我はないようで
左腕を押さえて立っていた。
レティア『大丈夫!?ミラ‥!!』
女『恋人?
私が1番嫌いな女ね‥あなた。』
女はそう言って、レティアを指差した。
女『男に守ってもらわないと
何にもできない 足手纏いの女‥
大嫌いなのよ。』
女はそう言って、レティアを軽蔑するように睨んだ。
ミラ『レティア。聞かなくていい。挑発だ。』
レティア『いいえ。事実よ。ミラ‥
あなたまで失うところだった‥。
もう2度と、誰も失いたくないのに。』
レティアはそう言うと、
手に魔力を込める。
青い光が、レティアの左手の上に集まる。
女『何!?
なぜ魔力を使える人間が!?』
レティアは ミラの負傷した腕に
魔力の玉をこめると
ミラの腕の傷は みるみるうちに塞がった。
ミラ『さすがだな、レティア。』
レティアは笑顔で頷くと
ミラの前に立ちはだかり、女と対峙した。
レティア『許さないわ‥』
女『あなたの力不足のせいよ。』
レティアは左手を女に翳し
ありったけの魔力を込める。
真っ赤な魔力の玉を
女に向かって解き放った!
女『な!?
なぜ攻撃魔法まで使えると言うの!?!?
しかも‥ヘレボルスの魔法ではない!!!』
半分、レティアは怒りで我を忘れていた。
レティアの魔力の玉は、執拗に女を追いかける。
女は避けずに 持っていた杖で止めていた。
女はかなり後方に押され、
額に汗を滲ませている。
女『くっ‥!
※¿&〻⌘‥』
女が何かを唱えると、
レティアの魔力の玉は消滅した。
女『はぁ‥はぁ‥はぁ‥
この魔法‥なんなの‥
威力がすごいわ‥
消滅させるのに、私の魔力を全て使ってしまった‥‥
あなたは‥一体‥』
レティアは女に近づく。
レティア『まだ終わりじゃないわよね。』
レティアは今度は鉈を握った。
女『!!!
っ‥!!!!』
女は悔しそうな顔をした。
女『マルメロ!!!!!』
ミラ『!』
女がそう叫ぶと 獣の匂いが漂う。
何かの足音と 凄まじい風を感じる。
レティア『!?』
ミラ『狼!?』
2人の前に、牙を剥き出しにした狼が現れたのだった。
女『マルメロ‥
この2人を‥片付けなさい‥!!!』
狼はレティアとミラを睨んだ。
女『言っとくけど彼女に
毒も 剣も 魔法も効かないわよ。
あなたの彼氏が どんなに素早くても
マルメロの速さは‥サバンナのチーターだって敵わない。
‥‥絶体絶命ね。
ヘレボルスの神聖なる森を侵す者たちよ。
‥今ここで、死になさい。』
女はそう言うと、狼に合図をした!
狼が全力疾走で向かってきた!
ミラ『レティア!俺でもあの速さでは立ち向かえない!
とにかく逃げるぞ!!!』
レティアは返事をして、
狼に背を向けた。
ミラ『!!!!!
おい!レティア!!!』
女『あーあ‥
‥‥戦闘態勢の動物に
背を向けてはいけないと知らないの?
‥本当に愚かな女ね!!
これじゃあ‥賢い彼氏が可哀想‥!
まあいいわ。
マルメロ。あの女から仕留めなさい!』
狼がレティアに襲い掛かろうとした!




