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幸せを産む天使  作者: 墨華


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6/10

存在意義

あっという間に3日が過ぎた。



レティアのところにオルレアと男天使アウロがやってくる。


彼は銀色の髪に深く濃い青色をしていた

背はオルレアより少し低いが、身長は170センチはありそうだ。

オルレアが高身長なのだ。


この前はオルレアに対して

ぎこちない態度をしてしまったが

よく見ると彼女は高身長で細く、

スタイルがかなり良かった。



オルレア『レティア。彼がアウロよ。

これからあなたの師匠になるわ。

彼から色々教わってね。


アウロ。あなたはレティアの先輩。

そして私の友‥シランの娘よ。

しっかり守ってね。』



アウロはオルレアに跪いた。



アウロ『御意』



レティアはその姿を見て再認識する。

オルレアは熾天使なのだ。

最も高貴な熾天使の1人なのだ。


本来であれば、自分が関われるような方じゃない。

母シランが熾天使だから、天界で最も位の低い、1番醜い自分に

話しかけてくれるのだと。  


存在の違いに、胸がキュッと締め付けられた。



オルレア『じゃあ私は行くわね。』



オルレアは笑顔でレティアに手を振って背を向けた。

レティアはその背中に向かって深くお辞儀をした。



アウロ『レティア。今日からよろしく頼む。

ラナンも一緒だったな。


そうだ。礼儀作法も一緒に学ばなければならない。

あまりここでは教わってこなかっただろう。』



彼の言う通り

ここでは必要最低限の知識しか教わってこなかった。


アウロがオルレアに跪いたように

格上の天使に対する礼儀作法やルールマナーもあるのだろう。



『アウロ様!レティア!!』



振り向くとラナンがとびきりの笑顔で走ってきた。



レティア『ラナン‥!』



レティアも自然と笑みをこぼす。



アウロ『ラナン。来たようだな。


今日は地上に降りる前に

俺たちがどんなことをするのか、

役割は何なのか、

2人が担う地域の説明をしよう。』




そう言うとアウロは2人を個室に案内する。

教室のように机があり、レティアとラナンはそれぞれ着席した。




アウロ『俺ら天使はそれぞれ階級に合わせて役割があるが

2人には人間界を守ってもらう。

天界に刺客がやってきた時は、天界ここも守ってもらうが‥。



人間界でたとえば

事故や事件に巻き込まれそうな人々に危険を知らせたり


あるいは怪物、魔物、異形などを倒したり


病気の人たちを少しでも癒したり


まあそんなところだ。』



レティア『‥‥ラナンは人間にも姿が見えると聞きました。

私は姿が見えないのに、どうやって人間たちに

危険を知らせるのですか‥?』



アウロ『実際なかなか届かないのが現実だ‥。


霊感のある人ならいいが‥

そもそも天使の存在を信じてない人々もたくさんいる。



そこで危険な時は物をずらしてみたり

人間の服を引っ張ったりして

車や自然災害から助けてあげるのさ。



ただし。

微力ながら魔力を込めないと

人間には触れられない。

簡単に触れて助けられたら

人間界を守る天使たちも苦労しないからな‥。』



レティア『魔力‥?』



アウロ『ああ。魔力。

特別な力を使うときに必要なものだ。


たとえば剣術は、

剣さばきや体力が必要だが

魔力はいらない。

自分の普通の肉体だけで完結するからな。


しかし、普通に生きていれば、

できない事もあるだろう。

例えば火の玉を出すとか、負傷した者を魔法で回復させるとか。

そういう超能力のような類の技を使うときに

魔力がいるのだ。


それは、訓練しないと身につかない。』




レティアは頭がパンクしそうになりながらも

一生懸命に話を聞いた。


そんな姿にラナンは吹き出した。



ラナン『難しいよな。でもそのうち感覚でわかってくるさ。』



レティア『ラナンは魔力を持っているの?』



ラナン『ああ。アウロ様に特訓されたからな。』



ラナンは手に小さな緑色の光の玉を作り出した。



レティア『!!


それは‥!!』



ラナン『魔力を使った玉さ。


これは負傷した者を回復させられるんだ。』




レティア『!!


すごい‥‥』



アウロ『魔力の量は訓練しても限界がある。

ラナンは熾天使ミン様の息子だ。

かなり膨大な魔力を手にできる。

少しの訓練でラナンはすでに、

普通の二倍の魔力を持った。



レティアも熾天使シラン様の娘。

それも最も高貴なお方だ。

きっと膨大な魔力を手にできるさ。


その力で、人間界を守ってくれ。』



アウロは力強く言う。



レティア『人間界を守って、天界に何かいいことがあるのですか?』



アウロ『人間が目に見えぬ我らに感謝することで

天の神はもっと力をつけることができるのだ。



我らが天の神は、天界と人間界を統括している。


しかし、魔界には魔の神がいる。

そのせいで‥争いが絶えないのだ。

人間界にもよく、魔物、怪物、異形が現れ

人間を害すのだ。

奴らの世界は漆黒。真っ黒なのだ。


‥‥‥レティアやラナンが生まれる前に

天界と魔界の戦争があったくらいだ。』



レティア『戦争が‥‥!?!?』



アウロ『ああ。

大勢の天使たちが死傷した。

それは大きな戦いだったんだ。』




ラナン『どこで戦争が‥?』



アウロ『天界だ。


魔界の奴らが大軍率いて

天界にやってきた。

一体この神聖な空間にあんなに邪悪な奴らが

どうやってやってきたのか

いまだに謎だが‥。』



アウロは怒りに満ちた顔をした。



アウロ『このように、魔界の奴らは碌なことをしない。

人間にも天使たちにも、害をなす奴らばかりだ。


我らが天の神は、全世界の平和を望んでいる。

いつしか魔神を倒し、人間界と天界の安寧を‥



そのためには、人間たちに

天使や天の神の存在を認知してもらい

感謝という念を抱いてほしいのだ。



感謝の念は天の神に届き

さらに神聖な力をつける。



その力は天界にも人間界にも

幸せや平和をもたらすものなのだ。


俺たち天使は、

そのために人間たちを救うのさ。』




レティア『‥そう、ですか‥‥‥。』



レティアは考え込んだ。



(私は熾天使の娘。

だけど父は‥?一体誰なの‥。)



自分の髪に黒色が混じっていることも

皆のような白い翼でなく、乳白色で灰色であることも

改めておかしいと思ったのだ。


ラナンの翼は、とても綺麗だ。

白い色をしている。

熾天使と人間の子供なのに。



(私は‥?

なぜ、こんなにも醜い色と形なの。

私がもし人間との子供だったなら

ラナンのように美しい翼を持っていたはずだわ。


なぜ、今まで父の存在を

考えすらしなかったのかしら‥。


私は一体誰の子なの。)



嫌な予感が脳裏をよぎる。

魔界の話を聞いてから、自分の心臓の鼓動が

ドクンドクンと力強く脈打つのを感じた。

まるで音さえ聞こえてくるかのように。




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