番外編 ミラの過去② 『厳しく残酷な環境』
結構 残酷な描写あります。
苦手な方注意です。
ミラは生きるためなら何でもした。
お腹が空けばゴミを漁ったし
隙のある大人が買い物袋をぶら下げて
店から出てくれば掠め取って食べた。
いつしか盗みも 音ひとつ立てずにできた。
自分の五感だけが頼りだった。
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毎晩 屋根のない
冷たくて固い地面の上で寝転がり
星を見続けた。
雨の日は容赦なく
ミラの小さな体を濡らし続けた。
ぬかるむ土がミラの体にベッタリとまとわりついた。
暖かい毛布の一枚もなく、独り心細く震える夜もあったが
風邪一つ引かなくなった。
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お腹が空きすぎて
そこらへんの草を食べて死にかけたこともあった。
毒草だったのだ。
しかし、厳しい環境に耐え抜いた体のおかげで
すぐに回復した。
そこから 草のにおいや手の荒れ
口に入れたときの舌のしびれで
どれが薬になり、どれが毒になるものなのか
自らの体で 知識を得たのだった。
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幾日 何も口にしなくても
機敏に動けるようになった。
飢えはとうの昔に慣れた
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風の音で誰かが来たことがすぐわかった。
風のにおいで天気の移ろいがわかった。
足音で大体の人物像が把握できた。
寝ていても 微かな風の動きと
誰かの気配ですぐに起きて立ち上がった。
誰かが自分を睨めば
それが殺気だと気づいた。
相手を数秒見つめれば
その人の初動が手に取るように読めた。
木の上に立てば、裸眼で数十メートル先の人物まで見えた。
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ミラが幼い頃住んでいた街は
凋落の街よりもっと貧しく荒んでいた。
少し歩けば 死体が転がっていた。
飢えか病気か殺されたかだ。
毎日 必ず何度か
銃声が聞こえた。
貧しくて何も持っていなかったが
厳しい環境のおかげで
五感を最大限に研ぎ澄ませるようになった。
毎日 生き延びるだけで修行になったのだ。
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街では 夜な夜な女たちが立っていた。
男がやってくると
女の手を引いてどこかに去っていった。
何をしているのか知るまで
そう時間はかからなかった。
顔を酷く腫らしている女
全身にアザやムチの跡が痛々しい女
ボロボロの身でお腹の膨らんだ女が
死んだ顔をして暮らしているのも見た。
その姿を見たミラは絶対に
情を売ることだけはしないと心に決めた。
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孤児の幼い女は都合が良かった。
弄ぼうと 攫おうと
誰も気に留めることもない。
気に食わなければ 殺したってバレなかった
ミラはそれを、スラム街で毎日のように見ていた。
幸い、厳しい環境で培われた身体能力と五感が
ミラ自身を守った。
けれど同年代の 貧しいか弱い女の子たちが
毎回のようにどこかに攫われて行った。
その後二度と会うことはなかった。
ミラは気づいたのだ。
いつも泣いているのは女だと。
いつも 品定めするのも 買うのも男だった。
母を殺したのも‥男だったと‥‥。




