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【幸せを産む天使】真の悪は、人間か悪魔か、それとも天使かー…。熾天使と悪魔の娘レティアの復讐が始まる  作者: 墨華


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番外編 ミラの過去② 『厳しく残酷な環境』

結構 残酷な描写あります。

苦手な方注意です。

ミラは生きるためなら何でもした。

お腹が空けばゴミを漁ったし

隙のある大人が買い物袋をぶら下げて

店から出てくれば掠め取って食べた。


いつしか盗みも 音ひとつ立てずにできた。

自分の五感だけが頼りだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


毎晩 屋根のない 

冷たくて固い地面の上で寝転がり

星を見続けた。


雨の日は容赦なく 

ミラの小さな体を濡らし続けた。

ぬかるむ土がミラの体にベッタリとまとわりついた。

暖かい毛布の一枚もなく、独り心細く震える夜もあったが

風邪一つ引かなくなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


お腹が空きすぎて

そこらへんの草を食べて死にかけたこともあった。

毒草だったのだ。

しかし、厳しい環境に耐え抜いた体のおかげで

すぐに回復した。


そこから 草のにおいや手の荒れ

口に入れたときの舌のしびれで

どれが薬になり、どれが毒になるものなのか

自らの体で 知識を得たのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


幾日 何も口にしなくても

機敏に動けるようになった。

飢えはとうの昔に慣れた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


風の音で誰かが来たことがすぐわかった。

風のにおいで天気の移ろいがわかった。

足音で大体の人物像が把握できた。


寝ていても 微かな風の動きと

誰かの気配ですぐに起きて立ち上がった。



誰かが自分を睨めば

それが殺気だと気づいた。


相手を数秒見つめれば

その人の初動が手に取るように読めた。


木の上に立てば、裸眼で数十メートル先の人物まで見えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ミラが幼い頃住んでいた街は

凋落の街よりもっと貧しく荒んでいた。



少し歩けば 死体が転がっていた。

飢えか病気か殺されたかだ。


毎日 必ず何度か

銃声が聞こえた。



貧しくて何も持っていなかったが

厳しい環境のおかげで

五感を最大限に研ぎ澄ませるようになった。

毎日 生き延びるだけで修行になったのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


街では 夜な夜な女たちが立っていた。

男がやってくると 

女の手を引いてどこかに去っていった。

何をしているのか知るまで

そう時間はかからなかった。


顔を酷く腫らしている女

全身にアザやムチの跡が痛々しい女

ボロボロの身でお腹の膨らんだ女が

死んだ顔をして暮らしているのも見た。


その姿を見たミラは絶対に

情を売ることだけはしないと心に決めた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


孤児の幼い女は都合が良かった。

弄ぼうと 攫おうと

誰も気に留めることもない。

気に食わなければ 殺したってバレなかった

ミラはそれを、スラム街で毎日のように見ていた。


幸い、厳しい環境で培われた身体能力と五感が 

ミラ自身を守った。

けれど同年代の 貧しいか弱い女の子たちが

毎回のようにどこかに攫われて行った。

その後二度と会うことはなかった。


ミラは気づいたのだ。

いつも泣いているのは女だと。

いつも 品定めするのも 買うのも男だった。

母を殺したのも‥男だったと‥‥。

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