過去を打ち明ける。
ラガー、ゴーキー、布道は警察が帰って行った後すぐに目を覚ました。
3日後のティルケ国訪問のために、
柚子、桃、いちごは買い物に行くと言って出かけて行った。
帰ってくるのは前日だそうだ。
ゴーキー、布道、すだち、カボス、ライムも、実家に帰るそうだ。
アケミママも仕事だと言って出かけて行った。
残ったのはミラ、ラガー、レティアだった。
ー夜ー
ラガー『一気にみんないなくなっちまったな!
酒でも飲もうぜ!!』
ミラ『そうだな。
レティア、飲めるか?』
レティア『私、お酒飲んだことないの。
美味しいの?』
ラガー『飲んだことなかったのか!!
美味しいぞ!!テンションも上がって楽しくなるぜ!
な!ミラ。』
ミラ『ああ。』
ラガー『てかさ、レティアは何歳なんだ?』
レティア『わからないわ‥天界では、小学生くらいと言われたけど‥』
ラガー『若っ!?
見た目はミラと同じくらいに見えるけどな。』
レティア『ミラは何歳?』
ミラ『17歳だよ。』
ラガー『俺は15歳!』
レティア『そっか‥。
そういえば、天界と人間界では時間軸が違うみたい。
だから私、きっと人間界では17歳くらいなのね。』
レティアは笑った。
ラガー『んじゃ、飲もうぜ!!』
ラガーはミラとレティアのコップに並々と酒を注いだ。
ラガー『カンパーイ!』
3人は乾杯した後
コップに口つけた。
レティア『不思議な味ね。
2人とも、若いのに飲んでいいの?
確か大人が飲むものじゃ‥』
ラガー『細かいこと気にすんなって!!
ここ、治安悪いからみんな子供ん頃から飲んでるって!!』
レティアは笑った。
飲んでいるうちに気分が高揚してきた。
天界では感じたことのない自由だった。
レティア『楽しいわ。
仲間がいるって、こんなにも素敵なことなのね。』
レティアは幸せそうに言った。
それを聞いた2人は笑った。
ミラ『ペース早いと酔うぞ。
ゆっくり飲め。』
ミラは優しく語りかける。
レティア『ありがとう‥』
ラガー『よかった。
レティアが目覚めたばかりの時
暗い顔してたから。
今、楽しそうな顔してくれててさ
俺も嬉しいぜ。』
ラガーはニカッと笑った。
この大輪の笑顔は、なぜか懐かしく
見覚えがあるような気がした。
レティア『ちょっと暗い話になるの。
だけど聞いてくれる‥?』
ラガー『もちろんだ。』
ミラも優しく頷いた。
レティア『天使ってね、位があるの。
熾天使が1番位が高い。
私の母は、天界の中で最も高貴な熾天使だった。』
ミラ『そうなのか。
レティアのお母さんはすごい天使だったんだな。』
レティア『‥でも私の母は‥悪魔と結ばれて
私は醜い天使として生まれついた。』
ラガーとミラは驚いた顔をした。
レティア『天界では私の翼は異形で‥醜くて
大人にも同年代の子供達にも
毎日 呪詛の言葉を浴びせられてきたの。
醜い、忌まわしい、汚らわしい、恐ろしい‥
そりゃそうよね。天界が忌み嫌う悪魔の娘よ。
それも、最も高貴な熾天使が産んだんだもの。』
レティアはグイッとコップに入ったお酒を飲んだ。
ミラ『レティア。お前は醜くなんかないからな。』
ラガー『そうだそうだ!そいつらがおかしいんだ!!』
ありがとう、とレティアはつぶやいた。
レティア『それでもね、私にも唯一の味方ができたの。
私の師匠様と、ラナンという男の子だった。
2人はいつも私を助けてくれて
味方でいてくれた。
だけど‥ラナンは実の母親に殺された。
私を庇って。
師匠様も、ある日突然失踪したわ。』
ラガー『な‥!!そんな辛いことが‥!?』
ミラは黙って聞いていた。
レティア『また罵られたわ。
お前は疫病神だってね。
ラナンはいつも笑顔で、みんなの人気者だったの。
お前が消えればよかったのにって責められた。
私の味方は、みんないなくなってしまった。』
レティアは寂しく笑う。
ラガー『天使たちって
いい存在のイメージあったけど
そんないじめがあるんだな。』
レティア『秩序だらけよ。
‥‥ねえ、人間界で
幸せを産む天使って聞いたことある?』
ミラ『!
ある。幸せを産む天使って、伝説の天使と呼ばれている奴だろう?
伝説の天使が産んだ子供は すごい力を持っていて、人間界を幸せにするとかいうだった話気がする。』
ラガー『あーそれ俺も聞いたことある!!
おとぎ話みたいな言い伝えだよな!?本当にいるのか!?』
レティア『実は、私はその天使に選ばれたの。』
ミラ『何!?!?』
ラガー『ガチで存在したのか!?』
レティア『ええ‥誰とも交わることもないまま、天界から勝手に決められた男の子供を身籠り、産む天使‥
私も 産んだのよ。
双子の息子と娘を授かってね。』
ミラ『レティア。お前は天界では小学生くらいだったんだろう?』
レティア『ええ‥。』
ミラ『人間の世界では まるで綺麗な童話のような話だが
実際にあったというのなら、恐ろしいことだな。
知らない男の子供を、まだ小学生くらいの女が産むなんて。』
レティア『本当にね‥』
レティアは眉を顰めて笑った。
レティア『ソニアとサンダーという名前だったのだけど‥。
ある日、人間界で2人は殺された。
サンダーの心臓は抉り取られ
ソニアは全身を切り裂かれていた‥』
レティアは静かに涙をボロボロと流した。
ラガーは酒の入ったコップを勢いよくテーブルの上に叩きつけた。
酒がこぼれた。
ラガー『んだと!?そんな残酷な話があるか!!』
レティア『その後すぐに、私の母が自殺してね。』
ラガー『母ちゃんが‥』
レティアはこくりと頷く。
レティア『‥‥。
私は全てを恨んだの。
悪魔と結ばれ自死した身勝手な母のことも
ラナンを殺した彼の母親のことも
師匠を誘拐した誰かも
私を毎日いじめた奴らも
腫れ物のように扱った大人たちも
自分の運命も醜い姿も
私の息子と娘を殺した奴も‥
そしたら翼が真っ黒になったわ。
きっと悪魔の血のせいね。
そのまま天界から飛び降りた。
もう、二度とこの世に生を受けませんようにって願ったの。』
2人は言葉を失っていた。
レティア『それで落ちてきたのがここで‥
あなたたちに助けられて‥』
しばらく沈黙が続いた。
ラガー『辛かったな。レティア。
そんな過去があれば死にたくなって当然だ!!
むかつく奴らだぜ!!!
でもさ 俺たち縁があったんだ。
だって普通 空高くから落ちたら死ぬのにさ
お前は生き残った!!
それってお前、まだ死ぬのは早いってことだよ!!』
レティアはそれを聞いて目頭が熱くなる。
ミラ『‥犯人はわからないのか』
レティア『全くわからないわ。
わかっているのは、ラナンを殺したのはラナンの母親ということだけ‥』
ミラ『そうか‥。
‥‥なにか犯人の手がかりはないのか?』
レティア『全く‥』
ラガー『てかさ、天使って
人間を守ってるんだろ?
レティアも守ってたのか?』
レティア『ええ。よく人間界に降りていたわ。』
ミラ『どこの地域に降りていたんだ?』
レティア『ヘレボルスよ。』
ラガー『知ってる!!ヘレボルス!!
近くはないが行けなくはないぞ!!』
ミラ『ああ!!本当に!
何か手掛かりがあるかもしれないな。』
レティア『本当?じゃあ‥ティルケ国に行った後
向かってみようかしら。』
レティアはまた一つ目的ができた。
何故かそれが少し嬉しかった。
ミラ『俺たちにできることがあればなんでも言ってくれ。』
ラガー『そうだ!俺もミラも身寄りいないからさ!!』
レティア『!!!
そうなの?』
ミラ『ああ。俺たち以外は実家があるけど
俺たちは実家もないから。
レティア、今まで心細かっただろう。
人間界でお前を醜いと思うヤツはいない。
俺たちはお前の味方だ。』
ラガーはそれを聞いてレティアに頷いた。
レティアは再びボロボロと涙を流して力強く頷いた。
レティア『ありがとう‥ミラ、ラガー‥』
3人は深夜まで飲み明かし
酔い潰れたのだった。




