生きることを決意する
ラガー、ミラ、レティアはしばらく話し込んでいた。
ラガー『レティア。なんで天界から落ちたんだ?
翼があったんだろ?
みんな心配してるんじゃないのか。』
レティアは俯いた。
レティア『私‥死ぬつもりで飛び降りて‥』
ミラとラガーは顔を見合わせた。
ミラ『そうか‥辛いことを思い出させたな。』
ラガー『ごめんな。
でもさレティア。せっかく生き残ったんだ!
なんかしたいこととかないのか?
これから、生きていくだろ?もちろん。』
レティア『!』
レティアは生き残るなんて想像していなかったのだ。
死ぬつもりで飛び降りたのに
生きついた先は人間界で、これからどうするかなんて
考えてもいなかった。
レティアはなにも言えずに黙っていた。
すると部屋の外から、店のドアが思いっきり開いた音がした。
『どうした!布道!!』
他の盗賊たちの声が聞こえる。
ミラ『!
ラガー、いくぞ。
レティア、休んでいてくれ。
ちょっと出てくる。』
ミラはそういうと、ラガーと共に部屋を出て行ってしまった。
盗賊団の皆も外へ出て行ったようで
バタバタという音が続いた後、まるで誰もいないかのような静けさが当たりを包んだ。
レティアはベッドから降りて、部屋を出る。
ママが煙草を吹かして座って何かを読んでいた。
ママ『よかった。目覚めて。』
レティア『助けてくださってありがとうございます‥‥』
ママ『私は何もしてないよ。』
ママは一瞬視線を落としたあと
レティアに話しかけた。
ママ『座りな。お腹すいただろう。』
ママはそういうと、朝ごはんを作って振舞ってくれたのだった。
レティア『あの‥皆さんは、大丈夫でしょうか‥?
今すごく急いで出て行った音が聞こえたのですが‥』
ママ『心配いらないよ。
‥‥ミラがいるから』
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レティアは朝食をいただいた。
天界の食べ物とはだいぶ違っていて
人間界の方がとてもおいしかった。
ママ『あいつらから聞いたよ。
レティアって言うんだって。』
レティア『はい‥』
ママ『聞かない名前だ。
それでどこに住んでたんだっけ?』
レティア『‥‥あの‥信じてもらえないかもしれませんが、
天界に住んでいて‥』
ママ『レティアは人間じゃないのかい』
レティア『天使だったのです‥今翼はなくしてしまいましたが‥』
ママは何も言わなかった。
ママ『天界ってさ、空高くにあるんだろう?
どうしてここに落ちたんだい。翼あったのにさ。』
レティア『‥‥死ぬつもりで飛び降りて‥』
ママ『ふぅん。』
ママは遠くを見つめた。
レティア『あの‥‥私の話を
疑わないんですか?』
ママ『‥‥。そりゃ、人間だから。
そんな世界ほんとにあんのかなとは思うけど。
疑ってるわけではないよ。』
レティア『ありがとうございます‥‥』
ママ『辛いことが、あったんだろう。』
レティアは悲痛な顔をした。
ソニア、サンダー、ラナン、アウロ‥
毎日浴びせられる罵詈雑言‥
醜い自分の姿。
今でも苦しい。
消えてしまいたくなるほどに。
ママはそんなレティアの顔を見た。
ママ『‥‥無理に聞かないよ。
アンタが何者だろうと私は追い出したりしない。』
レティアは顔をあげた。
ママ『アンタの目‥見りゃわかるから。
傷ついてきた奴の目だ。
私は、10代の頃から夜の店で働いてきたからさ。
色んな人間を見てきた。』
レティア『夜の店‥?』
ママはフッと笑った。
ママ『まだ若い。それに天使だったんだろう?知らなくていい。
レティア。自分に自信ないだろう?』
レティアはこくりと頷く。
さすがは色んな人間を見てきたママだ。
ママ『わざと空高くにある天界から落ちるなんてさ
アンタ勇気あるよ。
肝据わってる。
それができるなら生きてるアンタに
できないことなんかない。
生まれ変わった気持ちで、生きてみなよ。
私も、ミラもラガーも盗賊団もいる。
お前を否定する奴はあん中にはいないさ。
生きてさえいれば
アンタが憎いと思う奴にも
復讐できたりするもんさ。』
レティアはそれを聞いて静かに涙を流した。
そうか、生きていればー‥
我が子を殺した犯人を見つけ出せる。
アウロを誘拐した者も
天界の暗躍者たちも
誰が悪なのか
暴いてやる
強くなって‥
ママは何かを決心したレティアの目を見て
フッと笑って言った。
ママ『いい目だ。
腹括った奴の強い目だ。』




