悪魔の血筋
アウロが失踪して1ヶ月が経った。
あの後、レティアも人間界に降りアウロを探した。
天使200名体制で探すもなんの手がかりも見つからなかった。
レティアの師匠だったため、シランの部下たちやロニスも直々に探したものの
羽の一片すら落ちておらず、神隠しにあったように消えてしまったのだった。
レティアは毎日泣いて過ごした。
ラナンの次はアウロが消えてしまった。
自分に優しくしてくれた者たちが皆
いなくなってしまったからだ。
幸せを産む天使に選ばれてから
少しの間だけ止んでいたイジメも再開した。
天の神子を産むまでは、最も高貴な熾天使たちが護衛をつけてくれたり気にかけてくれたが
双子を産んだ後はそれもなかった。
【所詮自分は捨て駒で、天の神子を産み落とせば用済みか】
とレティアは心の中で卑屈に考えたのだった。
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『あんたの師匠が消えたらしいわね!!』
『お前さ、まじで疫病神なんじゃねえの!?』
『ラナンの次はアウロ様が消えて‥
レティアに関わる優しい方達、みんな死んじゃうか消えちゃうじゃない!!』
『私のグループ長、リリア様も
レティアのせいで未だ幽閉の刑よ!!!』
『幸せを産む天使に選ばれたからって調子乗るなよ!!』
『どんなに天の神子を産んだとしても
あんたは悪魔の娘!忌子よ!!』
『醜い姿に変わりはないんだぞ!!!』
『悪魔の娘だから、みんなを不幸にするのねー‥』
レティアは次第に笑顔を消した。
かつての俯く暗いレティアに戻ったのだ。
ラナンやアウロの優しい言葉と笑顔が
恋しくて胸が張り裂けそうになる。
こんな醜い忌子に優しかった
アウロとラナンは永遠に自分の救世主だ。
アウロとラナンが生きていて
自分が代わりに消されていれば
息子と娘は天界で大切にされ
ラナンは大輪の笑顔で皆を明るくし
アウロは慕われる部下に囲まれていただろう。
全てが丸く収まったはずなのにー‥
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ソニアとサンダーはすでに歩くことができた。
生後1ヶ月だった。
それに、天界でたびたび魔力を使ってどこかを破壊し、
修復作業に追われていたのだった。
首長はそれを見て、
『なんたる才能だ‥!
人間界と天界の大きな架け橋となろう!』
そう言って、ソニアとサンダーに期待を寄せるのだった。
息子と娘は主にレティアが育てつつ
レティアが人間界に降り立つ際は
乳母係の天使たちが二人の世話をしてくれた。
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レティアは毎日天界から人間界に降りる。
アウロを探し続けた。
レティア『アウロ様!!アウロ様ー!!』
一日中叫び続けた。
アウロから受けた訓練のおかげで
地上を走り回っても息一つ切れなかった。
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ー夜ー
レティアは疲れ果ててベッドに横になる。
ソニアとサンダーは、この日は乳母係の天使たちに預けて
夜を過ごすことにした。
シランからもらったネックレスを見つめる。
【私の翼の一片で作ったペンダントよ。
‥‥これはね、魔力をほんの少しだけ込めているの。
きっとあなたの力になるわ】
【肌身離さず持っていてね】
レティア『‥こんなものに何の意味があるの‥‥』
レティアはつぶやいた。
出産した日に会いにきてくれた以来
レティアが母シランと会うことはなかった。
ラナンも亡くして、アウロもいない。
好きでもない男の子供を勝手に身籠り
子供達を産めばまた虐げられる毎日で
自分は一体、誰の生贄なのだ!
そうレティアは思った。
レティア『‥‥私は、生贄みたいね。
それか奴隷。』
悪魔と勝手に結ばれた身勝手な母に
だんだんと腸が煮え繰り返る。
自分は、勝手に相手を選ばれたのに。
そして産まされたのに。
こんなにいじめられていることを
母は知る由もないだろう。
【お前のせいで、私は醜く生まれつき
忌子、醜い、恐ろしいという言葉を
毎日浴びせられるのだ】
レティアはドス黒い感情に支配されながら
心の中で叫んだ。
天界の皆にも 憎悪を抱く。
真っ白な存在と言われながら
秩序だらけで 意地悪で
何が天使だと レティアは思った。
妊娠中に自分をハメようとした
最も高貴な熾天使リリアとその部下ルリハにも。
最初は二人に死刑と天界追放を言い渡した首長も
ソニアとサンダーが最も高貴な天の神子だと知ると
簡単に 決めた罪を翻して減刑したことも。
ドクン、ドクンと
怒りのせいで心臓の音が聞こえる。
どんどんと心拍数が上がるレティア。
はぁ、はぁと息まで上がる。
すると異常なほどの喉の渇きが襲う。
レティアは立ち上がり、水を飲もうとすると
ハッと鏡の前で立ち尽くした。
レティアの目は赤と黒のオッドアイになっており、
青緑色の髪の半分が、黒に染まっていたからだ。




