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幸せを産む天使  作者: 墨華


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束の間のしあわせ

双子は、男の子がサンダー、

女の子がソニアという名前をつけられた。

(レティアはソニアのことをソニーと呼ぶこともある。)



レティアは出産後から並外れた回復力を見せ、

次の日には傷口も体力もすっかり元通りだったのだ。



首長『レティアよ。

もう回復したというのかね!?!?』



レティア『はい。もうすっかり。』



首長『これは驚いた!!

しかし、よく頑張ったな。


これから、ソニアとサンダーの世話がメインになるだろうが、

お前ももう十分強くなった。

ロニス抜きで、人間界に行っても良いぞ。』



その横でアウロは寂しそうに笑った。



アウロ『レティア。

何か不安なことがあればいつでも俺を呼んでくれ。』



レティア『はい。

アウロ様‥‥私悲しいです。』



アウロはそれを聞いて笑った。



アウロ『いつでも会えるぞ。

それに、俺はお前の味方だ。』



レティアはそれを聞いて力強く頷いた。



首長『レティアが人間界に降りるときは、ソニアもサンダーも預かるからな。

安心して人間界の見回りをしてきなさい。』



レティア『あの‥子供達を連れて、

人間界に行くのは‥‥』



首長『翳丸に会わせたいのだな?


‥‥短時間ならいいぞ。

但し赤子が二人いるのだ。十分気をつけるように。』



レティア『はい‥!』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


レティアは早速

ソニアとサンダーを抱っこ紐で背負い

人間界へと降りる。


この前助けてくれた翳丸にお礼を言いたかったのだ。


他の天使たちは翳丸のいる場所を特定していたが、レティアは翳丸がどこにいるのか見当もつかなかった。



レティア『どこにいるのかしら‥‥』



レティアは途方もなく歩き始める。

すると魑魅魍魎の群れがやってきた。



レティア『!』



レティアは剣を構える。


するとソニアとサンダーが手を翳す!



レティア『ソニー!?サンダー!?』



二人の手からとてつもない魔力の玉が放出され

魑魅魍魎は一瞬のうちに粉々になった。


バン!という爆発音があたり一面に響く。



レティア『これは‥‥!』



『産まれたようだな。』



レティア『!』



振り向くとそこには翳丸が立っていた。



レティア『翳丸‥この前は助けてくれてありがとう‥。』



翳丸『勘違いするな。

お前を助けようなどという思いは1ミリもない。』



翳丸は冷たい目を向けて言い放つ。



翳丸『それより、今の技はなんだ。

とんでもない魔力の量だったぜ。

この力があれば、小さな国くらい簡単に滅ぼせるだろうな。』



レティア『この二人が‥』



翳丸『何!?』



翳丸は赤子に近づいた。


黒髪で青い目の赤子と

金髪で紫色の目の赤子がいた。



翳丸『双子なのか!?』



レティア『そうよ。』



翳丸『性別は?』



レティア『黒髪の子が女の子で、金髪の子が男の子。


名前は女の子がソニア、男の子がサンダー。』



翳丸『センスのかけらもない名前だな。』



レティア『なっ‥!


好きな花の名前から とったのよ。

ならあなたはどんなに素晴らしい名前をつけるというの?』



翳丸『男は龍炎りゅうえん。女は飛月ひつきだな!』



レティア『‥‥。』


レティアは、翳丸は名付けに

ちょっとセンスがあるかもと思ったのだった。




翳丸『おい。抱かせろよ。』



レティアはサンダーとソニアを抱っこ紐から下ろす。



翳丸は乱雑に赤子をひょいと持ち上げた。



レティア『ちょっと!!まだ産まれたばかりで首がすわってないのよ!?』



翳丸『あっはっはっは!!!』



翳丸は高笑いする。



翳丸『見てみろよ、こいつら。』



レティア『なっ!!!!』



レティアは驚いた。もう首はすわっていたのだ。


レティア『昨日産んだばかりなのよ!?!?

さっきまで、首はふにゃふにゃだったはず‥!』



翳丸『もう歩けるんじゃないか?』



翳丸は地面に赤子を置こうとする。



レティア『やめなさいよ!!!そんなこと‥』


なんとソニアとサンダーはすでに腰までしっかりしており、座れたのだった。




レティア『な!?どういうこと‥!?』



翳丸『どうやら俺の遺伝子を濃く受け継いだようだな!』



翳丸は嬉しそうに赤子二人を抱っこした。



翳丸『俺は産まれてすぐ首がすわって歩けていたようだぜ。

こいつらも数日すれば歩けるようになるだろう。


魔力の量も‥どうやら俺に似たな。

強くなるぜ。こいつら。』



翳丸は普段の冷たい目と性格では考えられないほど、

優しい目で子供達を抱いていた。



翳丸『だが、俺の邪魔はするな。

俺はお前もガキらのこともどうでも良いんだ。


子供を見せれば、情が出てきて

俺の女にしてもらえるかもしれないなどという淡い期待は今すぐ捨てるんだな。


俺は俺を邪魔する奴らは皆殺しだ。

もう二度とお前にもこいつらにも会わない。


俺を探すな。ガキたちに俺の話をするな。


約束を破ればお前もろとも斬る。

ガキも容赦はしない。』



レティア『‥‥わかったわ。』



レティアは遠い目をして言った。

翳丸はレティアの意外な反応に驚きつつも笑った。



レティア『あなたにも好きなひとがいるかもしれないとずっと思っていた。


そんな中 私の運命にあなたを巻き込んで悪かったわね。


二度とあなたに干渉もしないし関わりもしない。


一度でも会えたのは嬉しかったわ。じゃあね。』



レティアはそう言って天界へと戻っていった。



翳丸はレティアの背を見た。



翳丸『‥‥俺に「も」

好きな人がいるかもしれない‥か。

フッ‥ずいぶんと淡白な女だな。』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


天界に戻ると、辺りが騒然としていた。



『レティア!!!』




オルレアが近づいてくる。



レティア『オルレア様‥!』



オルレア『大変よ!!レティア‥!

アウロが失踪したの!!』



レティア『なっ‥!?なんですって!?』



オルレア『人間界での失踪なの‥まさか‥まさか‥』



レティアは顔が真っ青になる。

かつての8人の残虐な遺体を思い出す。

そして、未だ見つかっていない多くの天使たちも‥‥



オルレア『とにかくみんな、アウロを探しているわ!

私もすぐに人間界に降りるわ。』



レティア『私も行きます!!』



オルレア『心強いわ。レティア、気をつけてくるのよ!先に行ってるわね!』



オルレアはそう言うと人間界へと降りていった。

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