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幸せを産む天使  作者: 墨華


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28/57

早産

アウロに回復魔法をかけようとするも

魔力が全く出ないレティア。


お腹の痛みがだんだんと強くなってきて

レティアは声を上げる。



レティア『っー‥!

うっー‥!!!はぁ‥はぁ‥』



レティアの顔は苦痛に満ちていた。



ルリハ『すぐに遣いを呼んでくるわ!!

レティア!!ここで待ってて!!!』



ルリハは駆け出した。

すぐに天界に戻る。



ルリハ『リリア様。』



リリア『作戦は?』



ルリハ『レティアが産気づきました。

今陣痛が起きているようです。』



リリアは高笑いする。



リリア『でかしたわ!ルリハ!

今陣痛が起きれば早産よ。


それに‥アウロの偽の死体を置いた場所に

あの翳丸とかいう妖がいたのを確認したわ。



‥‥レティアに対して

俺の邪魔をすれば女子供問わずに斬ると

言ったようね。


あれじゃあ‥‥

レティアも子供も‥

絶体絶命ね。』



リリアは嫌な笑みを浮かべた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


レティア『アウロ様‥っ‥

アウロ様‥っ!』



レティアはアウロを連れて天界に戻ろうとするも

痛みで力が入らない。



レティアはそのうち、座り込んで

痛みに悶絶していた。



『うるさい野郎だな。』



レティアは声の方を薄目で見る。

翳丸だった。



レティアはそれどころではなく、

徐々に間隔的になってくる痛みの波に

顔を顰めていた。



翳丸『なんだ。生まれるのか。』



翳丸は面白いものを見るように言った。



翳丸『一つ教えてやる。

その血まみれの男はお前の師匠とやらじゃないぜ。

‥‥偽物だ。』



レティアは苦痛に耐えながら、

翳丸の方を見た。



翳丸『お前、なんも知らねえのか。

あのさっきの女天使二人。

お前をハメる計画してたぜ。


魔力が使えないとか話してたが

どうやら本当のようだな。



‥‥なんの力もないのに

ノコノコと此処に一人で降りてきて

馬鹿共の策略にハマる。


とんだ間抜け野郎だな。


そんなんで伝説の天使など

笑わせてくれるぜ。』



翳丸は鋭い目でレティアを睨んだ。


レティアは息も絶え絶えだ。



するとレティアと翳丸の元に

何者かが近づいてくる。



翳丸はすぐに気配を察知した。



翳丸『!』



翳丸は剣を抜くと

一撃で倒した。

魔物だったのだ。



翳丸『包囲されたな‥』



翳丸が一体の魔物を倒したのも束の間、

気づくと二人は、魔物と妖怪の群れに包囲されていたのだ。



翳丸は素早く敵たちを切り裂いていく。


その間、レティアに近づく魔物がいた。



翳丸『!

おい女!逃げろ!』



レティアを襲おうとする魔物は

翳丸の場所からでは間に合わない!



レティアは目を閉じた。



すると、レティアのお腹が光り出した!

物凄い轟音を立て、レティアの下腹部から

魔力が解き放たれた!



魔物は木っ端微塵に消え去っていた。



翳丸『!

なんだあの力は!!!

まさか俺のガキとやらの力だというのか!?』



翳丸は目を見開いてレティアのお腹を見た。



翳丸『ほぅ‥‥‥。


俺の力を持って生まれてくるガキなら

悪くないな。』



翳丸はそう言うと

レティアの顔を見た。


顔を歪め額にいっぱい

汗を滲ませていた。



翳丸『おい。お前の師匠はどこに行ったんだ。

あの死体は偽物なんだぞ。本物は何処だ。』




レティア『わからないの‥‥はぁ‥はぁ‥』



翳丸『ちっ‥。』



『レティア!!!!』



翳丸『!』



レティア『アウロ様‥っ!!』



アウロが走ってやってくる。



アウロ『レティア!!大丈夫か!?』



レティアは頷いた。



アウロ『おい!!お前の仕業か!!翳丸!!』



レティア『ちがう‥』



アウロ『庇うのはよせ!!レティア!!』



翳丸『フン。お前もとんだ馬鹿だ。』



翳丸は一瞬で消えると、女を捕らえてアウロの前に差し出した。



『きゃあ!!何するのよ!!』



アウロ『ルリハ!?!?』



翳丸『この女ともう一人の女が

お前の偽物の死体を作り上げていた。


お前の死を利用し

レティアにショックを与え

わざと早産にさせる計画をしていたぞ。


見てみろ。

そこに死体があるだろう。』



アウロが茂みをかき分けると

確かに血まみれのアウロにそっくりの死体が落ちていた。



アウロ『ルリハ!!今の話は本当なのか!!』



ルリハ『そんなわけないでしょ!?!?

私がなんのために‥』



翳丸が剣を抜き、

ルリハの首に当てがう。



翳丸『俺は天使じゃない。

お前らの世界とは違って掟なんか存在しない。

俺は 女子供構わず斬る‥。


嘘を言うのも構わないぜ。

それもお前の選択だからな。

ただし容赦はしない。



‥‥もう一度聞く。

最後のチャンスだ。


お前、さっきの俺の話

本当だな?』



ルリハはガタガタと震えながら頷いた。



アウロ『本当なのか!?誰に命令されたんだ!!』



ルリハ『リリア様‥‥』


アウロは絶句した。



アウロ『翳丸。礼を言う!!!


レティア!!しっかりしろ!!


ルリハ、逃げるのは許さんぞ!!』



翳丸『ふん。逃げたら殺しておくから安心しろよ。


‥‥俺は目が良いんだ。

何処へ逃げてもお前を見つけ出してやるぜ。』



ルリハ『逃げません‥!!絶対に逃げません!!!』



アウロはレティアを抱き抱えて、天界へと戻って行った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー天界ー



天界ではすでに

首長や熾天使たちが集まり、

リリアが首長の前で土下座をしていた。



オルレア『アウロ!!レティア!!

二人とも無事ね!?!?』



オルレアが駆けつける。



アウロ『はい!!』



オルレア『話は聞いているわ!!

レティアが産気づいたのね!!』



オルレアは医者を呼び

レティアは運ばれて行った。



ロニス『‥‥お前、ルリハ。

覚悟しなさい。』



ロニスは恐ろしい目でルリハを見つめた。


ルリハはゾクっと背筋が凍った。



首長も声を荒げた。



首長『馬鹿者!!!



‥‥もしも、レティアと天の神子に何かあれば‥


ルリハ!お前は死刑だ!!!』



ルリハは息を呑んだ。



ルリハ『そんなっ‥!!!


リリア様の命令に従っただけなのに‥!!

熾天使様の命令には逆らえなくて‥‥!!』



首長はジロリとリリアを見る。



首長『もしもレティアや天の神子に何かあれば、

リリア。お前は天界追放だ。』



リリア『!!!

そんな!!大変申し訳ございません!!』



首長『お前らのやったことは殺人と同じこと!!

伝説の天使と天の神子を害した罪は重い!!


‥‥‥もしもレティアと神子たちが無事なら

リリア、お前は熾天使剥奪だ。

権天使まで位を落とす!!


ルリハ!!お前は天使だ!!』



リリア『そんな‥‥!!!』



オルレア『僭越ながら、首長。


リリアは最も高貴な熾天使の一人。

いくら罪が重いとはいえ

権天使では、リリアの持つ魔力を持て余す羽目になるでしょう。』



ナルシス『シランも幽閉の刑でした。


どうか初犯であるリリアにも

寛大な処置を‥!』



ナルシスは平伏せた。



首長『‥‥。

まずはレティアと天の神子の命の優先だ!!


罰はそのあとだ!!』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ミン『シラン様。レティアが産気づきました。』



シラン『なんですって!?!?

早いんじゃないの?』



ミン『リリアとルリハがわざとレティアに 

ショックを与え、早産になったようです。』



シラン『‥‥っ!』



シランは唇を噛み締めた。



ミン『首長とロニス様がお怒りで

初めはルリハに死刑を、リリアに天界追放の刑を与えましたが‥

オルレア様とナルシス様が

寛大な処置を求めております。』



シラン『‥‥。



レティアは無事かしら‥!』



ミン『大丈夫です。


‥‥シラン様の羽のネックレスを

ずっと身につけていますから。』



ミンはそれを伝えると

すぐに去って行った。

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