目覚め
レティアが目を覚ましたのは1ヶ月後だった。
その間に、天界では
レティアがミンの後任の幸せを産む天使になったこと、
天の神子を身籠っていることを発表した。
相手の男が、妖であることも‥。
但し、冷酷で残忍なことは伏せられ
眉目秀麗であることは伝えられた。
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レティアは目を開けた。
ぼんやりと天井が見えた。
手を上げようとするもうまく力が入らない。
声も上手く出せず、誰の気配もないと感じたレティアは
このまま死ぬのではないかという恐怖に苛まれる。
言うことの聞かない体を無理矢理動かすと、
ゴツっという 音と共に、
全身に鈍い痛みが走った。
どうやらベッドから落ちたようだ。
『レティア!?!?』
懐かしい声が聞こえた。
アウロだ。
アウロがレティアに駆けつける。
レティアはアウロの目を見た。
アウロの瞳には涙が光っていた。
アウロ『よかった‥!目覚めて良かった!!』
アウロはレティアを抱きしめた。
そのままレティアをひょいと抱き上げると
アウロはレティアを抱き抱えたまま部屋を出た。
アウロ『レティアが‥!!
レティアが目を覚ましました!!!』
アウロは叫ぶ。
天界に響き渡る声で叫んだ。
おそらく魔力を使って発声したのだろう。
アウロの声は皆に届いたらしく
ワラワラと天使達がアウロ達の周りに集まってきた。
首長『おお!レティアよ!!
よかった‥目覚めたんだな!!
お前は幸せを産む天使に選ばれ
今 身籠っている。
そのため1ヶ月ほど目覚めなかったんだ。
アウロはお前をずっと献身的に支えていたんだぞ。』
レティアは久しぶりに目覚めた瞬間
色々言われて何が何だかよくわからない。
幸せを産む天使?身籠ってる?
1ヶ月目覚めなかった‥??
頭の中が ぐるぐる回るのだった。
首長『まあよい。急に色々言われては
レティアも混乱するだろう。
久しぶりに目覚めたんだ。
アウロ、色々話してやってくれ。』
アウロ『はっ!』
オルレアもアウロに近づく。
オルレア『落ち着いた頃、私もレティアを見に行くわね。心配だったから。』
アウロ『はい‥!』
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アウロは部屋に食事を運んだ。
レティアは点滴で栄養は摂っていたものの
1ヶ月ぶりの食事なのだ。
アウロ『レティア。体調は大丈夫か?』
レティア『はい‥。』
アウロ『食べろ。お腹空いただろう。』
レティアは一口食べると
アウロに問う。
レティア『あの、私‥なんでしたっけ?
首長がさっき言ってたの‥』
アウロ『レティア。お前はミンの次の
幸せを産む天使に選ばれたんだ。』
レティア『!!!えっ‥!?』
アウロ『お前が吐いたり、倒れたり
眠気が酷かったり‥体調が悪そうだったのは
天の神子を 身籠っているからだ。』
レティア『!!!!!』
レティアはお腹を見た。
まだ少しもお腹は出ておらず、
妊娠してるとは思えなかった。
レティア『私が‥幸せを産む天使に‥!?』
アウロ『そうだ。』
レティア『お相手は‥』
アウロ『眉目秀麗な妖だそうだ』
レティア『眉目秀麗?』
アウロ『見た目の良いあやかしということだ。』
レティア『あやかしって何ですか?』
アウロ『妖怪の類だ。』
レティア『妖怪‥!?
どんな妖怪なのですか?』
アウロ『炎の氣と氷、雷の氣を持っているらしい。
かなりの力を持っているそうだ。』
レティア『すごい‥
どうやって知ったのですか?』
アウロ『リリア様が調べ上げた。』
レティア『‥‥お会いしたことは?』
アウロ『首長とオルレア様と俺で会いに行った。』
レティア『では‥天の神子の父親に選ばれたことは知っていると言うことですか?』
アウロ『ああ。
人間界と魔界を行き来している奴で
人間界にいる時を見計らって伝えた。』
レティア『何と言っていましたか?』
アウロ『‥‥興味ないと言っていた。』
レティア『そりゃ、そうでしょうね‥』
レティアはもちろん
相手だって好きな人がいたかもしれない。
それに、お互い会ったこともないのに
自分の子供を身籠ってると言われても
はいそうですかと簡単に受け入れられる話ではないだろう。
いくらそれがこの世界の神の掟だとしても
相手からしたら知ったことではない。
レティア『アウロ様‥私も会いたいです。』
アウロ『だめだ。』
レティア『なぜですか?』
アウロ『‥‥。
俺がお前をずっと支える!
天の神子のことも!!それじゃだめなのか!』
アウロはまるでプロポーズのような言葉をレティアにかけた。
レティア『‥!
アウロ様‥‥』
アウロ『お前に言いたくないが隠しても仕方ないから伝えよう。
相手の妖は、冷酷で残忍な性格だそうだ。
お前が会ったら傷つくだけだぞ!!!』
レティアはその言葉で
アウロ達が妖に出会った時に
何かすごいことを言われたのだと悟った。
それでも、お腹の子の父の顔は
見てみたいと思ったのだった。
アウロ『いいか、俺の目を盗んでこっそり人間界に降りようなどと言う愚かなことは絶対に考えないことだ。
お前は今、魔力を使えない。
まだ攫われた天使達は一人も見つかっていないのだ。
天の神子を身籠るお前も、狙われるかもしれないんだぞ。』
レティア『‥‥わかりました。』
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ー夜ー
レティアは星を見下ろした。
ラナンのことを思い出す。
寝ている時だけは
ラナンを失った悲しみを忘れられたのに‥
もうすぐラナンが亡くなってから
3ヶ月が経つ。
まだ、ラナンはひょっこりレティアの前に現れる気がするのだ。
【驚いた?ごめんな】
そう 演技でもない冗談を言って
大輪の笑顔を向けてくれる気がするのだー‥。
レティアは自己肯定感が低い。
だからこそ封印していた感情があった。
でも 溢れ出る気持ちをもう抑えられない。
伝えられる相手すらいないのに。
レティア『ラナン‥大好きだった‥
いいえ‥今でも 大好きよ‥』
私の片思い、とレティアは呟く。
レティアはボロボロと涙を流した。
情緒が不安定になっているのを感じた。
ラナンを失った傷は多分 永遠に癒えないが
ラナンを想う気持ちは
いつか 色褪せてしまうのだろうか。




