レティア•エクセルサス
シラン『レティア。』
シラン•エクセルサスが優しい声で呼ぶ。
トコトコとおぼつかない足で
小さな女の子がシランの元へ走ってくる。
シランは優しくレティアを抱きしめた。
レティア『おかあさま。』
天界で、白い髪は最も高貴な天使の証だった。
シランは美しい青い瞳に、純白の髪と翼を持つ熾天使だった。
生まれた娘、レティアは
青緑色の髪に黒髪が混じり、
乳白色と灰色のいびつな翼を持っていた。
瞳だけは、シランに似て青く美しかった。
天界で、レティアの姿は 異形だった。
それも、最も高貴と崇められた
シラン•エクセルサスが産んだ娘だ。
『ねえ。レティア。
なんであなたは、シラン様の娘なのに
そんなにも醜いの?』
『そうよ!翼は変な色だし、
髪の毛も青緑で、黒い毛まである!
黒って邪悪な色なのよ。
悪魔の色よ!
なんで熾天使様の娘のあなたが
こんなにも邪悪な見た目をしているの!?!?』
こわーい!と叫びながら、子供たちは走り去っていく。
天使の子供たちは皆、毎日レティアを揶揄った。
大人の天使たちも、レティアが揶揄われているのを
見て見ぬ振りをした。
最も高貴で位の高いシランには誰も逆らえない。
それでも、皆純白の翼を持っている中
灰色で乳白色の、いびつな翼を持ち
髪に黒色が混じるその姿は
あまりに天使の姿とはかけ離れていたのだ。
レティアは次第に鏡を避けた。
常に下を向いた。
眩いほど美しい母の姿に
レティアは羨望の眼差しを向けた。
どうしたってあの
混じり気のない純白な翼と髪は
自分には手に入らない。
せめて位が低くてもいいから
翼が小さくても構わないから
皆と同じ 真っ白で綺麗な形の
翼だったなら。
レティアには友達も信頼できる大人も
いなかった
居場所すらわからない。
シランがレティア抱きしめる時、
いつも意地悪な子供達が
静かなる殺意を向けているのも感じた。
私は、天使なの?
なぜこんなに私は醜いの。
レティアは毎夜 静かに
枕を濡らし続けた。




