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幸せを産む天使  作者: 墨華


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17/24

天の神子

オルレア『レティア‥‥』



オルレアはレティアに声をかける。

レティアは虚な目で一点を見つめ

声も出さずに涙を流し続けていた。



オルレア『‥‥。

アウロ。天界に戻るわよ‥。』



アウロ『はい‥‥』



アウロもレティアに声をかけたが

いまのレティアには

どんな声も届かないようだった。



アウロは放心状態のレティアを抱えて

オルレアと天界へと戻って行った。




ー天界ー



3人が天界へ着くと

広間には大勢の天使たちが集まっていた。


首長の周りには、ロニス、リリア、ナルシス、ヘリオスが跪いていた。


そして首長の目の前で叩頭している

シランの姿もあった。



首長『帰ってきたか。オルレアよ‥。

そしてアウロ。レティア‥』



オルレアは跪く。


アウロはレティアを抱えたまま膝をついた。



首長はアウロに近づく。



首長『レティアよ‥。』



レティアは首長の声掛けにも反応せず

放心状態だ。



首長『辛かったな‥レティアよ‥。

幼いのに、仲の良かった仲間を

突然目の前で亡くして‥‥』



首長は涙を滲ませながら

レティアの頭を撫でた。



首長『ロニスよ。

レティアを休ませてやってくれ。』



ロニス『御意』



ロニスはレティアを抱えると

その場を立ち去って行った。



首長『さてアウロよ。

詳しく聞かせてくれ‥』




アウロ『はっ!』



アウロは話し始めた。



アウロ『ミン様がレティアに剣をあてがっているのを見て、駆けつけました。


ミン様はすぐに消えてしまいました。


何があったかレティアに問いただした時には

先程までレティアと一緒にいたはずのラナンがいませんでした。


レティアに聞くと、

ラナンが一人で人間界に行ったと聞いたため

レティアと共に人間界に向かったのです。』



首長『ふむ‥‥。

なぜミンはレティアに剣を向け‥

ラナンは一人で人間界に向かったのか‥』 



アウロ『‥‥全く見当もつきません‥。』



首長『続きも聞かせてくれ。』



アウロ『ラナンの気配を探ると、

シャーマンの住む国のあたりにいました。

向かおうとしたところ、

刺客が現れたためレティアをラナンのいる方へ逃しました。』



首長『刺客が!?』



アウロ『はい。物怪の類でしょうか。

幸い 弱かったためすぐに倒しました。


レティアとラナンのいる方へ走ると

爆発音が聞こえました。


嫌な予感がしてレティアの名を呼びました。


するとレティアが泣き叫んで言いました。

【助けて、ラナンが‥】と。』



首長『なんと‥!!!』



アウロ『駆けつけた時にはラナンはレティアの腕の中で目を閉じたまま動きませんでした。



すると背後からミン様が現れ‥



何故我が子に手をかけたのかを問うと

【天の神子の能力を奪うため】と言い

ラナンを抱き抱えて消えていきました。』



首長『なんということだ‥!!!』



ナルシス『では、天使たちの殺害、誘拐事件の犯人は‥‥』



リリア『ミンの仕業ってこと‥!?!?』



首長『ありうる‥あり得るぞ!!!』



リリア『‥シラン。あんたの右腕は

とんでもないことをしてくれたわね!!


ラナンを始め‥8人の子供達を残虐に殺め

未だ多くの天使たちが行方不明のままよ!!』



シランは首を垂れたまま

何も話さない。



ヘリオス『まだミンと決まったわけじゃない。

確実な証拠がない。


一つ言えるのはラナンを殺したのはミンだということだ。』



首長『早とちりだった‥‥

ヘリオスのいう通りだな‥‥。


皆のもの、引き続き調査を続けよ。

そして十分気をつけて人間界に降りることだ!』



天使たちは全員返事をする。



首長『してシランよ。


お前の部下であるミンは

天界で大重罪を犯した。


領袖であるお前を

裁かなければならない。』



シラン『仰せのままに‥』



シランは顔を上げずに

なんの弁解もせずに裁きを受け入れた。



シランがどんな裁きを受けたのか

位の低い天使たちは知る由もないが

噂によると天界のどこかに幽閉されているというー‥。



アウロはレティアを看病してくれていたロニスと交代し

傷ついたレティアのそばにいた。




熾天使5人は会議をしている。



オルレア『ミンが堕天使になって天界から追放されたから

幸せを産む天使がいなくなったわ。

後任を考えなくては。』



ヘリオス『確かにな‥

まあ俺らが決められるわけじゃないけど‥

候補くらいは首長に出しておかないとな‥』



リリアがニヤリと笑って口を開いた。



リリア『いい子を見つけたわ。

ぴったりの後任よ。』



ナルシス『誰だ?そんなすぐに思いつくのか?』



リリア『フッ‥

いるじゃない。


シランの悪魔の娘、レティアよ!!!』



すると普段温厚なロニスが机をバン!と叩いた。



ロニス『絶対にダメだ。』



全員『!!!!』



リリアはロニスの態度に慌てふためく。



リリア『なんでよ!ロニス!!


レティアなら、悪魔の娘。

熾天使と同じ炎の氣を持っているのよ!?!?

きっと天の神子として生まれてくる子供も

強いに違いないわ!!!』



ロニスは冷たい目でリリアを見つめる。



ロニス『レティアは人間に例えるとまだ小学生くらいの娘だ。

いくらなんでも子供を産むには早すぎる。』



リリア『人間と天使は時間軸が違うわよ。

大丈夫に決まってるわ。』



ロニス『だめだ。


‥幼いレティアには負担が大きすぎる!


何より、天の神子である仲間ラナンを失い、

幸せを産む天使であったミンから剣を向けられていたんだ。


目の前でラナンが殺されるところを見たのに、

後任なんか‥

リリア、君こそ残忍すぎる!』



温厚なロニスの言葉に

リリアは驚いた。



リリア『じょ、冗談じゃないの!!

ロニス!!そんなに怒らないでよ!!』



ロニス『先ほどレティアを看病したけど

レティアは心から傷つき

正気を失っている。


‥‥そんな中こんな残酷な提案を聞くなんて‥

今日はもう話す気分じゃない。

僕は行くよ。』



ロニスは部屋を出て行った。


リリアはロニスの後を追いかける。



ナルシス『はぁ‥ったく、リリアの奴‥

ロニスのあんな怒ってる姿、初めて見たぜ‥』



ヘリオス『リリアは昔からロニスが好きだったからな。

ロニスの許嫁だったシランが、裏切って

悪魔と結ばれたのが許せないんだよ。

だからあんなに、シランを敵視してるのさ。


ロニスはまだシランを好きなんだろうな。

だからリリアがどんなにロニスを追いかけても

あいつは振り向かない。


それが余計に

リリアのシランへの嫉妬を増幅させてるんだ。』



ナルシス『女はめんどくさいな‥』



ヘリオス『そういえば、天の神子だったラナンの秘技は

一体なんだったんだ‥?』



ナルシス『確かに。俺も把握してなかった‥。』




アウロはレティアの部屋にいた。



レティアは泣き疲れたようで眠っていた。

アウロはそんなレティアの側で寝顔を見ていた。


悲しみに満ちた顔で眠るレティアに

アウロは心を痛めた。



そしてラナンという愛弟子を失った悲しみと

助けられなかった自分の不甲斐なさに

怒りで打ち震えた。



アウロ『必ずや‥ミンを見つけ出す‥


失踪した天使たちのことも‥!


そしてレティア‥お前のことは

絶対に失いたくない‥

もう二度と愛弟子を

俺よりも先に死なせたくない‥』



しかしアウロは思い出す。

あたりの木々が吹っ飛ぶほどの魔力の玉を

受けたはずのラナンは

傷ひとつついておらず、血すら出ていなかったことを。



そしてなぜミンは

ラナンを抱き抱えて消えたのか。

ラナンの遺体をどこへ連れて行ったのかー‥


不可解な点がいくつもあると

感じ始めたのだった。

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