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幸せを産む天使  作者: 墨華


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16/26

最愛との別れ

顔を血で赤く染めたミンが

レティアの顔を至近距離で覗き込む。



ミン『位の高い天使の命令は?』



レティア『‥絶対‥‥です。』



ミン『何破ってんのよ!!』



ミンは怒声を浴びせた。


レティアはビクッと肩を震わせる。



ミン『お前のせいで‥!お前のせいで‥!』



ミンは正気を失っているのかと思うほど血走った目で

レティアに言葉を浴びせ続ける。




ミンは手に魔力を込める。

巨大な翡翠色の光の玉が

ミンの手の上で神々しく輝いていた。



ミン『計画が台無し‥』



ミンは吐き捨てるように言った。

その顔には悲しみすら感じられた。


レティアはミンが怒っているのか悲しんでいるのか

何を考えているのかさえ全くわからなかった。



しかし、ミンの手の上で光る魔力の玉を使い

自分を攻撃するのだろうと本能で分かった。

ミンの殺気はレティアに向けられていたからだ。



『やめろ!!!』



ふいに声がする。

その声に涙が勝手に溢れ出す。

ラナンだ。

ラナンの力強い声だったのだ。



ラナンはレティアの前に立ちはだかる。


優しくレティアに微笑みかけると、ミンに言った。



ラナン『レティアは悪くない。


さっきまで俺と話していたのに

俺がいなくなれば尋問されるのも当然だ。』



ミン『フン。正義のヒーローにでもなったつもり?』



ミンは高笑いする。


ラナンは振り向いてレティアを見た。



ラナン『俺さ、レティアの笑顔大好きだ。


笑っていてくれよな。レティア。』



ラナンは そうレティアに言った。



ミン『本当に‥ほんとうに‥

だから近づくなと言ったのに‥‥!!!

この生意気なガキたちめ!!!!』



ミンはラナンとレティアに目掛けて

魔力の玉を放った。




するとラナンはありったけの魔力を手に込めて

レティアを力強く押した。



レティアは2メートル後ろに突き飛ばされる。



レティア『きゃっ!!!』




レティアは地面に叩きつけられた痛みで顔を歪める。

顔を上げた瞬間、

爆発音のような 耳を劈くような音が

あたり一面に響き渡る。



レティア『ラナン!!!!!!!』



魔力の攻撃のせいで

あたり一面に煙が上がり

視界が灰色でよく見えなかった。



煙が目の前から消えていくと、

横たわるラナンがいた。



レティア『ラナン!!!ラナン!!!』



レティアはラナンに近づく。

ラナンは眠っているように目を閉じている。

ぴくりとも動かない。



レティア『ラナン!!!しっかりして!!!

ラナン‥???!! ラナン!!!

目を開けてよ‥‥ラナン‥‥

ラナン!!!お願いよ‥‥!!!』



レティアはラナンの顔を見つめる。

涙がラナンの顔に滴る。

視界が霞んでよく見えない。

それでも動かぬ体を揺らして

その名を叫び続けた。



不思議なことに

ラナンはかすり傷一ついていない。

血の一滴すら 滲んでいなかったのだ。

本当にただ 眠っているように見えた。



あんな攻撃を受けて

何故傷ひとつないのか

レティアは考える余地もなく

一瞬の出来事に頭が混乱し始めていた。




すると何処かから

レティアを呼ぶ声がする。



『レティア!!!

どこだ!!!返事をしてくれ!!!


レティア!!!無事なのか!!

レティア!!!』



アウロの声だった。

レティアはアウロの声を聞いた瞬間

咽び泣き始めた。



レティアは叫ぶ。



レティア『アウロ様!!!

アウロ様!!!ラナンが!!!ラナンが!!!


助けて!!!アウロ様ーーーっ!!!

ラナンがー‥!!!ラナンがーっ!!』



レティアはただ泣き叫んでいた。


その声を聞きつけたアウロが全力で走ってやってきた。



アウロ『レティア!!!』



アウロは絶句した。

レティアが抱き抱えるラナンの姿を見て。



目を閉じたまま

ぴくりとも動かないラナン。


周りの木々が全て倒れ

地面すら吹っ飛んでいるのを見て

アウロはとんでもないことが起きたと悟った。




アウロは2人に近づく。



アウロ『ラナン!!ラナン!!

しっかりしろ!!



レティア!!何があった!!!』



アウロは声を張り上げてレティアに問う。


するとアウロの背後から忍び寄る者がいた。


ミンだ。



ミン『あーあ。

もう一人とんだ邪魔者が入ったこと。』



アウロは後ろを振り向く。



アウロ『ミン様!!!!』



アウロは跪かなかった。



アウロ『あなた様が!

ラナンに手をかけたのですか!!!』



アウロはミンに殴りかかる剣幕で言い放つ。



ミン『だったら何?』



ミンは高笑いした。


アウロは拳を強く握る。



アウロ『なんのためにこんな残酷なことを‥!!』




ミン『決まってるでしょう?


‥‥天の神子の能力を奪うためよ。』



ミンは鋭い目でアウロを睨める。



アウロ『そんな‥!!そんな身勝手な理由で!!

自分の産んだ子供である

ラナンに手をかけたと言うのですか!!!』



すると、天からオルレアもやってきた!



オルレア『アウロ!レティア!ラナン!』



アウロは跪く。



アウロ『オルレア様‥‥!!!』



オルレアはミンと

泣き叫ぶレティア、そしてラナンの様子を見て

全てを悟ったようだ。



オルレア『ミン。あなたは我が子に手をかけた。

とんでもないことをしたわ!

天界追放よ!!堕天使となったのよ‥!!』



よく見ると、

純白だったミンの翼は灰色になっていた。



ミン『ああそう。興味ないわね。

じゃあ私行くから。』




ミンはラナンを抱き抱えて

どこかへ行ってしまった。



オルレア『待ちなさい!!!!』



オルレアが魔力の攻撃をするも、

ミンは一瞬のうちに消えてしまった。




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