下手くそな芝居
ソフィア『トーア!隠さず言いなさい!
なぜ、ミンという元熾天使と繋がっているの!?』
ミラ『な‥‥‥!何!?
やはりそうなのか!?』
トーアは首を垂れて真っ青な顔をしたままだ。
ミラ『俺はレティアの味方だ。
もしもトーア。
お前が、レティアを傷つける奴と
何か悪巧みをしているというのなら許さない。』
ミラは短剣を取り出す。
トーアは慌てて 首をブンブンと横に振りながら
全身を震わせた。
トーア『ミラちゃん!!何をする気だい!?』
ミラ『見てわからないのか?
‥‥‥ミンという女は、さっき、
レティアに殺気を向けてきたんだよ。
そしてレティアが1番傷つくことを言って苦しませた。
レティアは悪魔の姿になった。
ミンはそれを見て、
【中途半端な肉体のまま悪魔の姿になると死ぬ】
と言った。
レティアの体に負担がかかると知っているのにも関わらず、わざと挑発したんだ。
‥‥‥碌でもない女だ。俺は許さない』
いつも優しく穏やかなミラが
恐ろしい眼差しでトーアを睨んでいる。
トーアはまるで捕食対象の獲物のように
ガチガチと歯を鳴らしている。
ミラ『‥‥‥なぜ言わない?
死にたいのか?』
トーア『ミ、ミラちゃん!!
違くて‥‥‥!』
ミラが短剣を振り翳しながら
トーアに近づいていく。
その瞬間、ミラ達の背後から
誰かの声が響き渡る!
『ああ、うるっさいわね。小賢しいガキどもは』
全員が振り返ると、そこにはミンが
不機嫌そうな顔をしながら腕を組み立っていた。
トーア(ミン様‥‥‥)
ミン(フン。アンタ、本当に馬鹿ね。)
ミンとトーアは心の中で会話をする。
ミンはおもむろに剣を抜いて、トーアの首に当てがった。
ミン『この小僧がどうなってもいいわけ?
‥‥‥トーア。もしもアンタが、
余計なことを口走ったら、
アンタも、レティアも殺すわよ!』
ラガー『なんだ!!お前!!
トーア、脅されていたんだな!?
おい!堕天使!!汚いぞ!!』
ソフィア『トーアを命で脅して‥‥!
だから言えなかったのね!?』
トーアはミンの目を見る。
ミンは不機嫌そうに顎で何かを合図した。
トーア『ミ、ミン様‥‥‥!
い、い、言いません!言いません!』
トーアはわざとらしく土下座をする。
ミン(相変わらず。下手っくそな芝居ね。
そんなんじゃ、あの、ミラって子は騙せないわね。)
トーア(うう‥‥耳が痛いです‥‥‥)
ミン(あ、アンタ。助けてあげたんだから今度私に貢ぎなさいね)
トーア(ええっ!?それは清光くんに頼んでくださいよっ‥‥‥)
ミン(へえ?じゃあいいわよ。
この寒い芝居を今すぐ辞めましょうか。
ミラに、首を切られてしまえばいいわ。)
トーア(なっ!!なんてことを!
は、はい!貢ぎます!貢ぎますから‥‥‥
全く‥‥‥)
ミンはトーアの首根っこを掴んで
後方へと 無理やり強く押した。
トーア『うわぁっ!』
トーアは再び声を上げると、
ミンは フン!と吐き捨てて
すぐにどこかへ消えてしまった。
ソフィア『先に言いなさいよ‥‥。
脅されてたから言えなかったって‥‥』
ダリア『そうよ!!
言わなかったらミラにやられてたからね!?』
トーア『う、うん。そうだよね‥‥
ハハ‥‥ごめんね。』
トーアはチラリとミラを見る。
ミラの目は欺けないようで、
短剣は仕舞っているものの、
まだ疑いの目でトーアを見下ろしていた。
トーアはニッコリとミラに笑顔を向けると、
カタカタと小刻みに体を震わせながら、
ミラから顔を背けた。
ミラ『‥‥まあいい。』
するとニゲルが走ってやってきた。
ニゲル『ソフィア様!』
ソフィア『ニゲル!』
ニゲル『ティルケ国の遣いが再びやってきました!
属国になるのを認めるそうです!』
ソフィアは目を見開いた。
ニゲル『その代わり、早急に呪いの浄化をしてほしいそうです!
民達がかなり苦しんでいるようで‥‥‥』
ソフィアはトーアを見る。
トーアは力強く頷いた。
ソフィア『わかったわ。
ただし、条約を結ぶのが先よ。』
ニゲル『ははっ!』
ソフィア『ダリア。願ってもないチャンスよ。
ティルケ国が属国になれば、
ティラ王子の持っていた、
別次元に行ける不思議な書物‥‥‥
合法的に、手に入れられるかもしれないわ』
ダリア『確かに‥‥‥!』
ソフィア『それを手に入れたら‥‥
ミラ、ダリア。
レティアも連れて、私と4人でいきましょう』
ラガー『おいおい!待ってくれよ!
俺やニゲルやトーアは?』
ソフィア『あなた達は、ヘレボルスで
アレヌスを守って。
‥‥‥順番に行くわよ。
強くなって、不思議な力を手に入れて‥‥
この国の平和も、レティアの黒幕探しの旅も
必ず、果たすわよ!』
ソフィアはマントを翻しながら
ヘレボルス城へと入っていく。
ミラやダリアもソフィアの言葉に
力強く頷きながら ソフィアの後に続いた。




