水面下の主従関係
ソフィア『国王も崩御され‥‥
王子ティラも亡くなった。
君主のいない今、どうやって国を建て直すおつもりですか』
ティルケ国からの遣いは 額に汗を滲ませ
視点を落として黙ったままだ。
ソフィア『暗殺国家であることが明るみに出て、
王子ティラから被害を受けた者も数多くいます。
我が国ヘレボルスも、
ティルケ国からの亡命者を匿っております。
1000人は超えるでしょう。』
遣い『しかし‥‥‥属国など‥‥‥!』
ソフィア『ならばお帰りなさい。
無理にとは言いません。
交換条件なのですから。
ヘレボルスの精霊達にもリスクがあります。
呪いの浄化とは、【純白】に戻すこと。
白の中に、たった一滴でも黒を滴らせれば
白ではなくなります。
それを、純白に戻すことが
どれほど身を削ることかわかりますか』
遣い『そ‥‥‥そこをなんとか‥‥‥!』
中々引き下がらないティルケからの遣いに対して
怒りを覚えたソフィアは
玉座から立ち上がり、遣いを見下ろした。
ソフィア『お忘れではなくて?
私と、弟アレヌスは
ティルケ国の暗殺者に包囲されたのですよ!
私たちは、殺されるところでした。
危うく戦争になりかけたのです。』
遣いはダラダラと汗を流しながら
ソフィアの前に首を垂れて謝罪をした。
遣い『その節は大変申し訳‥‥‥』
ソフィア『ティルケに呪いが蔓延しようと
知ったことではありません。
交換条件を飲めないというのなら
‥‥‥お帰りください。』
遣い『ソフィア女王陛下‥‥‥!』
ソフィア『‥‥‥ヘレボルスがティルケを、
武力攻撃で攻めないだけ
寛大な処置だとお思いなさい。
本来ならば、隣国を巻き込んだ戦になるところでしたのよ!
ヘレボルス女王の私と、次期国王アレヌスを狙ったのですから』
ソフィアは家来に 遣いを見送るようにと命じ、
マントを翻して玉座の間を立ち去った。
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その頃、レティア達は
城の外で話をしていた。
ミラ『なあレティア。ミンはさ。
確かに、レティアの母さんと何か計画をして
暗殺者を呼んだんだろうな。
だけど、レティアの母さんが、
レティアと子供達に
人間界へ逃げるようにと伝えたのなら、
少なくとも、お前と子供達を傷つけるためではなかったんじゃないか?』
ラガー『確かにな。』
レティア『‥‥‥。
でも私、何度もミンから
剣を向けられたわ。』
ラガー『何!?』
レティア『死にたくないのなら、ラナンと関わるなとか。
他にも、子供たちと人間界ではぐれたとき、
剣で行手を阻まれたわ。
‥‥‥殺意をいつも感じたのよ』
ミラ『そうか‥‥‥
だが、怪しい動きをしていた天使達も、
堕天使になってないことから、ソニアとサンダーを殺してはなさそうなんだもんな』
レティア『ええ‥‥‥』
ラガー『ああーっ!もう、わっかんねえ!
レティア!なんで母ちゃんは悪魔と結婚したんだろうな!?
もう魔界の奴じゃね!?魔界に行く方法ねえの!?』
ラガーは自暴自棄のように言い放った。
頭がごっちゃごちゃになるのだろう。
すると、3人の元にダリアがやってくる。
ダリア『みんな』
レティア『ダリア‥‥‥!』
ダリア『会話中に、ごめんね。
ねえ、レティア。
アタシ、ラナンに会いたい。
確か眠ってるんでしょ?』
レティアは頷く。
レティア『シャーマンの国にいる、ラナンの父‥‥‥
清光さんの自宅で眠っているの。
行きましょうか』
ダリア『うんッ!』
ラガー『俺らも行こうぜ、ミラ。』
ミラ『ああ。ラナンを目覚めさせる方法も探さなきゃだったな』
4人は歩き出すと
背中から誰かが声をかける。
『レティアちゃん』
レティアはビクッと背中を震わせた。
トーアの声だったからだ。
レティア『‥‥‥な、なに?』
レティアは挙動不審になってトーアに問う。
そんなレティアの姿に、トーアは
何を考えているかわからないような笑みを
薄っすらと浮かべて聞いた。
トーア『どこに行くんだい』
レティア『‥‥‥ラナンのところ』
トーア『‥‥‥そっか。
いってらっしゃい。
ちゃんとみんなで帰ってきてね』
トーアはいつもの穏やかな笑顔で、4人に手を振った。
レティアは顔を引き攣らせながら頷いて見せると、
背を向けて歩き出した。
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トーアは4人の姿が見えなくなるまで、
見送っていた。
ふいに、トーアは誰かの気配を感じると、
すぐに顔を伏せて 跪いた。
『あら‥‥‥
ひとりなの。トーア』
トーア『はい。
‥‥‥ミン様』
トーアの目の前に、ピンク色の髪をした女が立っていた。
翡翠色の美しい瞳の、
堕天使ミンが 姿を現したのだった。




