ヘレボルスの属国になりなさい
ダリア『はっ‥‥‥!!』
ダリアは ガバッと起き上がった。
その姿を見たメイドが、早足でダリアの元へ駆けつける。
メイド『ダリア様。目覚めましたか。』
ダリア『ここは!?』
メイド『ヘレボルス城です。
ソフィア様をお呼びします。』
そう言うとメイドはソフィアの元へと急いだ。
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ダリアが目覚めたと聞きつけ、一同はダリアの部屋と向かう。
ソフィア『ダリア。目覚めたのね』
ダリア『苺花は!?
ティラ王子は!?
あの後どうなったの!?』
全員は、俯いた。
あたりはシンと静まり返る。
ミラがおもむろに口を開いた。
ミラ『死んだよ‥‥‥』
ミラの声は、湿っていた。
一筋の涙がミラの頬を伝う。
ダリアも目を見開いて
肩を震わせる。
ダリア『そんな‥‥‥!』
ミラ『‥‥‥いちごが針を刺したのは、
お前を守るためだったんだ!
ダリア‥‥』
ミラは、声をあげて泣き出した。
嗚咽を漏らしながら、話を続ける。
ミラ『ティラを殺したいちごは、
一族皆殺しの刑に処される。
だから‥‥‥
ダリアを殺したように見せかけて、
かつて海殉姫として沈められた海に飛び込んだ。
【海珠村の生きた呪いと共に死ぬ】
【誰かの命を犠牲にしなければ、
存続できない村など呑まれてしまえ】
そう言って‥‥‥。』
ダリア『うそ‥‥‥でしょ‥‥‥
あんな‥‥‥忌まわしい海で‥‥‥?
死んでしまったの‥‥‥?』
ダリアも声を上げて泣き出した。
レティアとソフィアは
何も言わずにミラとダリアを抱きしめた。
数時間が経った頃、
ミラとダリアは泣き疲れて眠ってしまった。
レティアもソフィアも2人の側で寝落ちした。
男達はそっと 部屋を後にした。
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ー朝ー
女子達は一斉に目覚めた。
おはよう、と互いに挨拶を交わす。
ダリア『‥‥昨日は、取り乱してごめんね。
‥‥‥あの、さ。
ミラ、女の子だったんだね。
アタシ、それ聞いたときびっくりしちゃった』
ミラ『黙っててすまなかったな‥‥‥。』
ダリア『ううん。無理もないよ。
だって‥‥‥ティラの子を、12歳で‥‥‥。
それに、ティラに何度もお腹殴られたって‥‥‥。
そんな中、
ティルケ国に一緒に来てくれたんだね。』
ありがとう、とダリアは呟く。
ミラはフッ‥‥‥と笑って、頷いた。
ミラ『だから俺は、
マグナフォボスの妙薬を飲まないと倒れてしまう。
飲めば問題はないんだが‥‥‥。』
ダリア『そっか。
じゃあ妙薬が切れないように
前もって準備しておかないとだね。』
ミラ『ああ。
‥‥‥あと、俺は一応男の格好を続けるつもりだ。
だから俺が女であることは、言わないでおいてくれるか。』
ダリア『うん。わかったよ
男達は知ってるの?』
ミラ『ここにいるみんなは知ってるよ』
ダリア『アタシだけが知らなかったんだね。
わかったよ』
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男達も起きてきて、
みんなで朝食を食べ始める。
ミラ『ダリア、特殊な魔力とか、
魔法攻撃が効かない訓練ってどう学んだんだ?』
ダリア『あのね、なんか、変な次元に行くの。』
レティア『変な次元?』
ダリア『そう。なんかあっちの次元では、
何ヶ月とか、数年とか修行するんだけどね。
コッチの世界戻ってきても、経ってるのは数時間なの。』
ニゲル『なんだそれは!』
ダリア『あ、でも得なのはね、
別次元では数年修行しても
こっちの世界では数時間しか経ってないから、
見た目も年齢もこっちの世界のままなんだ。』
ミラ『別次元で何年修行しようと、
こちらの世界で経った時間分しか歳を取らないということか。』
ダリア『そういうこと!
ただし気をつけなきゃいけないことがあって。
別次元で死んじゃったら、こっちの世界でも死んじゃうし、
別次元で刺し傷とかできるとするじゃん?
こっちの世界戻っても、刺し傷は治ってないんだ。
あくまで時間軸だけはこっちの世界のままって感じ。』
ミラ『なるほど。まあそうだよな。
別次元では強くなったのに、こちらに戻ってきた瞬間に元通りになっても困るし。』
ダリア『アハハ。確かにね。』
レティア『その別次元にはどうやって行くの?』
ダリア『ティラ王子が持ってる不思議な書物に
合言葉をかけると行けるんだよね』
レティア『不思議な書物‥‥‥』
ソフィア『トーア。別次元の話を聞いたことはある?』
トーアへの問いに、レティアがビクリと体を震わせる。
ミラもラガーも、レティアの動揺する姿を横目で見ていた。
トーア『うーん‥‥‥。
なくはない、かな。』
歯切れの悪いトーアの回答に、
ますます懐疑心を抱くレティア。
ソフィア『そう。
‥‥‥それをどうやったら手にできるかしらね。
私たちも別次元で修行ができれば、きっと何かの力になるわね』
ダリア『あ、でも言っとくけど
超キツいからね?!
ホントに死ぬ思いをするよ!
中途半端に行くと大変だからねッ!』
ミラ『どんな修行なんだ?』
ダリア『‥‥うーん。
何から話していいのか‥‥‥。
もう、とにかくあの次元にいるだけで辛いよ。』
急に、皆の部屋に家来がバタバタと入ってきた。
家来『ソフィア様!!』
ソフィア『何事?』
家来『ティルケ国王が崩御したそうです』
それを聞いた全員が、その場で息を呑む。
ソフィアは静かにつぶやいた。
ソフィア『‥‥‥そう』
家来『そして、ティルケ国から遣いが来ています!』
ソフィア『こんな早朝に?』
家来『はい!
なんでも、苺花さんが持っていた呪物‥‥‥。
あれによるものなのか、ティルケ国に呪いが蔓延しているようです!
それを浄化して欲しいと、土下座したまま動きません!』
ソフィアとトーアが目を見合わせる。
トーア『ソフィア。僕たち精霊は、
君の命令に従うさ。』
ソフィアはその言葉を聞いて、家来に命令した。
ソフィア『玉座の間に呼びなさい』
家来『は!』
家来はバタバタと去っていく。
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ー玉座の間ー
『ソフィア女王陛下。』
ティルケ国からの遣いは、ソフィアに跪いた。
ソフィア『話は聞いています。
なんでも呪いが蔓延しているとか‥‥‥』
遣い『はい!お助けください‥‥‥!
ティルケ国が、邪悪なオーラで満ちております‥‥‥!
ヘレボルスには精霊の国があり、
浄化が得意とか‥‥!』
ソフィア『いいでしょう。』
遣い『ソフィア女王陛下‥‥!』
ソフィアの快い返事に
遣いは顔をあげて喜んだ。
ソフィア『但し条件があります。
‥‥‥助ける代わりに、
ヘレボルスの属国になりなさい』
遣い『な‥‥‥!』
遣いは、一瞬のうちに奈落の底に突き落とされたかのような顔をして
ソフィアの顔を見た。
ソフィアは強い意志を感じる笑みをたたえながら
跪くティルケの遣いを見下ろしていた。




