天界の依頼者
一同はティルケ国にたどり着く。
あたりは騒々しく、民達は混乱していた。
荷物を持ち、走り去る者。
近くの海から船に乗り、逃げる者などさまざまだった。
ミラは近くの木の上に登り辺りを見渡した。
ミラ『‥‥‥いた!いちご!!』
ミラの指す方向は、海の近くのエリアだった。
およそ100人はいるであろう暗殺者たちが
ティラを包囲している。
そんなティラの前に立ちはだかり、毒針とナイフを持ち護っている女が一人いた。
苺花だった。
ダリア『苺花!!』
ダリアは叫ぶと、苺花の方へ真っ先に向かった。
ミラたちもその後に続いた。
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暗殺者A『よくも‥!
俺らを攫って勝手に暗殺者に仕立て上げてくれたな!!』
暗殺者B『そうだ!!
無理やり暗殺者にされて、標的を殺せなければ俺らが殺されるなんてとんでもねえぜ!!』
暗殺者C『ヘレボルスの女王が騒いでくれた今がチャンスよ!!
国王も亡くなる寸前だし、みんなで王子を殺してしまえばもう暗殺しなくて済む!!
私たちが任務に失敗して殺される心配もなくなる!!』
どうやら暗殺者たちは団結してティラを殺そうとしているようだ。
苺花『反逆者たちめ!
王子に指一本触れてみなさい‥‥。
殺してあげるわ!!』
苺花は充血した目で凄む。
苺花の異様なオーラが、暗殺者たちの背筋をゾクリと震わせる。
ティラ王子『苺花‥‥‥!お前だけが俺の味方だ‥‥!
ありがとう!苺花‥‥』
ティラは苺花の後ろで情けなく震えながら
声を絞り出した。
『苺花!!!』
ダリアが脇目も振らずに苺花の元へ走り出す。
苺花『憎らしい奴め‥‥‥
そんなに死にたいのね‥‥』
苺花はダリアの姿を見て顔を引き攣らせた。
ダリア『ごめんね。アタシ‥‥何も知らなかった。
苺花がそんなに辛い思いしてたこと‥‥‥』
ダリアはそう言って 苺花を抱きしめる。
苺花は、力いっぱいダリアを押した。
ダリアはその場で尻餅をつく。
苺花『私を憐れんでるの!?
家族に愛されなかった惨めな私を!!』
はぁ、はぁ、と苺花は荒い呼吸を繰り返す。
怒りのあまり、心拍数が上がったようだ。
ダリア『違う‥‥!』
ダリアはうまく話せないのか、
悲痛な顔をして黙ってしまった。
ミラが苺花に近づいた。
ミラ『いちご‥‥!』
苺花『‥‥‥なんで来たのよ!』
理解できない、と苺花は呟いた。
ミラ『‥‥‥来たくなかったさ。
俺を壊した男のツラなんて
見たくもなかったよ。』
ミラの言葉に、ティラが顔を上げた!
ティラ『どういうことだ‥‥‥』
ティラはミラの顔を見つめる。
ミラは少しだけ目を逸らして額に汗を滲ませる。
ニゲルは何も言わずにミラの手を掴んで引き寄せた。
ミラ『‥‥‥。
いちご‥‥‥。』
ミラがつぶやいた瞬間、暗殺者たちが一斉に苺花とティラを狙って武器を振り翳した!!
ダリア『苺花!!!』
苺花は目にも止まらぬ速さで
暗殺者達を切り裂いてゆく。
ニゲル『な‥‥なんという力‥‥』
ドサ、ドサ、と声もあげぬうちに倒れていく暗殺者達。
あっという間に全員を一人で倒した苺花だった。
ティラ『すごい‥‥すごいぞ苺花!!』
ティラは苺花を後ろから抱きしめる。
苺花は真顔のまま、遠くを見つめていた。
その間にトーアが躍り出て、ティラの目を見つめる。
トーア『ちょっと、見せてもらうよ‥‥!』
トーアの美しい天体のような瞳が
ティラの目を見つめる。
ティラ『なんだ!!こいつは!!』
ティラは、トーアのあまりに純白なオーラに
体が痺れて動かない!
トーア『うっ‥‥‥』
トーアは口元を抑えた。
ミラ『どうした!?』
トーア『あまりに醜い‥‥
耐えられない‥‥』
トーアは吐き気を堪えながら
透視を続けた。
トーア『レティアちゃん‥‥‥。
ティルケ国の暗殺者を天界に送るように依頼したのは‥‥‥
熾天使だ。』
レティア『はっ‥‥‥』
レティアはドクンドクンと鼓動する心臓を押さえた。
【熾天使‥‥?熾天使が‥‥?
なんのために‥‥?どういうこと?】
レティアの頭は混乱した。
トーアはさらに続ける。
トーア『その熾天使‥‥の名前。
ミン‥‥様。
桃色髪で、翡翠のような緑色の瞳の‥‥。』
レティア『なっ‥‥‥!!!!!』
レティアは 後ずさり、その場で頽れた。
ミラ『レティア!!!』
レティア『ラナンの‥‥母‥‥。
そして‥‥私の母、シランの1番部下‥‥。
どういうことなの‥‥!!!
なぜミンが!!!
天界に暗殺者を送り込むよう依頼したの!!』
レティアは叫ぶ。
狂ったように叫び続ける。
ミラはそんな乱心するレティアの肩を掴んだ。
ミラ『落ち着け!!レティア!!』
トーア『‥‥‥理由までは見えない‥‥‥!』
レティア『ミンが‥‥刺客を‥‥‥
それにあの日、母は
【子供達を連れて人間界へ逃げなさい!
片時も離れてはいけない】と言った‥‥。
知っていたのね‥‥!母も!!
なぜ‥‥なんのために!?
どういうことなの!!』
レティアは1人で声を上げ続ける。
レティア『首長に‥‥刺客の正体を聞いた時も
【知らなくて良い。
知ってはいけない‥‥】
そう言っていた。
母とミンの悪事を知っていて、
私のために誤魔化してくれたのね‥‥‥』
レティアは泣き出した。
ミンが刺客さえ呼ばなければ
我が子と離れ離れになることもなく、
ソニアとサンダーは生きていたかもしれないのに。
レティアの頭の中で
あの日のことがぐるぐると駆け巡る。
レティア『母はきっと、口封じのために自殺したのね‥‥‥』
レティアは泣きながらつぶやいた。
レティア『なぜ‥‥‥ミンとティラが
繋がっているの!!!』
レティアは恐ろしい目でティラを睨んだ。
ティラはレティアのあまりの殺気に
ゾクリと背中を震わせるのだった。




