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【幸せを産む天使】真の悪は、人間か悪魔か、それとも天使かー…。熾天使と悪魔の娘レティアの復讐が始まる  作者: 墨華


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海殉姫(かいじゅんき)


ニゲルの声で

レティア、マルメロ、ミラ、トーアも駆けつける。



目の前には血まみれでぴくりとも動かない

ダリアを抱き寄せているニゲルがいた。



レティア『ダリア!!!』



レティアは回復魔力を手に込め、

ダリアに投げつける。


苺花はその姿を見てフッ‥‥と笑った。



苺花『久しぶりね。レティア。


でもダリアは、特殊な魔力を持つ暗殺者アサシン

そして私は‥‥太い血管を狙った。

息の根を止めるつもりでね。


普通の回復魔法じゃあ追いつかないわ‥‥。』



レティアは

苺花がダリアを傷つけたことに

酷く怒り 感情が昂る。



ドクンドクン、と

レティアの心臓が鼓動する。



ミラ『レティア!』



シュウウウウウと音を立てて

黒い霧がレティアを包み込むと、

レティアは赤と黒のオッドアイの悪魔の姿になった。



苺花『悪魔‥‥‥!』



苺花は少し後ずさる。



レティア『ダリア‥‥‥

生きて‥‥‥』



レティアが魔力を込めると

妖しい光の球体が

レティアの手の上で輝いていた。



レティアがそれをダリアに投げつけると

ダリアはかすかにピクリと動いた。



ニゲル『動いたぞ!

ダリア!目を開けろ!!』



イーグルに巻きつけられた手紙を読んだソフィアも、騒ぎを聞きつけてやって来た。



ソフィア『ニゲル!ダリアはどうしたの!?!?』



ニゲル『苺花にやられました!!!』



ソフィア『ダリアの姉ね!

ニゲル、ダリアを運びなさい!

急いで医者を呼んで!!!』



ソフィアの指示にニゲルたちはバタバタと動き出す。



標的ターゲットの登場に

苺花はニヤリと口角を上げた。



毒針を振り上げるとソフィア目掛けて地面を蹴った!



ミラ『いちご!!やめてくれ!!

ソフィア!!』



ソフィア『速い!』



ソフィアは剣を取り出して、

毒針を地面に叩きつける。


すると、マルメロがソフィアの前に躍り出る。



レティア『マルメロ!!』



マルメロは戦闘態勢のまま、レティアに語りかける。



マルメロ『大丈夫‥‥‥私は

人間界の毒や魔力、武器攻撃は効かない‥‥‥』



マルメロは、低い声で苺花に向かって唸る。  


苺花は真顔でマルメロを見下ろしてつぶやいた。



苺花『聖獣か‥‥‥。』



ソフィア『聖獣‥‥‥?』



苺花の言葉に、ソフィアは頭に

はてなマークを浮かべる。


ミラが苺花に近づいた。



ミラ『いちご!!!』



苺花は横目でミラを見た。

真顔で 何を考えているかわからなかった。



ミラ『いちご!

どうしたんだよ?


何か理由があるのだろう?


いちごとダリアが姉妹ってことは聞いた。

ダリアのこと騙していたことも聞いたよ‥‥。


だがお前は、果実団にいたとき、

誰のことも傷つけなかった。


俺にも話してくれ。

助けられることがあるかもしれない。』



苺花は俯いて 声も上げずにボロボロと涙を流した。

そのうち 自嘲するように笑い出した。



苺花『ミラは気づいていないのね。

あなたに毒針を刺したのよ。

私はミラが思うような人間じゃ‥‥』



ミラ『知ってるよ。』



苺花『!』



苺花は目を見開いた。



ミラ『首の後ろ、だろう?』



苺花は明らかに動揺して見せた。



苺花『どうしてそれを‥‥‥。』    



ミラはその問いに、何も答えなかった。



ミラ『なあ、ティラと繋がってるのか?

なぜダリアを騙したり殺そうとしている?


お前はそんな人間じゃないはずだ!』



ミラの真剣な眼差しに

苺花の心が揺らぐ。



苺花『‥‥‥ミラ、あなたがダリアの肩を持つというなら、

打ち明けてやろうと思った。


ティラ王子に、あなたの過去を全て!!』



ミラはピクリと肩を震わせる。

ソフィアは苺花に向かって怒鳴り出す。



ソフィア『下衆ね!!!

ミラの過去を知っていてなんてこと!!』



ミラはソフィアの目を見て、首を横に振った。


ソフィアは困惑しながらも口をつぐむ。



ミラ『そうか‥‥‥。


だが、言わなかったのだろう?』



苺花は あまりに自分に優しいミラに、

どうして、 とつぶやいた。




苺花『‥‥あなたが

意地悪な人間ならよかった。


そうすれば何の躊躇いもなしに

ティラ王子にあなたの過去を暴露して

ダリアを抹殺できたのに!』



苺花の涙が、地面に滴り落ちる。



ミラ『なぜティラと繋がっている。

‥‥辛い思いをしているんじゃないのか。』



苺花『いいえ!』



苺花は怒りに近い声を出した。



苺花『ティラ王子は命の恩人。』



ミラ『何‥‥!?』



苺花『‥‥‥私はかつて 海珠村の生贄、

海殉姫かいじゅんきに選ばれた。


‥‥‥ダリアのせいで‥‥‥!!!』



その場にいた全員が、動揺で声を上げた。



ミラ『生贄だと‥‥‥?!』



ソフィア『そういえば、海珠村には、

海にまつわる【何か】を鎮める祠があったって

調査に行った兵士が言ってたわね。』



苺花の目は、闇 そのもののように真っ暗だった。



苺花『海殉姫は、真冬の1番寒い日に

海の中に沈められる。


祠の中に祀られた 呪物と共に‥‥‥』



苺花は胸元から何かを取り出した。

瓶の中に入れられた禍々しい【それ】こそが、

祠に祀られていた呪物だった。



苺花『本当はダリアが選ばれた。


贄は 村一番の美しい娘。

若ければ若いほどよかった。


でも‥‥

両親や祖母に愛されたダリアの代わりに、

私が差し出された。


7つも年が離れていながら、

身長がダリアと変わらなかった私が‥‥‥』



苺花は 今度は声をあげて泣いた。

皆の目には、苺花は ただ家族に

同様に愛されたかっただけの少女に見える。



ミラ『いちご‥‥‥』



ミラは苺花を抱きしめた。

苺花も、かすかに手を動かした。

ミラの背中に、腕を回そうとしたのだ。


でも苺花は、震える腕を下ろした。

そしてミラを押して突き放す。



苺花『優しくしないで‥‥‥』



苺花はミラに背を向ける。



苺花『恨むことを、揺蕩うから‥‥』



苺花の背は、ひどく暗く見えた。




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