ティラ王子、ダリアは生きています
ラガーとニゲルは、ダリアにもらった地図を頼りに、
海珠村があるはずの場所に辿り着く。
其処は深い森の中で、
草木が生い茂り 太陽の光が遮られている。
あたりは薄暗くて不気味だ。
海という漢字がつくだけあって、
近くには海があった。
しかし村などどこにもなく、
人ひとりいない。
ラガー『おかしいな‥‥‥まるで誰の気配もしないぜ。』
ニゲル『お前の言う通りだ。
本当にダリアの地図は合っているのだろうか。』
ラガー『そういや、弟の病気が治るように神殿に通ってたとか言ってたな。
海珠村から徒歩圏内で行ける場所にあったんじゃないのか?』
ニゲル『確かにそうだ。
ダリアが攫われたのが10歳。
ということは、10歳よりも幼い時から通っていたはずだな。
子供が1人で歩ける距離などたかが知れている。』
ラガー『んじゃ、神殿探してみよう。
村なんかなさそうだしな。』
ニゲル『ああ。』
ラガーは達は海珠村を探すのを諦めて
神殿を探しはじめる。
ラガー『それにしても‥‥
海にすら人がいないぜ‥‥‥
気味の悪い場所だな‥‥‥』
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ーヘレボルスー
ソフィア『じいや!!!』
じいやが城の中に来たようだ。
家来に案内されたじいやはソフィアの前で跪いた。
じいや『ソフィア様。マグオート国王が書状を読んだそうです。
全面的にこちらの味方で、ティルケ国を厳しく非難し、ティルケ国に弁明を求めております。』
ソフィア『そう‥‥‥』
マグオートは味方だと言うのに、
ソフィアは複雑な表情を浮かべている。
ソフィア『表向きは、ね‥‥‥』
じいや『‥‥‥ソフィア様。
今回の件で、ティルケ国の内部はかなりの混乱を起こします。
暗殺団達やティルケの民達が亡命してくる可能性が高いです。
民たちならば構いませんが、
暗殺者が紛れ込んでいればヘレボルスは危険です。
それに、アレヌス様とソフィア様の暗殺は失敗に終わったことになりますから、
再び刺客を送られる可能性も高いのです。』
ソフィア『そうね‥‥‥。』
ソフィアは考えた後に、
ハッと何かを思いついたようだ。
ソフィア『ダリア。トーア。』
トーア『どうしたんだい?』
ソフィア『トーア。これから、ティルケ国から亡命してくる人がいたら、
目を見て嘘をついてないか、透視して欲しいの。』
トーア『いい考えだね。』
ソフィア『もしも、嘘をついていなければ、
空いている兵舎に通して。
もしトーアが透視しても、見えない特殊な魔力を使っていたら‥‥‥
次はダリアの元へ並ばせて。』
トーア『なるほど。わかったよ。
ダリアちゃんと同じ、ティルケ国の暗殺者の可能性が高いからだね。』
ダリア『ソフィア 頭いいわね〜ッ!!
流石女王様!!!』
ダリアは感激したようにその場で飛び跳ねた。
ダリア『任せてッ!
トーアがオーディションして落とした奴らの魔力を探るからッ!!』
トーア『オーディションって‥‥‥
ダリアちゃんは随分と楽しそうに話すんだねえ。』
トーアはおかしそうに笑った。
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ミラは心因性のものなのか、妙薬を飲んでも下腹部が痛むらしく、
城の中のベッドで休んでいた。
レティアはミラが心配で付きっきりで見ているようだ。
心なしか、ミラの表情も元気がない。
ティラへのトラウマが蘇っているのだろう。
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数時間後、ニゲルとラガーが血相を変えて城へ帰ってきた。
ニゲル『ソフィア様!!!ソフィア様!!!
大変です!!』
ニゲルとラガーの顔は真っ青だ。
ソフィア『何!?どうしたと言うの?!』
ニゲル『それが‥‥気それが‥‥‥』
ニゲルが半分パニックになっているのをよそに、
ラガーが口を開く。
ラガー『海珠村は‥‥もうとっくに滅びていました‥‥‥』
その場にいた全員が目を見開いた。
ダリアは足から頽れて、ワナワナと震えている。
ダリア『そんな‥‥!!そんなはず‥‥‥!!
じゃあ、アタシの弟が元気って話は?
高い妙薬買って、知り合いの盗賊にお金払って
送り届けてもらって、弟の様子を見てきてもらってるのよ‥‥?
もう何年も!!!
そんなはずない。
そんなはずないわッ!!
滅びているはずないじゃないッ!!』
ダリアは取り乱している。
トーア『ダリアちゃん、落ち着いて!』
ダリアはワンワンと泣き出した。
ダリア『落ち着いていられるッ!?
弟の病気が良くなったと思って‥‥
いつかティラの罪を暴いて、
暗殺女子をやめて、
家族に会うことだけを‥‥‥
それだけを目標に生きてきたのにッ‥‥!!
滅びたってどう言うことよッ!!!』
ダリアはニゲルとラガーに泣きながら詰め寄る。
ラガーもニゲルも俯いたままだ。
ダリア『オッサン!嘘は許さないわよッ!!
嘘って言ってよッ!!
ねえ!!
じゃあ弟はどこにいるの?
お母さんは?
‥‥どこなの?生きてるよね‥‥?』
ダリアは震える声で問いただす。
ニゲルは、険しい表情を浮かべたままだ。
ニゲル『村は‥‥全部跡形もなく焼かれていた。』
ダリア『はっ‥‥‥』
ダリアは胸を抑えてその場に倒れ込んだ。
ニゲル『ダリア‥‥!』
ダリア『そんなはず‥‥そんなはずは‥‥ッ』
はぁ、はぁ、と過呼吸を起こし出すダリアに
ニゲルが駆け寄る。
ソフィア『ダリア!落ち着いて!
ニゲル。ダリアをベッドに運んで!』
ニゲルは返事をすると、ダリアを抱き抱えて運んでいく。
ソフィアは兵士を呼びつけると、
海珠村の焼かれた原因を探るように言いつけた。
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しばらくするとダリアは落ち着いたようだ。
ダリア『取り乱してごめんね‥‥‥』
ソフィア『無理もないわ。』
悲痛な表情を浮かべるダリアに、
ソフィアは優しく声を掛ける。
ラガー『なあ、この前から気になってたけど、
お前の知り合いの盗賊って誰なんだよ。
弟に薬届けたり弟の様子を見にいってくれていたはずなんだろ?』
ダリアはこくりと頷いた後、静かに口を開いた。
ダリア『アタシと同い年くらいの女の子なの』
ラガー『名前、見た目、教えてくれ』
ダリア『名前は苺花
髪色はアタシに似た赤色かな。
長さはボブくらいで身長低めの小柄な子だよ』
ラガー『そいつ、次いつ会う予定だ』
ダリア『‥‥‥1ヶ月に一度
妙薬とお金渡してて‥‥
アタシの任務の時しか自由に行動できないから、
もし会うとしたら、ソフィアたちの次の標的の暗殺命令が出た時かな。
けど、アタシ、死んだことになっちゃったからね‥‥‥』
確かに、とその場にいる全員は頷く。
ソフィア『‥‥‥弟は元気だと嘘をついて
あなたからお金をむしり取り、妙薬も奪っていたということ‥‥?
海珠村が滅びていたこと、知っていたのかしら。
下衆ね!
どうしたらその子を誘き寄せられるかしら』
ラガー『ちょっと考えようぜ』
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ーティルケ国ー
王子ティラ『チッ!あの有能なはずのダリアが殺されたと言うのか!
一体ヘレボルスの力はどうなっている‥‥‥
ダリアは魔力攻撃が効かないはずだぞ!』
ティラはパニックに近い怒声を上げている。
『ティラ様‥‥‥』
ティラの座る玉座の間に、赤髪の小柄な少女が入ってくる。
王子ティラ『おう。苺花か。
どうした。』
苺花はティラの真ん前まで来ると、
跪いた。
苺花『ダリアは生きています。』
ティラは目を見開いた。
ティラ『何!?』
苺花はティラの反応を見ると、
バレないように口角を上げた。




