毒苺
『‥‥ティア、レティア。』
ミラの声が聞こえる。
レティアは目をパチリと開けた。
ミラ『起きたか。レティア。
ゴーキーが偽死体を作り終えたぞ。
本当にダリアそっくりだ。』
レティア『いつのまに!!!??
すごいわ!!!
ごめんなさい、寝てしまって‥‥‥。
今何時?』
ミラ『11時前だよ。
ダリアもすっかり顔色良くなったな。』
ダリアはまだ眠っていた。
今朝は青白かった顔色も、すっかり頬に血色が戻っている。
レティア『本当だ。
ママの食事と睡眠をとったものね。
ミラは大丈夫?』
ミラ『心配いらないよ。
俺も下のソフィアで寝てたから。』
2人が話していると、ダリアが伸びをし始めた。
ダリア『ふわぁ〜‥‥。
ん〜〜‥‥‥
はっ!!!!今何時!?』
ダリアは飛び起きる。
暗殺者としての感覚が抜けていないのだろう。
ミラ『起きたか。
11時前だよ。
ゴーキー、もう作り終えたぞ。
ダリアそっくりの死体ができたぞ。』
ダリア『本当に!?!?』
ミラ『ああ。行こうか。』
3人は1階へと降りていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3人が下へ降りるとゴーキーが口を開く。
ゴーキー『やっと起きたか 人殺し女〜っ!!
ほら、できたぞ!!!』
床に、白い布が被せられた物体があった。
ゴーキーが布を剥ぎ取ると、
血まみれの ダリアの死体があった。
レティア『キャーーーーーーッ!!!』
レティアは 震えながら叫び、後ずさる。
ラガー『レティア。偽物だって!』
ラガーがニカッと笑うと、
レティアは安心したように胸を撫で下ろす。
レティア『ああ、そうだった‥‥‥。
本当にそっくりね!?
びっくりした‥‥‥。
ゴーキー、すごいわ』
ゴーキー『そうだろぉ!?
感謝しろよ! ミラ! 天使女!
あと人殺し女!!!』
おいおい、とラガーがゴーキーに言う。
ラガー『その呼び方、どうにかならないのかよ。』
ゴーキー『事実だろうがぁっ!!!』
ラガー『ったく‥‥‥』
ラガーはダリアに向き直し、自己紹介を始める。
ラガー『挨拶遅れたな。
俺はラガー。
元々は、ミラがお頭の盗賊団だったんだけど
今は俺が お頭やらせてもらってるんだ』
ミラ『俺の一番の相棒だ』
ラガーとミラは顔を見合わせて笑う。
ダリアもそんなラガーに自己紹介を始める。
ダリア『こちらこそ。
アタシはダリア。
ティルケ国の暗殺者で‥‥‥』
ダリアは口ごもりながら、気まずそうに話している。
それを被せるように、ラガーは口を開く。
ラガー『ママから聞いた。
話はわかってる。
俺も協力するからな!!』
ラガーはダリアに笑って見せた。
ダリアはすぐに、ラガーが気遣ってくれていることに気づき、眉を顰めて笑う。
【ありがとう】と、聞こえるかわからないくらいの声で呟いた。
ミラ『じゃあこれ、ヘレボルスに運んで行かないとだな』
レティア『そうね』
ママ『ダリア。そんな格好じゃ、すぐ影の者だってバレるだろ』
ダリアの服装は 全身黒い衣装で、
顔を布で覆っている。
更に、凶器や武器が腰回りにぶら下がっており、
かなり目立つ。
ママ『ほら、私の服をあげるからおいで』
ママはダリアを自室へと招いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ダリアがママの部屋にいる間、
ミラとレティアはラガーと話していた。
ラガー『そういや、もうすぐ柚子たちが帰ってくるぞ!
お前たちに会いたがってたからさ!』
ミラ『本当か!俺も皆に会いたかったから楽しみだ。
すると、玄関のドアがガチャリと開いた。
柚子、桃、いちご、そして布道がやってきたようだ!
柚子『ミラ!!!レティア!!!』
桃『きゃ〜っ!!!ミラ!!』
ミラ『おっと。』
桃『ミラ!!元気だった!?!?
会いたかったよ〜!
ミラっ!!』
桃は号泣しながら、勢いよくミラに抱きつく。
ミラはそんな桃に優しく微笑みながら
抱きしめ返した。
ミラ『ああ。元気だったよ。
桃も変わらずだな』
桃『何ヶ月も連絡よこさないんだから!!
あ、噂聞いたよ!
青緑色の髪の女の子と、盗賊の美青年が、
ソフィア王女と共にヘレボルスを助けたって。
ミラとレティアのことだよね』
ミラはフッ‥‥と笑ったあと静かに頷いた。
いちご『ミラ‥‥‥レティア‥‥‥
さすがだね‥‥‥!』
するとママとダリアが戻ってきた。
ママ『お。帰ってきたんだ』
柚子『あれ、その女の子は?』
ママ『ああ。紹介するよ。
ダリアっていうんだ』
急に、いちごが何かを思い出したように、
玄関のドアを開けた。
柚子『どこ行くの?いちご』
いちご『‥‥‥用事が‥‥‥』
そう言って、いちごは外へ出ていった。
柚子『どうしたんだろ。珍しいね』
桃『そうね。まあいちごは不思議ちゃんだからね』
ダリア『はじめまして。アタシはダリア』
ダリアは柚子たちに、
ティルケ国の暗殺者であることや自分の故郷、そして今までの経緯を話した。
柚子『そんな‥‥‥それで無理やり暗殺者に‥‥‥!!!
標的を殺さなければ殺されるなんて‥‥そんな辛いこと‥‥』
布道『やっぱりティルケ国は碌でもないな!』
桃『本当にね!!!
絶対ダリアを殺させはしないんだから!!』
柚子『でも、ダリアの故郷の海珠村ってところ、
私 聞いたことない。
ラガーは聞いたことある?』
ラガー『うーん‥‥‥
名前自体は聞いたことある気がする』
布道『今度行ってみよう』
柚子『そうね!!それが1番早いかも!』
ミラ『まあいい。俺たちは時間がない。
とりあえず ヘレボルスへ帰る。
ゴーキーの作った偽死体を使って、ダリアを守る』
全員は強く頷いた。
ラガー『そうだな!
あ、俺も送ってくぜ!
ヘレボルスの場所も知りたいしな。
何かあったら応戦するぜ!』
ラガーもヘレボルスまで着いてくることになり、
他の果実団の皆とは一旦お別れとなった。
ダリアはゴーキーの前に立ち、頭を下げる。
ダリア『ゴーキー。ありがと。
恩は忘れないから』
ゴーキーは横を向いたまま、手をひらひらとさせて言った。
ゴーキー『ふん!!』
ミラ『行くぞ』
ダリアとレティアはママにもお礼を言って、
凋落の街を後にする。
ヘレボルスの馬に跨り、魔力を込めて
全力で走らせた。




