開始
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全天アトラス : 稼働中
擬似天球ミュール : 稼働中
ミリシアフォルダ : ロード中
SCENE LOAD
TITLE : 開始
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「ラッツさん、それ取って」
「これか?ほれ」
「ありがとう〜」
これこれ、コレをかけると美味しいんだ〜。
「……、かけすぎじゃねーか?」
「そう?」
コレくらいが丁度いいのだ!
「そうだ、ラッツさん」
「なんだ?ミリシア」
「迷宮って、何?」
「ぐほっ! ゲホッゲフッゴホッ」
あ、ラッツさんがすごい咳き込んでる。
「……お前、それ、誰に聞いた?」
「軽口さんだよ」
「……誰だ、それ」
あれ?知らないのかな?
「誰って軽口さんだよ、名前は……えっと……カ、カ、軽口さん?」
「ほんと、誰だよ!?」
「そうだ!ララさんが、ああ言うのはチャラい優男って言うんだって言ってたよ。後、えっと、金髪の人!」
「金髪で……口調が軽い……、ああ、カイルか」
「そうそう、そんな感じ?の名前」
そうだった、そんな名前だった気がする!
「その軽口さんが、迷宮の事色々話してた。でも、すごいとか、かっこいいとか、そんなのばかりで……」
軽すぎて分からなかった!
「なら、ラッツさんなら知ってるかなって」
さあ、ちゃんと教えて?
「聞いてどうする」
「さあ?」
「さあって、お前……」
「で、どんな所なの?」
「…………。」
ラッツさんが固まっちゃった。
「おーい、ラッツさーん」
「……危い所だ」
「でも、軽口さん行ったみたいだよ?」
「……あいつは!……あとで締める」
「軽口さんは締めて良いけど、迷宮について教えて?」
「…………はぁぁぁ。仕方ねーなー」
お?
「行くなよ?絶対行くなよ?分かったな?」
「はーい」
さあ、教えて!
「危ない所だ」
ん?
「それで?」
「それだけだ」
「……ラッツさん」
なるほど、よく分かった。
「街に行ってララさんに聞いてくるね♪」
「な!待てミリシア!」
「待ちませーん」
ララさんがギルドにいるかなぁ?
「あれ? ミリシアちゃん、どうしたのさ」
「あ! 軽口さん、ラッツさんが後で締めるって言ってたよー」
「へ?.……なんで!?」
「ララさーん、ちょっと良いですかー?」
軽口さんが騒いでるけど、今はいいや。
「な〜に? ミリシアちゃん」
「迷宮ってなんですか?ラッツさんは、危ない、しか教えてくれなくて……」
そう、ラッツさんは適当です。
「そう、ラッツが……」
あのララさんが神妙な顔を!
「ねえ、ミリシアちゃん」
「はい!」
背筋がピンッってなった。
「迷宮行きたい?」
「気になってます!」
「なら、良いこと教えてあげる」
なんだろう?良いこと?
「ラッツにこう言いなさい」
うんうん。
「迷宮に行けるように鍛えて下さいって」
「……なるほど!」
そうか、その手があったか!
「ラッツさーん!」
「もう帰ってきたのか?」
「迷宮行きたいので、鍛えて下さい!」
訓練です!
「………………ララか」
ラッツさんの顔をじっと見つめる。
「じーーーーーー」
「自分でじーーって言うな。それに迷宮なんぞ、楽しい場所じゃねーぞ」
「でも、行かなきゃ分かんないよ?」
「……はぁぁぁ。そうか、そうだったな」
おお、すごいため息、どうかな?いけるかな?
「なら、条件は一つだ!訓練を突破しろ!」
「はい!」
やった!
「ミリシアお姉ちゃん、何するの?」
なにするんだろうね?
「……訓練?」
「俺ら呼んで?」
ほんと、なんで子供達?
「よーし、よく集まったなお前ら」
「おじさん、今日は何すんだよ」
「今、説明すっから待ってろ」
ラッツさんが真面目な顔で!……珍しい。
「まずはミリシア!お前は隠れろ! 範囲は山小屋までの道沿い、期間は一週間、日の出から日没まで誰にも見つかるな!」
なんと!
「かくれんぼ?」
「そうだな、かくれんぼだ」
かくれんぼ……。
「ガキどもは、ミリシアを探せ!見つけたやつには小遣いやるぞ!」
「!!!!」
あ、みんな目の色が変わった!
「ミリシアは隠れろ、ガキどもは少し待て。それじゃあ開始だ!」
枝や草を避けて、しゃがむ。
跡は残ってないと思うし、大丈夫かな?
遠くに子供達が騒いでる声が聞こえる。
まだ、距離はあるなぁ……。
「ミリシアねーちゃんどこにいんだろ?」
「こっちじゃない?」
「ちげーよ、きっとこっちだよ」
「あ、あそこ!草が揺れた!」
「え!どこ?どこ?」
「あっち、あの辺!」
「いねーよ?」
「みたもん!」
いつも、元気な子達だ。
おかげで、場所がはっきりと分かる。
今の所、見つかる感じはないな〜
「俺らに、ねーちゃん見つけられんのかな〜?」
「お姉ちゃんいつも優しいよ?」
「そう言う事じゃねーよ」
「そうなの?」
「そうだよ!」
「ふ〜ん」
「…………あ〜、無理かな〜」
「あ、チョウチョ!」
「待て待て、離れるな!」
うん、元気!
ガヤガヤと騒ぎながら子供達が歩いて行った。
ひとまず、安心。
しばらく、そのまま周りを見る。
風……。
音……。
匂い……。
異常無し
また子供達の声が聞こえてきた。
念のため、少し移動しよう……。
「おじさんが、この辺って言ってたけど……」
「居ないね?」
「こっちかな〜?」
「あれ〜?」
「どこだろう?」
ガサガサと子供達が草を掻き分ける音が聞こえる
危なかった〜!
移動しといて良かった。
ラッツさんめ、子供達に教えたな?
これは気合い入れないと危ないかも!
子供達の声が前を通り過ぎていく。
足音は……全部で5人
全員行ったな〜、よしよし。
もうすぐ日没だし、今日はクリアかな?
あれから4日……子供達が通るけど。
なんで、探さないんだろう?
真っ直ぐ山小屋の方へ歩いてく……。
なんだか怪しいなぁ……。
これ、訓練になってる?
確かに、じっとしてたり、周り探ったり大変だけど。
ラッツさんが、こんな優しい訓練するはずないのに……。
おかしいなぁ?
「あ!ここ!」
急に聞こえた声に肩が上がる。
……近い?
「おじさんが教えてくれたのと同じだ!」
「きっとこの辺にミリシアねーちゃんいるぞ!」
……マジか!
ラッツさん、子供達に索敵教えてる!
「近いはずなんだけどなぁ?」
「居ないね?」
「なんでだ?」
すぐ近くまで来てる
迂闊に動けないなぁ、これは。
「こう言う時は音とか風とか探れって言ってたよ?」
「そうか!んじゃみんな、少し静かにな!」
「はーい」
ぎゃーー!
風読みとか、教えてるー!
ダメだ、呼吸を落として、気配を薄く……
私は
ここに
居ません
よ〜
「だあぁぁ!ダメだーわっかんねー!」
「ミリシアねーちゃんいねーな?」
「動物とかは、いるんだけどなー?」
「お姉ちゃんすごいね!」
「ほんと、それな……」
「もう、全部探そうぜ!」
「全部ってどうやってだよ」
「そりゃお前……全部だよ!」
「ああ、ちくしょう、居そうなんだけどなぁ?」
はい、すぐそばに居ます
「もっと、あっちかもしれねーぞ?」
「行ってみるか……」
「もう、いくのー?」
「おう、遅れるなよー」
「はーい」
「じゃーねーお姉ちゃん」
……こっちに向かって手を振ってる?
これ、見つかってる!?
「何してんだ!いくぞー」
「はーい」
え?なんで?
……何が?
…………うそでしょ?
バタバタ足音を立てて、子供達が走っていく
見つかった?
なんで?
びっくりしたままその日が終わった!
「ラッツさん!子供達になに教えてるの!?」
「あ?索敵だよ索敵」
「今日、私、見つかりそうになったんだけど!」
「そりゃ上々、なかなか筋がいいぞあいつら」
ほんと、そう!
「あと……あの子どうしたの?」
「もしかして、テティスか?」
「そう、今日ね、隠れてる私に手を振ってた……」
「………………お前、見つかってるじゃねーか」
「そのまま、走ってっちゃったから大丈夫!」
「よし、あいつはもっと鍛えよう!」
あ、しまった!
「……そうなるの?」
「そうなるな」
これは、まずいぞー!
昨日の夜に判明したラッツさんの犯行!
テティスがどう動くかな?
まだ、遊んでる気分なら大丈夫かもだけど……
今日は念入りに隠れようっと
そうだ、そうしよう!
周囲に溶け込むように草で作った外套をかぶる
土や泥で匂いを消す
さらに、地面を掘ってそこへ!
気配を消したら完璧!
今の所異常無し
あ、うさぎが目の前に!
このままじゃ、今日の晩御飯が……
せっかく、目の前に居るのに!
「今日はこの辺っておじさん言ってたぞ?」
ああああ、晩御飯が逃げていく〜
「ほんとかよ?昨日はいなかったぞ?」
「今日はお姉ちゃん居ないね?」
「今日はって、昨日も居なかったじゃねーか」
「居たよ?」
「居たってどこにだよ」
「? お姉ちゃん、昨日居たよ?」
「……は?お前何言って」
「みんなの、すぐ横」
「………………は?」
「こう、草むら方。見えなかったけど、居たよ?」
「……居たのかよ」
「しかも横って……マジか」
「でも、今日は居ないの」
やっぱりテティス、あの子分かってた!
あっぶなー
ふふふ、今日はこのまま隠れてよう、そうしよう。
「ラッツおじさんに教えてもらったやり方試すね?」
「あーあれか」
「お前、出来るのか?」
「うん」
え?
なにする気?
「えっと……こうやって……“お姉ちゃんの場所を教えて? コールディテクト“」
これは……魔法!?
まずい、急げ!
”我が身を隠せ! コールハイド”
「……あれ?見えない?……なんで?」
「どうだ?分かったか?」
「……お姉ちゃん見つからないよぉ……ぐすっ」
「わ、わ、泣くなよ、ほら、涙拭け」
「…………うん」
心が痛い!
テティスごめん!
ラッツさんが魔法まで教えてるなんて!
今日はそのまま日が暮れた。
テティス、ほんとごめん!
今日は訓練最終日だ。
テティス大丈夫だったかな?
それにしても、なかなか来ないな。
もうすぐ、夕方なのに……。
あれ?
なんで、テティス一人?
ふらふら歩いてる……。
俯いてて顔も良く見えないな。
あ、つまずいた!
大丈夫かな?
どうしよう、様子がおかしい……。
……でも。
え?
急に
テティスが
倒れて?
動かない……。
ちょ、なんで!
「テティス!」
隠れてる場合じゃない!
「大丈夫?どこか悪いの?」
抱き起こしても、ぐったりしてる。
「テティス!テティス!返事をして!!」
ん?袖が……
ガッチリ掴まれた?
「おね〜ちゃん、み〜つけた〜!!」
ねえ、テティス?
なんで満面の笑顔なの?
「おおお!やったなテティス!」
「すげー、ほんとにうまく行った!」
「おじさんすげー!」
「えへへ〜」
「……テティス大手柄」
みんな出てきた。
やられたーーーーーーー!!
「おう、上手くいったな!」
「これ……ラッツさんの入れ知恵?」
「……そうだな」
「ミリシアおねーちゃん!」
わっ!?
テティスが抱きついてきた!
「おねーちゃん、テティス頑張ったよ」
「そうだね、すごかったね」
ほんと、すごくびっくりしたよ。
「大変だったでしょ?」
「ううん、楽しかった〜」
「そっか、楽しかったか〜」
「こいつが、こんな出来るとはな……」
「ラッツさんも、知らなかったの?」
「ああ、ミリシア見つけたって聞いて、教え込んだが……想像以上だったな」
ほえーーーそうなんだ。
「すごいねー、テティス!」
思わずグルグル回っちゃう
「きゃーーー」
「あははははは」
「じゃあ、つぎの段階だな……」
「………………次?」
終わって……ない?
「これで、終わりなわけないだろう?」
そ、そうなんだ………………
「おねーちゃん、頑張って!」
テティス、ありがとう〜
「……うん、頑張るよ」
ああ、テティスそんなに揺すらないで。
空が青いなぁ……
あ、鳥……。
今日は、鳥鍋にしよう、そうしよう。




