試行
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全天アトラス : 稼働中
擬似天球ミュール : 稼働中
ミリシアフォルダ : ロード中
SCENE LOAD
TITLE : 試行
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「ねぇ、ラッツさん」
「なんだ、ミリシア」
「これ、どう言う状況?」
「……なんでだろうな?」
「潜伏訓練が街のお祭りになってるじゃん! ほら、出店まで出てる!」
「俺は街の奴らに、協力を頼んだだけだぞ?」
「おー、来たな!みんな〜主役の登場だー!」
「やっと来たな!」
「よっしゃ、待ってました!」
「頑張れよーミリシアちゃん!」
ひぃぃぃぃ!
「ほら、大事になってるよ〜!」
「……まあ、あれだ。頑張れ」
くそぅ、ラッツさんめ!
適当に山に放り込まれた!
まさか、街のみんな総出で探すとか。
「おい!この辺は居ないぞ!」
「こっちもだ!」
山狩じゃーーーーん!
ひぃぃぃぃ!
どこだ?どこに隠れれば。
「……絶対こっちだ!」
ひゃあ!
いきなり突っ込んできた!
これは、距離取った方が良さそう。
見た感じ結構バラけてるから、行けるかな?
ふぅぅ〜。
ここまで来れば、しばらく大丈夫かな?
日没までって言ってたから、隠れてよう。
ふふふ、私の潜伏技術を見てみよ!
いや、見られたら困るけど。
「!!」
なんで?
肩に……手が?
「ほっほっほ、ミリシアちゃん、まずは一回発見じゃな?」
「お、おじいちゃん?」
「それじゃ、ワシは一回麓まで戻るでの、頑張るんじゃぞ?」
……一体なにが。
「ほっほっほ」
笑いながら行っちゃった。
その日は、おじいちゃんに3回見つかった。
街のみんなの本気を舐めてました。
すみません、許してください!
どこに行っても、誰かが居る。
……ここにも。
「どうだ?居たか?」
「いや、見つからねーな?」
「右手の班はどうだろうか」
「あっちもまだみたいだな、合図が無い」
組織作ってるし。
合図ってなにさー!
「このままじゃ、じーさんに持ってかれるぞ?」
「んな事言ったってよー、俺らじゃ同じ事は出来ねーぞ?」
「それも、そうか……」
おじいちゃん何者?
でも、今日は居ないのかな?
なら、今のうちに。
「お〜い、こっち来てみろ!」
「なんだ?見つけたのか!」
「良いから、来てくれ!」
お?引っかかってくれた?
すこーし、痕跡残しておいたんだよねぇ。
うひひひっ
さあ、みんな左手に移動して!お願い!
「半分は左へ、残りは右手班と合流してカバーしろ!」
適切!
いやぁぁ!
人が減らない!
なんとか、2日目は逃げ切った!
これ……潜伏訓練だよね?
隠れてる悪い人みたいだよぉ。
3日目……
今日はおじいちゃん来るかな?
山狩りは相変わらず。
でも、少しずつ動きが分かってきてる
狙い目は、あの人の周辺。
「クソっ!枝が邪魔だ!」
周囲の観察も甘いし、大きな音を立ててくれてる。
「どこに居やがるんだよ!」
ここ、ここ。ここに居るよ〜
「おい、あんまり音を立てるな!」
「うるせー、指図すんな!」
「そうかよ、俺はあっち探すからな」
「おう、行け行け」
そうだよ〜あっちに行くと良いよぉ〜
おかげで周囲の人影が減ったね。
近くに居ても良いけど……。
これは、穴が空いたかな?
よし、移動です。
包囲を抜けて山裾へ!
びっくり、全然人が居ない!
よしよし、コレで安泰!
「ミリシアちゃん、こんな所じゃ見つかってしまうぞ?」
「お、おじいちゃん……」
まただ、なんで見つけられるの?
「そうだ!ねぇ、おじいちゃん」
「なんじゃ、ミリシアちゃん」
「隠れ方教えて下さい!」
そう、聞けば良いのです!
「なるほど、そう来たか、ほっほっほっ」
「お願いします!」
「良いぞ、可愛いミリシアちゃんの頼みじゃしな。ではまず基本から──」
4日目は、私無双です。
おじいちゃんすごいなぁ。
誰にも見つからないや。
ちょっとした事だったけど、こんな違うんだ。
おっと、真横に。
「こんだけ探して居ないって、どういうことだ?」
「本当に居るのか?」
「じーさんは見つけてるらしいぞ」
「マジかよ……」
マジです。
「せっかく、ラッツの奴に奢ってまで、場所聞いたのに!」
「これじゃ、意味ねーな」
ラッツさんが私の情報売ってる!
「この辺に人集めるか?」
お?
「そうだな、よし、合図送れ全員でここに集合すれば炙り出せるだろう」
なるほど!
じゃあ、離脱しま〜す
サクッと突破です。
人の動きも分かるし、隠れるのも簡単になった。
視線から外れなさいって言ってたから、死角に入るように動いただけなんだけどなぁ。
そのまま誰にも見つからなかった!
5日目……いきなりリンダさんに捕まった!
「リンダさん、今……どこから?」
「どこって、山裾からかしら?」
「ここ、中腹だよ?」
「そうね〜、それじゃ戻るわね」
意味がわかりません!
また、リンダさんが目の前に……。
周りには、誰も居なかったはずなのに!
「ねぇリンダさん、どうやってここへ?」
「どうって、こうギューーってして、シュパーってやって、キュッ!っと」
「うん?」
……か、感覚派!
結局、最後までリンダさんの事は分からなかった!
「おじさーん、串焼きくださーい!」
「おう!まいど!ミリシアちゃんお疲れ、すごかったなー!」
「えへへ〜、ありがとう!でも、おじいちゃんとリンダさんには見つかっちゃった」
「他の奴らには見つかってないだろ?大したもんだ、ほれ串焼きお待たせ。次もがんばれよ!」
おお、美味しそう!
「ありがとう、おじさん!」
屋台堪能しました!明日からも頑張ろう!
草を避けて山を進む。
柔らかそうな地面に、わざと痕跡を残す。
枝を避けて岩を登り、崖の下まで移動。
慎重に慎重を重ねて、痕跡を付けたり隠したり。
今度の相手は冒険者、同業だ。油断は禁物です。
……なんて思ってたのに!
誰も来ない!
ララさんが言ってたのはコレか〜
訓練頼まれてるのにお酒飲んでるから、おかしいなぁって思ったんだよね。
これは、今日はこのままかな?
あ、あれは。
「ミッリシアちゃーん、どっこかな〜?」
やっぱり軽口さん。
「お?痕跡発見!ダメだよ〜、こんな初歩的なミスしちゃ〜。俺たち冒険者には通じませ〜ん」
……酔ってる?
「あっれ〜?おっかしいなぁ?なんで居ないんだ?」
そこには居ませんよー。
軽口さんが痕跡辿ってどっか行っちゃった。
あれから、何人か来たけど。
みんな、どこ見てるんだろう?
あ、そこも誘導だよ〜。
そのまま呆気なく一日終わった。
朝から大量の冒険者達が!
急に、どうして!
「おい、そっちから回り込め!」
「おう!」
やばい、これじゃ見つかっちゃう。
ん?コレって……罠?
でも、ちょっと作りが甘い。
ここをこうして、こっちはこう。よし!
あ、此処にもある。
「───────!?」
「────────!」
叫び声?
見に行ってみよう。
「なんだ?罠があるぞ!」
「ぎゃーーーーー!」
「うわ!俺の罠が!」
「お前何やってんだ!!」
「ちげーよ!罠が変えられてる!」
あ!
私が直したやつだ!
冒険者が大漁でした。なんかごめん。
今日は朝からちょっと頑張った!
色々仕掛けたから、楽しんでくれるかな?
「──────!?」
「─────」
「───────!」
いっぱい声が聞こえる。
でも、遠い?
「おい、これ、どうなってんだよ!」
「知らねーよ!昨日はこんなじゃなかったぞ!」
「マジかよ……罠だらけだぞ」
「ぎゃーーーー!」
「うわぁぁぁあ!!」
「こっちは無理だ!戻れ!戻れ!」
撤退かな?
今のうちに直しとこう。
でも、そっちもあるよ〜?
「──────!」
ほら。
罠を直してるだけで、日が暮れた。
朝露の中、高い木を見つけた。
登ってみたら山の麓までよく見える。
「ここ気持ちいい!空の様子も……。ん〜、ちょっと湿気が強くなってきた?」
天気崩れるかな?
「─────!」
「────!」
騒いでる声が聞こえてくる。
みんな楽しそうで良かったよ〜。
……あれ?
あそこ、なんで?
今、木が倒れた?
「!!!!」
何!?
今、すごい寒気が!
体が勝手に動いた。
下まで飛び降りて、直後走り出す。
目の前の木をすり抜ける。
足場の確認の前に踏み抜く。
逃げろ!
逃げろ!
枝が邪魔だ
根っこが邪魔だ
谷!
飛び越えろ!
着地と同時に直角に曲がる
走る
走る
背後の気配がどんどん大きくなる。
近いてる?
誰が?
気配はワザと?
大きな根を素早く抜ける。
曲がっても付いてくる。
全身を使って向きを変える
幹を蹴って枝に飛び乗る。
速度を上げる。
このままじゃダメだ。
追いつかれる。
二人居る?
しなりを使って加速する
どうする?
どこへ?
もっと早く。
気配を薄く?
違う。
この方向なら、あれが使えるかも。
走る。
気配は荒れたように!
慌ててるように!
少し遅く。
枝を折れ。
地面を強く踏み込め。
痕跡を大きく。
限界を演出しろ!
──見えた!
大量に設置した罠の中に全力で突っ込む。
やりすぎて近づけなくなった場所!
空中で体を捻る。
わずかな隙間を蹴る。
手を使って
足を使って
隙間を抜ける。
上も下も右も左も
全てが罠だ。
つま先に力を込めろ。
指先に集中しろ。
抜け!
たぁーーーー!
最後に小石を投げ入れる。
今だ。
呼吸を落とせ
動きながら空気になれ!
背後の罠が動く音に紛れろ!
大きな気配が離れる。
そのまま走る。
痕跡を隠せ
気配を隠せ
呼吸も邪魔だ
──急げ!
「ぶはぁ!!ゼェ、ゼェ、はぁぁぁぁ〜。こわかったぁぁぁ! !」
急いで息を……。
いつ見つかるか分かんない。
気配は薄いまま
呼吸も浅く維持
慎重に。
木の上からが失敗かぁ……。
反省反省。
昨日は本当に怖かった。
今日は絶対油断しないでおこう。
夜から降り出した雨が冷たい。
でも、隠れるには好都合かな?
「ララ、分かるか?」
「ダメ、この雨じゃ、匂いも音も紛れてる」
ララさんとドルフさん。
「昨日はいい所まで行けたんだがな」
「逃げられちゃったわね〜」
昨日の怖いの!
……離れとこう。
「────────!」
「─────!?」
他のみんなは罠で遊んでる。
少し麓行ってみようかな?
出店の匂いがしてきた。
お腹なりそう。
いいなぁ、まだかなー?
冒険者のみんなは、私に気が付かないで通り抜けてく。
大丈夫かな?
もうちょっと近くまで。
「ラッツ!ミリシアが見つからないぞ?」
「この雨じゃ無理ね〜」
「……そうか」
「おーい!!ミリシア!もう出てきていいぞーーー!!!」
うわっ大きな声
ララさん耳押さえてる。
……でも、良いんだ!
「はーい」
「「 !!!!! 」」
「……ミリシア」
「何?ラッツさん」
「お前、今日の晩飯一品抜きな」
「なんで!!!」
「なんでってお前、出てきちゃダメだろうが……」
「あ!……でも、呼んだのラッツさんじゃん!ひどい!」
「……おいラッツ」
「ちょっとラッツ!」
「……なんだよ、うるせーな」
「分かってたのか?」
「さあな……」
なんの話だろう?
でも……一品抜き。
お腹減ったよぉ〜。
私の晩御飯のお肉はラッツさんが食べた!
ちくしょう!




