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全天アトラス    : 稼働中

擬似天球ミュール  : 稼働中

 ミリシアフォルダ : ロード中


SCENE LOAD

TITLE : 手

------------------------------------------


嫌だ!


もう全部

全部


見たく無い

聞きたく無い


全部


こんな

草の匂いも

土の感触も

山の空気も


全部

全部!







..........。


..え?


「ここ…」

「知ってる....」


里の裏の山の上だ。

一昨日置いた綺麗な石

マイクが持ってた枝

マリーが集めた小さな花

全部知ってる。


熱い風

遠くに里が見える

真っ赤に燃えてる

広かった講堂も

煙で見えない。



巫女様

巫女様....。


お父さん

お母さん

リゲル....。

大好きだった親友のマリー

いつもちょっかいかけてくるマイク

みんなみんな



涙が溢れる

体が震える

苦しい


息が

音が

目の前が


自分が今どうなってるかも分からない

立ってる?

座ってる?

泣いてる?

息、してる?

怖い

怖い

怖い

怖い






どれくらい経ったんだろう。

少しかな、長くかな。

手のひらに刺さる小石が痛い

膝がジンジンする

身体中がピリピリする


でも息は出来てる。


「生き...てる...?」


里はまだ燃えてる。

さっきより燃えてる。

大きな木が倒れる音

振動が響いてる

まだ...探してる?


なんとか立てた。

震えてるけど、立てた。


けど。


足が


出ない


行かなきゃ

助けなきゃ

リゲル....



「あっ」


力が抜ける

踏ん張れない


抜ける

いつもの

いつもなら

こんなとき




膝が痛い

手のひらが痛い

涙が熱い

胸が苦しい


「良いか、ミリシアよく聞け。危なそうならまず逃げろ!お父さんとの絶対の約束だぞ。」


お父さん。

いつも言ってた。

逃げろって。

近づくなって。

生きろって。


「ミリシア、いつも無茶ばかりして。ほんとにこの子は。でも、元気でいてくれるだけで嬉しいわ」


お母さん

いつも優しいたまに怖い

抱きしめてくれるとあったかくなる。


「おねーちゃん、いけーーー!」


リゲル

ちっちゃい体でいつも応援してくれた。



「.....うん」


震える足で立つ

立てた

前、は行けない。

後ろ?

一歩下がる。

行けた


暗くて前もよく見えないけど

この山なら

いつもきてた


「この木はな、根っこの向きで方角分かるんだ。便利だろう」


山道教えてくれたガンドさん

怖い顔なのに優しいの


「この薮は気を付けろ、怪我するぞ」


うん、覚えてるよ。

教えの通り

覚えた通り

躓いても

転んでも


逃げなきゃ

生きなきゃ


約束、したから。





もう

何度転んだか分からない

何度滑ったかわからない

今、どこにいるのかも

よく分からない。


でも

でも

まだ走れる

息も苦しい

とっくに切れてる


さっきから

知らない場所

走ってる


どこだろう、ここ

逃げれてるのかな?

離れてるのかな?

合ってるのかな?


大きな木のウロが目に入る

逃げなきゃ

でも

もう。



...........。











「おい、嬢ちゃん、どうした?」


聞こえた声に目を開ける。

.....人?



「ああああ!」

声にならない声で叫ぶ

勝手に声が出る

見つかった

見つかった

...見つかった。


あんなに頑張ったのに!

必死に走ったのに!

ここまで?

終わり?


頭と別に、体が泣き叫んでる。

止まらない止められない。


「うわぁ!ごめん!ごめんよ!そうだよな、怖いよな。離れるから、今離れるから」


聞こえた声に一瞬止まる。

隣の家のおじさんが、おばさんに怒られてる時みたいな、すごく情けない声だった。


でも......。

知らない、大人だ。



「おおお、だ、大丈夫か?大丈夫だよな?」


大柄なおじさんが、困った顔して恐る恐るこっちを見てた。


「ふぅ、やれやれ。改めてだ、嬢ちゃん、こんな所でどうした?迷子か?家出にしちゃ頑張りすぎだ。なんにしてもここじゃ危ないぞ?」




なんで

ここ

答え

燃え

怖い人

答え

答え

答え


答えが

出ない


「そうだ、嬢ちゃん腹減ってないか?」


減ってる

昨日から

何も


「俺の作った干し肉だ。食うか?」


恐々と出した手に、干し肉を渡してくれた。

干し肉はあまり好きじゃない

硬いし変な味するし。

一口食べる。

お家のとは違う味


「美味いか?」


まずい

すごくまずい

でも、嬉しい。


お腹に何か入って少し落ち着く

私が食べてる間も、おじさんは少し離れた場所で、心配そうに見ててくれた。


「あ...ありがと」

よかった、お礼言えた。

声出た


不意に頭に手が乗せられる。


「おう、どういたしましてだ。」


瞬間涙が溢れる


「うおぅ!ごめんよ!」

慌てて離そうとする、おじさんの手を

咄嗟に握る

頭に乗せる

そのまま泣いた


「........泣くほどか?」

「イヤ、あいつは不味いって言ってたな...。」


的外れなおじさんの声に、なぜかほっとした。








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